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英雄になるまでの旅路〜禁忌の森の少年、無能力の最強剣聖、嘘を見抜く転生者。3人の運命が交錯する〜王道群像ファンタジー!  作者: 皐月なる
8章「俺の正義はお節介の先にある」【遠藤正義編】

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10話「特訓と調査を始めよう!ロルフ先生の特訓は大変すぎる…」

ここまでお読み頂きありがとうございます!!

ロルフとの修行と本格的な調査と赤い光の正体!!


本格的な調査の始まりの話!!

さてこれから正義はどんなことを始めるのか!

楽しみ読んでみてください!

ロルフ「じゃあ、じゅちゅしきの練習しようか」


正義「お願いします」


ロルフ「この前の魔物との戦闘で照準を合わせるのも雑だったし、じゅちゅしゅきの発動発動が遅かったことがわかったんだ! せっかく強い能力なんだから最大限にいかなさないと!」


チャッピー「………にゃ……」


正義「たしかに! しかし全方位なら何とか大きい魔法で何とかなるんですが、今はまだ【火】と書いてチャッピーが術式変換してくれているので、レパートリーが少ないんです……」


ロルフ「レパートリー? なんだそれは? 異世界の言葉を書けば勝手にじゅちちきに変換してくれる!? この猫のチャッピーちゃんが?」


チャッピー「………にゃ……男にゃ……」


ロルフ「すまない! チャッピーくんはもうじちちちちを読め、それを展開できるということか! すごいね!!」


正義「まぁ、なんと言いますか……へへっ、そうなんです!!」


チャッピー「にゃーー!!! ロルフ先生は術式が全然言えてないにゃ!! なんでにゃ!! 術式が言えてないにゃ!! 噛みすぎにゃ!! 最初から噛んでたにゃ!! もう最後の方はコンロつける時の音になってたにゃ!!! 正義!!! おーーまーーーえーーーのことを褒めたんじゃないにゃー!!!!!! 僕のことを褒めてくれたのに!!!! 自分のことみたいにてれるにゃーーーーー!!!!!」


 チャッピーは卓の上で前足を踏ん張り、しっぽを膨らませていた。ロルフは自分の口元を押さえ、何度か「術式」と言い直している。


ロルフ「じゅ、術式……。今度は言えたぞ」


チャッピー「今のは言えて当然にゃ。褒めるところじゃないにゃ」


ロルフ「そうか……。では、正義。実際にやってみよう」


正義「切り替えが早い!」


チャッピー「先生は訓練をしに来たにゃ。正義みたいに会話を横道へ逸らしていないにゃ」


正義「さっきの騒ぎ、俺だけのせいみたいになってない?」


ロルフ「まずは照準だ。前回の戦闘では、魔法を広く出すことはできていた。でも、狙った場所へ正確に当てるのが難しそうだった」


正義「はい。大きく出せば当たる範囲も広がると思ったんですけど……」


ロルフ「範囲が広いことと、狙いが正確なことは別だよ。味方が近くにいたら、巻き込む危険もある。強いかどうかだけじゃなく、安全に使えるかも考えないといけない」


正義「……分かりました」


 ロルフは少し離れた場所に、氷で小さな標的をいくつか作った。槍の柄で地面を指し、標的の位置を示す。


ロルフ「まずは一番手前。術式を急いで書く必要はない。どこに当てたいのか決めて、そこへ照準を合わせる。次に、起動までの時間を短くする。両方を一度に完璧にしようとしなくていい」


正義「順番に、ですね」


ロルフ「そう。やってみよう」


 俺はペンを握り、空中に【火】と書いた。文字が淡く光り、チャッピーの目が青白く輝く。空中に術式の線が広がった。


チャッピー「変換するにゃ。正義、狙う場所を決めてから起動するにゃ。今は標的の右端を狙うにゃ」


正義「右端……よし!」


 火が弾けた。標的の手前で散り、氷の表面をかすめる。標的は倒れなかった。


正義「惜しい!」


ロルフ「今のは、起動したあとに照準を変えようとしていたね。術式を起動する前に、どこへ飛ばすか決めておこう。発動してから考えたら遅い」


正義「分かりました。もう一回!」


 2度目は標的の端に当たった。3度目は少し外れた。4度目で、ようやく中央近くに火が弾けた。


正義「よしっ!」


チャッピー「今のは当たったにゃ。でも、次も同じようにできるかが大事にゃ」


正義「一回くらい喜ばせてくれよ」


チャッピー「喜ぶのは自由にゃ。実力がついたかの判断は別にゃ」


ロルフ「チャッピーの言うとおりだ。今の成功を覚えて、同じ動きを再現してみよう」


正義「先生まで冷静に追い打ちをかけてくる……」


ロルフ「褒めているんだよ。できたことを、次もできるようにする。それが練習だ」


 ロルフは笑っていたが、指導は細かかった。俺が術式を書くときに視線を落としすぎること、狙いを決める前にペンを動かしてしまうこと、起動の直前に一瞬だけ手が止まること。失敗するたび、原因をひとつずつ指摘してくれた。


 何度か繰り返すうちに、標的へ当たる回数は少しずつ増えていった。速さはまだ足りない。だが、何ができていないのかは、さっきより分かる。


ロルフ「狙いは少しよくなった。次は俺が動くよ。手加減はするけど、止まってはやらないからね」


正義「ありがとうございます。ちなみに、どのくらい手加減を?」


ロルフ「正義が怪我をしない程度かな」


正義「その説明、手加減の幅が広すぎません?」


チャッピー「手加減の程度を交渉する前に、術式を書くにゃ」


ロルフ「始めるよ」


 ロルフは槍を構え、ゆっくりと間合いを詰めた。俺はペンを走らせる。術式を完成させることに意識が向き、顔を上げたときには、槍の柄が肩に軽く触れていた。


正義「うわっ!」


ロルフ「今のは、俺が動き出した瞬間を見ていなかった。術式を書き終えることばかり考えて、相手の動きを見失っている」


正義「書きながら相手を見るって、難しくないですか?」


ロルフ「最初はね。でも、視線を落としすぎないこと。肩や腰、足の動きを見るんだ。動き出す前に、小さな変化が出ることがある」


チャッピー「術式だけを見ていたら、相手に好きなように動かれるにゃ。」


正義「わかってるんだけどなかなか上手くいかないな…」


 次は、ロルフの肩と足を見ながらペンを動かした。槍が近づいてくる。俺は慌てて術式を起動したが、狙いがずれて、火はロルフの横を抜けた。


 ロルフは追撃せず、槍を下ろした。


ロルフ「今のほうがいい。外れたけど、俺が動いていることを見ていた。次は、どこへ動くかを予想して狙ってみよう」


正義「外したのに褒められると、逆に落ち着かないですね」


チャッピー「外したことだけを見ていたら、何も覚えられないにゃ。失敗の中から変えられるところを探すにゃ」


ロルフ「そう。もう一度だ」


 今度は、槍が届く直前に横へ一歩ずれた。ロルフの動きに合わせて術式を起動すると、火は狙った標的の近くで弾けた。命中とは言い難い。それでも、さっきよりは狙いに近かった。


正義「……少しだけ、分かってきた気がします」


ロルフ「その感覚を忘れないうちに、繰り返そう」



正義「ロルフ先生、もう一度お願いします。今度は起動まで止まらずにやります」


ロルフ「いいね。その意気だ。ただし、速さだけを追いかけて狙いが雑になったら、また最初からだよ」


正義「はい!」


 ロルフが標的を新しく作り直した。そのとき、ふと思い出したように槍を肩へ戻した。


ロルフ「そうだ。正義にも伝えておくよ。俺たちは2週間後、大結界の異常の原因を探るために出発する予定なんだ」


正義「2週間後……。大結界が弱まっているかもしれないっていう、あの調査ですか?」


ロルフ「そう。まだ原因が大結界だと決まったわけじゃない。現地で確かめる必要がある。俺たちはその準備を進めているところだ」


正義「俺も一緒に行くんですか?」


ロルフ「いや、正義はまず、自分の能力を安全に使えるようにする必要があるからね」


 少し残念ではあった。けれど、今の俺が調査隊に加わったところで、足手まといになる。魔法を使うたびに照準がずれ、起動に時間がかかる。


正義「分かりました。じゃあ、出発までの2週間、みっちり練習します」


ロルフ「そのつもりでいたよ。明日からは照準だけじゃなく、相手が動いているときの起動も練習しよう」


正義「……明日から?」


ロルフ「今日の続きも、まだあるよ」


正義「今日の続きも!?」


チャッピー「自分からみっちり練習すると宣言したにゃ。言葉には責任が伴うにゃ」


正義「俺の言葉をそんな重い契約みたいに扱わないでくれ!」


ロルフ「大丈夫。休憩も取るから」


正義「よかった……」


ロルフ「休憩時間以外は、みっちりだ」


正義「今、安心した分を返してほしいです」


 結局、その日も日が傾くまで訓練は続いた。


     *


 翌日、俺はグスタフ皇帝に面会を申し込んだ。


正義「陛下、お願いがあります。これから定期的に魔物の討伐へ出たいんです」


グスタフ「魔法の訓練のためですか?」


正義「はい。術式の起動も照準も、まだ実戦で使いこなせていません。練習だけじゃ分からないこともあると思うんです」


グスタフ「実戦で経験を積みたいのですね。危険があることは理解していますか?」


正義「もちろんです。無理に強い魔物へ挑むつもりはありません。」


 それは本心だった。だが、理由はそれだけではない。


 ジムの事故を調べるには、まず事故の記録が残っているかを確認し、誰が発見したのか、最後にジムを見た人は誰なのかを探る必要がある。店の近くで聞き込みをするにしても、宮廷にこもっていては何も進まない。


 定期的な討伐に出る立場になれば、街の外へ出る機会も増える。討伐の前後に、必要な場所へ足を運びやすくなるはずだ。



グスタフ「分かりました。ただし、討伐先と帰還予定は事前に報告してください。実力に見合わない依頼を受けることも認められません」


正義「ありがとうございます」


グスタフ「あなたの力は、まだ分かっていないことが多い。経験を積むのはよいことですが、無理をする必要はありません」


正義「はい。分かりました!感謝します!」







話を終え廊下をチャッピーと話しながら帰っていた時だった。


側近「正義殿。少しよろしいでしょうか」


正義「はい。何でしょう?」


側近「先程伝え忘れていたみたいなのですが陛下から、そのペンを私が預かるよう命じられております。調査のため、こちらへお渡しください」


 側近が手を差し出した。


 その瞬間、視界の端に赤い光が浮かんだ。


正義(……また、赤い光?)


 カナの周りに現れたものと同じ色だった。あのときは一度きりで、見間違いかもしれないと思った。けれど、今は違う。側近が「陛下から命じられた」と言った瞬間に、赤い光が見えた。


(嘘をついているのか?)


正義「陛下からの命令なら、確認してもいいですか? 何のために預けるのかも、聞いておきたいんです」


側近「確認は不要です。私が責任を持って管理します」


正義「でも、俺の持ち物ですから。陛下が必要だとおっしゃったなら、直接お話を聞きたいです」


側近「勇者殿。宮廷の決定に従っていただければよいのです」


 側近の声が硬くなった。差し出された手が、ペンへ近づいてくる。


チャッピー「正義、ペンをしまうにゃ。相手の手を見て、距離を取るにゃ」


 チャッピーの声から、いつもの軽さが消えていた。


正義「……分かった」


側近「何をしているのです。こちらへ渡しなさい」


正義「陛下の命令だと確認できるまでは渡せません」


 側近が一歩踏み込んだ。ペンを握る俺の手へ、急に腕を伸ばしてくる。


 俺は反射的に横へ動いた。側近の手が空を切り、袖が机の端に引っかかった。ペンは手から離れなかった。


側近「おとなしく渡せ!」


正義「それは、陛下の命令を確認してからです!」


 俺は側近から距離を取り、声を上げた。


正義「衛兵! こちらへ来てください!」


 廊下にいた衛兵が駆け込んできた。側近は一瞬、何かを言いかけたが、俺の手にペンが残っているのを見て顔を歪めた。


側近「この者が抵抗したのです! 私は陛下の命令を――」


 側近の周囲にも、赤い光がちらついた。


 俺は息をのんだ。やはり、さっきの光と同じだ。


 それでも、俺は能力のことを口にしなかった。今必要なのは、何が起きたのかを、皇帝に確かめてもらうことだ。


正義「俺は命令の内容を確認したいと言っただけです。側近の方は、確認しなくていいと言って、ペンを無理に取ろうとしました」


衛兵「双方、陛下の前でお話しいただきます。こちらへ」


 俺たちはグスタフのもとへ戻った。


     *


グスタフ「……私が、そのペンを預かるよう命じたと?」


側近「…………」


グスタフ「私の命令だと言ったのですか?」


側近「……はい」


グスタフ「私は、そのような命令を出していません」


 側近の顔から血の気が引いた。


正義「俺も、陛下から直接聞いた覚えはありませんでした。それで確認したいと伝えたんです」


グスタフ「それなのに、無理に奪おうとしたのですか」


側近「私は、陛下のためを思って……」


チャッピー「陛下の命令だと言って、本人の持ち物を無理に奪うのが、陛下のためにゃ?」


側近「……」


グスタフ「あなたには、事情を詳しく聞く必要があります。衛兵、彼を別室へ。命令を偽った理由と、ペンを手に入れようとした目的を調べてください」


衛兵「承知しました」


 衛兵が側近を連れていこうとしたとき、側近はついに声を荒らげた。


側近「なぜです! あの道具を私が研究すれば、もっと大きな成果を上げられた! 陛下に認められる機会だったのです!」


 その言葉に、部屋が静まり返った。


 陛下の命令ではなかった。側近は、自分の利益のためにペンを手に入れようとしていたのだ。


グスタフ「自分の欲のために、私の名を使ったのですか」


側近「……」


グスタフ「この件は正式に調査し、処分を決めます。正義殿、あなたの持ち物を勝手に取り上げることは認めません。申し訳ありませんでした」


正義「陛下が謝ることではありません。命令を偽ったのは、その方ですから」


 衛兵が側近を連れ出した。俺は、ようやくペンを握り直した。


 奪われずに済んだ。けれど、胸の中には別の疑問が残っていた。


 カナの周りに現れた赤い光。そして、今の側近の周りに現れた赤い光。


 偶然で片づけるには、気になる一致だった。


     *


 皇帝の部屋を出てから、俺はチャッピーと廊下の端で足を止めた。


正義「なあ、チャッピー。さっきの赤い光……」


チャッピー「カナのときと同じ赤い光にゃ。カナは『平気』と言っていたけど、本当はつらい気持ちを隠していた。今度は側近が陛下の命令だと嘘をついていたにゃ」


正義「……2回とも、言葉と本当のことが食い違っていた」


チャッピー「正義の能力は、嘘を見抜く能力でほぼ間違いないにゃ」


正義「やっぱり、そういうことなのか……。俺には、ただ赤い光が見えてるだけなんだけどな」


チャッピー「能力の正体はそれで説明できそうにゃそれで、次はどうするにゃ?」


正義「ジムの事故だ。まず、事故が起きた場所と、ジムを最後に見た人を調べる。事故の記録が残っているなら、それも確認したい」


チャッピー「カナが知っていることと、記録に残っていることを分けて調べるにゃ。ジムが夜中に何かを書き写していたことも、忘れないようにするにゃ」


正義「うん。何かを書き写していた理由は分からない。でも、事故の前に何をしていたのかを知る手掛かりになるかもしれない」


チャッピー「最初から事件だと決めつけず、分かることから始めるにゃ」


正義「まずは記録と証言。そこからだ」


 2週間後、ロルフたちは大結界の異常を調べるために出発する。その日までに魔法を少しでも使いこなせるようにしながら、自分にできる調査を進める。



(あんな顔されたら放っておくこのなんて…俺にはできない)




 術式の練習も、ジムの事故の調査も、まだ始まったばかりだった

お読み頂きありがとうございます!!

次回から本格的な調査が始まります!!

と言ってもまだまだ小説書きなれてないのでもしかしたら読みずらい?かもしれません。すみません!!

でも、読んでくれたみなさんに後悔はさせないよう頑張ります!!

ブックマーク!感想!そして評価!!

励みになるので是非よろしくお願いします!


また明日の24時にお会いしましょう!!

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