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英雄になるまでの旅路〜禁忌の森の少年、無能力の最強剣聖、嘘を見抜く転生者。3人の運命が交錯する〜王道群像ファンタジー!  作者: 皐月なる
7章「異世界に来ても俺は正義を貫く!!」【遠藤正義編】※ここからでも楽しめるよ!

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5話「お腹すいたからお店探してたらさっき助けた少女が魚料理屋だったから入ってみた。」

続きを読んで頂きありがとうございます!!

この世界の仕組みにも少しずつ触れて行きます!!


いよいよ!食事です!

魔物討伐に向かう前に助けた少女が突然正義たちの前に現れ!?

 門の外では、戦いの後始末が続いていた。


 兵士たちは倒れた仲間を運び、別の者たちは盾や弓を集めている。地面には魔物の爪痕が走り、ロルフの氷魔法が残した白い筋もあった。そこに、俺が水をぶちまけた跡まで混じっている。


 思い出すと、胃のあたりがきゅっと縮んだ。


正義「俺の魔法で、余計に怪我をした人はいませんか」


近衛兵「転んだ者はいますが、今のところ大きな怪我ではありません。それにありがとう。勇者様がいてくれなければもっと被害は大きかった。」


正義「そう言ってくれると助かります。助けたかったのに足を引っ張ってしまったんじゃないかって思ってました。」


チャッピー「足を滑らせただけにゃ!気にするにゃ!」


正義「余裕で傷に塩を塗ってるよ。チャッピー。」


 チャッピーはそう言うと俺の肩から地面へ飛び降りた。


チャッピー「手当てを手伝うにゃ」


 俺たちは腕を押さえて座っている兵士のそばへ行った。袖が裂け、前腕に浅い切り傷がある。近くの近衛兵が救急箱を開けると、清潔な布や包帯、小さな薬瓶が並んでいた。


正義「手当って…俺たちにできることなんてないだろ。どうすればいいんだ?」


ロルフ「そうだな。慣れていないなら軽傷者の手当をお願いしようかな?近衛兵のみんなと一緒に手伝ってくれるかい?」


ロルフは穏やかに言いながら、兵士の腕を確かめた。口調は柔らかいが、傷の周りを見る目は真剣だった。


近衛兵「まず傷口を洗います。出血が落ち着いたら、清潔な布と包帯で保護します」


正義「なるほど。分かりました!やってみます!」


ロルフ「正義くん、ありがとう。凄く助かるよ。そこの猫ちゃんもね。」


チャッピー「チャッピーにゃ」


ロルフは少し驚いた顔を見せチャッピーに微笑んだ。


 近衛兵は傷口を洗い、出血が落ち着いたのを確かめてから清潔な布を当て、包帯を巻いた。兵士は礼を言い、無理のない範囲でほかの負傷者の確認を手伝い始めた。


 少し離れた場所では、膝を打った兵士が顔をしかめていた。腫れを確かめ、冷やした布を当てている近衛兵が、別の薬瓶を取り出す。


近衛兵「こちらはリカールです。軽い切り傷や打ち身、筋肉の疲れを和らげるための薬ですよ」


チャッピー「異世界もので言うポーションかにゃ?」


チャッピー「にゃるほど……この世界はチャッピーが知ってる異世界アニメと差異があるにゃ!」


兵士「ありがたい。さっきから、立つたびに響いてな」


 薬を使ったあとも、兵士はすぐに立ち上がらなかった。痛みが少し和らいでも、打ち身そのものが消えたわけではない。近衛兵は無理をさせず、しばらく休ませることにした。


正義「治癒魔法はないんですか?」


近衛兵「身体強化の魔法はあります。その過程で傷を負いにくくはなりますが、傷そのものを治す治癒魔法はありません。怪我は薬や道具で手当てして、身体が回復するのを待つんです。そんな魔法があったらまさに奇跡でしょうね。」


正義「身体を強くすることと、傷を治すことは別なんだな」


チャッピー「できることが違うにゃ。力を引き出すことと、傷ついたところを元に戻すことは同じじゃないにゃ」


正義「魔法なら何でもできる、って考えるのは危ないな」


ロルフ「うん。できることを知っておくのと同じくらい、できないことを知るのも大事だよ」


 ロルフはそう言って、門の外に広がる草地へ目を向けた。さっきまでの気さくな表情は残っていたが、視線は魔物が現れた方向を慎重に追っている。


ロルフ「俺はこのまま、魔物が集まった原因を調べてから戻るよ。種類の違う魔物が、あれだけまとまって門へ向かってきた。偶然だけで片づけるには、気になる点が多いからね」


正義「何か心当たりがあるんですか?」


ロルフ「まだ仮説だけど、大結界が弱くなっている可能性はあると思う」


正義「大結界って、街を守っている結界ですよね」


ロルフ「街というかこの大陸だね。もし弱まっているなら、魔物の動きに影響した可能性はある。ただ大結界がある場所はここからかなり遠いからね。今日はこの付近にまだ隠れている魔物がいないか確認してみるよ。」


ロルフ「もしかしたら魔族が関わっているかもしれないしね。」


チャッピー「魔族。陛下が言っていたにゃ。魔族は魔物を操れるのかにゃ?それに結界の異常と魔物の大量発生が関係している可能性もあるにゃ。」


正義「あああ、今日一気に色んなことが起こりすぎて頭がパンクしそうだ!!」


チャッピー「ファイルを分けられないのが人間の難点にゃ」


ロルフ「ファイル?まぁとにかく2人は近衛兵のみんなと一緒にロータスに戻った方がいいよ。」


 ロルフは近衛兵たちと短く打ち合わせをし、門の外に残る調査班をまとめ始めた。俺たちに同行を求めることはなかった。まず負傷者を街へ戻し、門の安全を確保するらしい。


 応急処置を終えた兵士たちとともに、俺たちも帝都ロータスの中へ戻った。


 門をくぐると、張り詰めていた空気が少し緩んだ。通りには、外の様子を心配そうにうかがう住民が集まっている。兵士が「門は守られた」と伝えると、何人かがほっと息をついた。


正義「ひとまず、今すぐの危険は去ったのかな」


チャッピー「門が破られる状況ではなくなったにゃ。でも、原因まで片づいたわけじゃないにゃ」


正義「分かってる。安心して終わり、にはできないよな」


 俺が裂けた袖を見下ろすと、チャッピーが前足でそこをつついた。


チャッピー「正義も手当てが必要にゃ」


正義「傷は浅いし、もう洗ったよ」


チャッピー「傷じゃなくて、袖にゃ」


正義「そっちか!」


 チャッピーは満足そうにしっぽを揺らした。俺は服を直す方法を考えながら、ふと、チャッピーの様子がいつもと違うことに気づいた。


正義「そういえば、さっきから何か見てる?」


チャッピー「戦いの最中から、周囲のマナの流れが少し分かるようになったにゃ。人がマナを扱う適性を持っているか、前より感じ取りやすいにゃ」


正義「急に?」


チャッピー「違うにゃ、マナの分析を続けていたらできるようになってたにゃ。相手の強さも、動きを分析すれば大まかには推測できるにゃ」


正義「マナ適性と、戦闘能力は別なんだよな?」


チャッピー「その通りにゃ。適性が高くても訓練していなければ魔法は上手く使えないし、適性が低くても戦い方や経験で強い人はいるにゃ。魔族の魔力と、人間のマナ適性も別のものにゃ」


正義「じゃあ、誰かを見ただけで強いか弱いか決めるのは無理か」


チャッピー「目安にはなるけど、断定はできないにゃ。使いながら確かめる必要があるにゃ」


正義「便利そうだけど、過信は禁物ってことだな」


チャッピー「そうにゃ。」


 門の外での失敗を思い出し、俺は口をつぐんだ。新しいことが分かったからといって、すぐ使いこなせるわけじゃない。俺もチャッピーも、まずは確かめながら覚えていくしかない。


すぐ近くで、腹が小さく鳴った。

ぐぅー…


正義「……」


チャッピー「今の音は、マナの流れじゃないにゃ」


正義「さすがにお腹すいたぁ」


 魔物の群れを前にしてから、何も食べていなかった。ロルフの調査を手伝えることも、今の俺にはほとんどない。ひとまず街を見て回り、必要な場所を覚えておくことにした。


 歩きながら、チャッピーは地図に通りや建物を追加していった。道の分かれ目や門への経路を記録している――はずだったが、魚料理の店を見つけるたびに、印が一つずつ増えていく。


正義「地図、食べ歩き案内になってないか?」


チャッピー「避難経路も登録してるにゃ。食事処も登録してるにゃ。どちらも大切にゃ」


正義「大切さの種類が違うんだよ」


チャッピー「お腹が空いていると、判断力が落ちるにゃ」


正義「判断力が必要な時に呑気にお店入るのは判断ミスな気がするけど?」


 そのとき、通りの向こうから声がした。


カナ「あっ! さっきの人!」


振り向くと、路地裏で助けた少女――カナが立っていた。腕には包帯が巻かれている。彼女は俺に気づくと、安心したように近づいてきた。


正義「あ!君はさっきの!えーっと。」

名前を思い出そうと考える正義。


「あ!カナさん!もう大丈夫なのか?」


カナ「はい。近衛兵の方に手当てしてもらいました。あのときは、本当にありがとうございました」


正義「無事ならよかった。腕はまだ痛む?」


カナ「少しだけ。でも、お店の手伝いはできます」


正義「お店?」


カナ「はい。あそこです」


 カナが指さした先には、魚の絵が描かれた木札を下げた店があった。炭火で焼いた魚の香ばしい匂いが、通りまで流れてきている。


チャッピー「さっき見つけた魚料理のお店にゃ!」


正義「もう地図に登録してたのかよ!」


カナ「えっ、お店をご存じなんですか?」


正義「いや、この猫が勝手に見つけてただけで……」


チャッピー「勝手じゃないにゃ。役に立つ情報を集めていたにゃ」


カナ「ふふっ。面白い猫さんですね。ここ、家族のお店なんです。よかったら、お礼に何か食べていきませんか?」


正義「いや、助けたのは当然のことだし、お礼なんて――」


ぐぅー…


 言いかけたところで、また腹が鳴った。


 今度は、カナにも聞こえたらしい。彼女は一瞬目を丸くし、それから笑った。


チャッピー「正義のお腹は正直にゃ」


正義「あはは…」


気まずそうに正義は笑った。


チャッピー「お誘いへの返事としては、かなりはっきりしてるにゃ」


カナ「今日は焼き魚と魚の煮込みがありますよ。無理にとは言いませんけど」


 炭火の匂いが、もう一度鼻をくすぐった。腹は正直だし、俺もさすがに空腹だった。


正義「……じゃあ、お言葉に甘えて。少し休ませてもらおうかな」


チャッピー「賛成にゃ。地図の情報を実地確認するにゃ」


正義「食べる理由を調査みたいに言うな!」


 カナは笑いながら扉を開けた。中から、焼き魚の香りと人々の話し声が流れてくる。


 大結界のことも、魔物が集まった理由も、まだ分からない。チャッピーに起きた変化も、どうして今になってマナの流れを感じられるようになったのかも、答えは出ていなかった。


 でも、分からないことを考え続けるにも、まずは腹ごしらえが必要だ。


 俺たちはカナの家の魚料理屋へ入った。



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第5話 注釈

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■ リカール

軽い切り傷や打ち身、筋肉疲労の回復を補助するポーション。傷を瞬時に塞いだり、重傷を治したりするものではなく、洗浄や包帯などの手当てと休養を併用する。


■ 身体強化の魔法

身体能力を一時的に高める魔法。傷そのものを治す治癒魔法とは異なり、ルナーテには治癒魔法は存在しない。


■ 大結界

魔族や魔物、マナの大規模な流入を抑え、街や周辺を守るために築かれた結界。


■ マナ適性

人間がマナを感じ取り、制御して魔法を使うために必要な性質。適性の強さと、訓練や経験による実際の戦闘能力は同じではない。


■ カナ・マリスト

第4話で正義が路地裏の暴行から助けた少女。家族が魚料理を営んでいる。

最後まで読んで下さりありがとうございます!!

次回はこの出会ったカナさんの家庭の事情編です!!

一体今度は正義達に何が待ち受けているのか!!

楽しみに待っていてください!!


良かったら評価とブックマーク!そしてそして!コメント!!待ってます!!


今後の活動の最っ高の励みになります!!

皆さん引き続き楽しんでください!!


続きは明日の24時頃に投稿します!!お楽しみに!

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