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英雄になるまでの旅路〜禁忌の森の少年、無能力の最強剣聖、嘘を見抜く転生者。3人の運命が交錯する〜王道群像ファンタジー!  作者: 皐月なる
3章「魔族の少女」【アポカリ編】

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17話「新しいお友達」

ファティマと待ち合わせるようになってから、しばらく経った。


 ある日、アポカリは彼女に、ロウとサナを紹介しようと思いついた。森で会う友達ができたことは、ふたりにも話していた。けれど、実際に会わせたことはまだなかった。


 アポカリ「ファティマ、今度、僕の知り合いに会ってみない?」


 ファティマ「知り合い?」


 アポカリ「ロウとサナ。僕のことをよく見てくれてる人たちなんだ」


 ファティマは一瞬だけ考えるように黙ったが、すぐに笑顔を見せた。


 ファティマ「いいよ。アポカリの大事な人なんでしょ?」


 アポカリ「うん。そうだよ」


 ふたりが集落の近くまで来ると、ロウはすぐに気づいて手を上げた。サナも作業の手を止め、アポカリの隣にいる少女へ目を向ける。


 ロウ「君がファティマか。アポカリから話は聞いてるよ」


 ファティマ「えっ、どんな話?」


 ロウ「森で会って、一緒に遊んでるって。あと、アポカリが何かと楽しそうにしてる」


 アポカリ「そんなに話してないよ」


 サナ「話してたわよ。昨日も、帰ってきてから森の話をしていたじゃない」


 アポカリ「ずっとじゃないって!」


 ファティマはアポカリを見て、くすっと笑った。サナは彼女に向き直る。


 サナ「ファティマ、でいいのよね。森の奥へ行く時は、ひとりで危ないところに入らないこと。アポカリも、友達ができると夢中になるから」


 アポカリ「僕の話になってる!」


 サナ「あなたの話でもあるの」


 ファティマ「はーい。気をつけます」


 返事は軽かったが、ファティマはサナの目を見てうなずいた。ロウは気負わせないように、話題を変えた。


 ロウ「今度、集落の近くまで来ることがあったら声をかけてくれ。アポカリがまた変な遊びを思いついても、止める人間は多いほうがいい」


 アポカリ「変な遊びってなに?」


 ロウ「まだ何もしてないなら、これからの話だ」


 ファティマ「それ、ちょっと見てみたいかも」


 アポカリ「ファティマまで!」


 三人の笑い声に、サナも小さく息を吐いた。目の前にいるのは、アポカリと同じように笑い、からかい、少し失敗もする少女だった。サナは警戒をすべて捨てたわけではない。ただ、最初から敵だと決めつけるつもりもなかった。


 別れ際、ロウはファティマに軽く手を振った。


 ロウ「またおいで」


 ファティマ「うん。また来るね」


 ファティマは笑顔で返したが、森の奥へ向かう途中、一度だけ後ろを振り返った。誰かがいるようには見えない。それでも、彼女は歩き出すまでに、ほんの少し間を置いた。


 家へ帰ると、父が彼女を待っていた。


 父「最近、帰りが遅いな。どこへ行っている?」


 ファティマ「森だよ。歩いてただけ」


 父「保護区の人間と会っているという話を聞いた」


 ファティマの足が止まった。


 父「この森は魔族のものだ。人間どもは保護区などと名づけて、私たちの森に勝手に居座っている。下等な人間に、ここで暮らす権利などない。保護区はいずれ消す」


 ファティマはすぐに答えられなかった。いつものように冗談でかわそうとしたが、笑顔がうまく作れない。


 ファティマ「……誰から聞いたの?」


 父「誰からかは問題ではない。お前が何をしているかだ」


 ファティマは視線を落とした。アポカリの顔が浮かぶ。ロウの笑い声も、サナの小言も。父に話せば、きっと森へ行くことを許されなくなる。


 ファティマ「分かった」


 それだけ答えて、彼女は部屋へ向かった。


 父はそれ以上追及しなかった。けれど、ファティマが廊下の角を曲がったあとも、父の視線はしばらく入口のほうを向いていた。

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