13話「少し重い刃」
3章です!!
良かったら読んでください!!
あれから、少し時が経った。
朝の空気はまだ冷たかったが、アポカリは上着の前を留めるのを忘れ、家の裏で籠を整えていた。指先で編み目を押し、ほどけていないか確かめる。以前ならリリアに言われてから直していたところも、今では先に気づくことが増えた。
14歳になったからといって、急に何かが変わるわけではない。けれど、旅人たちと過ごした日々は、アポカリの中にいくつかの疑問を残していた。
荷車が運んでいたもの。見たことのない道具。森の外で暮らす人たち。そして、魔物を前にしても慌てず、互いの動きを見ながら戦っていた旅人たち。
籠を背負う前に、アポカリは荷物の奥へ目をやった。
ジオからもらった小型の短剣は、布に包んでしまってある。
アポカリ「……ちょっとだけなら、いいよね」
誰に言い訳したのか自分でも分からないまま、包みを取り出した。
森へ入って採集を始める前に、周囲に人がいないことを確かめる。短剣を抜いてみると、刃は思っていたよりも手に重さを伝えた。持てないほどではない。けれど、ジオが軽々と扱っていた時の印象とは違う。
アポカリは足を開き、短剣を前へ出した。
ジオは、相手が動くより先に大きく振りかぶったりはしなかった。手首を固めすぎず、必要な時にだけ刃を動かしていた。アポカリはその動きを思い出し、同じように短く振ってみる。
刃先が思ったより下へ流れた。
アポカリ「うわ、危ない」
すぐに腕を止め、短剣を下げる。近くに人がいなくてよかった。自分の足元に向かって刃が流れたのを見て、アポカリは眉を寄せた。
アポカリ「ジオ、簡単そうにやってたのにな……」
もちろん、簡単なはずがない。あの時のジオは、短剣を抜く前から相手の位置を見ていた。どこへ動くか、どこに仲間がいるか。刃を振ることだけを考えていたわけではなかった。
もう一度、握りを確かめる。今度は大きく振らず、刃先を少しだけ動かした。思うようにはいかない。手首に力が入り、肩までこわばる。
ふと、ジオが戦っていた時の光景がよみがえった。
仲間の声。土を蹴る音。ジオが身をずらした直後、空気の中に走った魔法の光。
アポカリは短剣を持ったまま、動きを止めた。
胸の奥が、ほんの少しざわついた。
怖いというほどではない。何かを思い出した時のようで、でも、何を思い出したのかははっきりしなかった。アポカリは胸元を軽く押さえ、しばらくその場に立っていた。
アポカリ「……なんだろう」
答えは出なかった。考え続けても分かりそうにない。アポカリは息を吐いて、短剣を鞘へ戻した。
採集を忘れていた。
籠を背負い直し、いつもの道へ向かう。今日の分を集めて帰ったら、短剣の扱い方を誰かに聞いてみよう。そう思ったところで、ジオの「いきなり森で試すなよ」という声まで思い出し、アポカリは小さく口を尖らせた。
アポカリ「……今のは、練習だから」
返事をする人はいない。
アポカリは短剣をしまい、採集を始めるためにいつもの道へ歩き出した。籠はまだ空だった。
読んでくださりありがとうございます!!
ここからが本番というかここから頑張ります!




