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第20話 武器術

 あれから数日が経った。


 蒼太はその間も立川Dランクダンジョンに残り、空間拡張テントで休みながらオークとの戦闘を続けていた。使う武器や戦い方を変え、倒した数はとっくに百体を超えている。


『まだやってるのかよ』

『何日目だこれ』

『オーク百体どころじゃなくない?』

『体力どうなってんだ』


 そんなコメントが流れても、蒼太はまだ止まらなかった。何度目かのステータス確認では、武器系のスキルもかなり揃ってきていた。


━━━━━━━━━━━━━━

【スキル】

・剣術 Lv.20

・盾術 Lv.19

・弓術 Lv.19

・斧術 Lv.20

・槌術 Lv.19

━━━━━━━━━━━━━━


「もうちょいだな」


 表示を消すと、蒼太はまた探索へ戻った。


 それからも何体かのオークを倒し、しばらくしてもう一度ステータスを開く。


「どこまで上がったかな」


 青白い表示が浮かぶ。


━━━━━━━━━━━━━━

上山蒼太

Lv.43


HP 252

MP 162

筋力 99

耐久 94

敏捷 106

魔力 90


【スキル】

・超成長 Lv.1

・武器術 Lv.1

・走法 Lv.17

・持久力 Lv.16

・回避 Lv.16

・体術 Lv.14

・気配察知 Lv.11

・打撃耐性 Lv.7

・火魔法 Lv.8

・風魔法 Lv.8

・集中 Lv.7

・魔力操作 Lv.10

・反応 Lv.9

・受け流し Lv.6

・見切り Lv.6

━━━━━━━━━━━━━━


 数日戦い続けた分、レベルも能力値もかなり伸びている。そのままスキル欄へ目を移したところで、蒼太の視線が止まった。


「あれ?」


 剣術がない。盾術も、弓術も、斧術も、槌術も見当たらない。


 少し上へ視線を戻すと、超成長のすぐ下に見覚えのない名前が増えていた。


「武器術……」


 五つが消えて、その代わりに増えている。まとまったようにも見えるが、表示されているのはLv.1だった。


「レベル1なのか……」


 ここまで上げた五つがなくなってLv.1。強くなったのかどうか、それだけではまだ分からない。


『武器術!?』

『剣術消えてるぞ』

『盾も弓も斧も槌もない』

『なにそのスキル』

『上位スキルじゃね?』

『俺も初めて見た』


 コメントが一気に流れていく。蒼太はもう一度「武器術 Lv.1」の文字を見た。


「これ、めっちゃ気になるな」


 ステータスを消し、アイテムバッグから剣を取り出す。柄を握った瞬間、少しだけ違和感があった。


 悪い意味ではない。


「……軽い?」


 重さそのものが変わったわけではない。けれど、握った位置を直そうと思わない。手の中で剣が最初から収まる場所に収まっていて、腕を軽く動かすだけで刃先まで素直についてくる。


 蒼太はその場で一度だけ剣を振った。


「おお……!」


 振り終わったあとも身体が流れない。止めようと余計な力を入れなくても、次に動ける位置へ自然に戻ってくる。


 その時、通路の奥から重い足音が重なった。一体ではない。三体のオークが、ほとんど並ぶようにしてこちらへ走ってくる。


「三体か」


 蒼太は剣を構えた。


 先頭のオークが拳を振り下ろす。蒼太は大きく避けず、拳が身体の横を通る分だけ半歩ずれた。そのまま懐へ入り、剣を振る。刃が胴を斬り抜けた。


 振り切った剣を構え直す必要がなかった。身体を返した時には、もう二体目へ刃先が向いている。


 二体目の腕が横から飛んでくる。蒼太は一歩踏み込み、腕の内側へ入った。気づけば剣は最短の軌道で走り、オークの脇腹を深く斬っていた。


「うわっ、すげえ!」


 三体目が迫る。蒼太には、その動きが妙にはっきり見えた。


 相手の足が前へ出る。肩が上がる。その瞬間にはもう身体が動いていた。拳をかわしながら横へ抜け、すれ違いざまに剣を振る。


 三体目の身体が止まり、少し遅れて一体目と二体目も淡い光へ変わっていく。


『え?』

『今の何!?』

『動き変わりすぎだろ』

『三体いたよな?』

『剣術消えたのに前より上手くなってない?』

『武器術やばくね?』


 蒼太はコメントを見るより先に、手の中の剣を見た。同じ剣だ。重さも長さも変わっていない。


 なのに、さっきの戦闘では一度も剣を持て余さなかった。斬ったあとに腕の位置を直す必要もなく、次にどう振るか考えるより先に身体が動いていた。


「すげえな、これ!」


 自然と笑いが出る。その後、蒼太は斧やメイス、弓、盾も順番に試す。


 どれも同じだった。以前なら持ち替えた直後に少しだけ必要だった調整がほとんどなく、構えようとした場所へ身体が自然についてきた。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

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