第15話 使えば使うほど
次のオークを探して進みながら、蒼太は背中のアイテムバッグへ手を伸ばした。剣はもう使った。昨日もセンターでかなり振っている。
それより今は、まだまともに戦ったことのない装備の方が気になった。
「次、盾使ってみるか」
剣をしまい、盾を取り出して左腕へ通す。
少し進むと、前方の通路からまたオークが現れた。蒼太を見つけるなり、太い腕を振り上げて走ってくる。
今度は横へ避けず、盾を身体の前へ出した。
ドンッ!
「うおっ!」
重い衝撃が腕から肩まで一気に伝わり、蒼太の足が半歩後ろへ滑った。受け止められないほどではない。ただ、真正面から力を受けたせいで、盾ごと腕を押し込まれた。
オークがもう一度拳を振る。
蒼太はさっきより少しだけ盾を傾けた。今度は衝撃が真正面から来ない。拳が盾の表面を滑り、外へ流れていく。
「おお、こっちの方がいいな」
さらに何度か受けているうちに、足の位置も変わった。最初のように踏ん張るだけではなく、当たる瞬間に身体ごと少し動かすと、腕へ残る重さがかなり減る。
『正面から受けてるの怖すぎる』
『さっきより全然押されなくなってない?』
『もう使い方変わってるぞ』
「これ面白いな」
次の一撃を外へ流したところで盾を引き、右手で抜いた剣をオークの胴へ振る。二度斬ると、巨体が淡い光へ変わった。
魔石を拾い、今度は盾をアイテムバッグへ戻す。
「弓もやるか」
弓を取り出し、矢をつがえる。
次のオークを見つけた時、まだ向こうはこちらに気づいていなかった。蒼太は少し離れた場所で立ち止まり、昨日と同じように弦を引く。
狙って、放つ。
矢はオークの横を通り抜け、後ろの石壁へ当たった。
「あっ」
『外したw』
『剣との落差すごい』
『弓はさすがに慣れてないか』
オークがこちらを向く。蒼太はすぐに次の矢をつがえた。
二本目は肩の横をかすめた。三本目は胴へ当たったが、浅く刺さっただけで止まる。その間にもオークは近づいてくる。
「もうちょい……」
四本目は、さっきより力を抜いて弦を引き、狙いを合わせる時間も少し短くした。
矢が飛び、オークの胸へ深く刺さる。
「おお!」
それでも止まらない。
蒼太は後ろへ下がりながらもう一本つがえた。今度はほとんど迷わず放つ。矢はまた胴へ入り、続けて放った次の一本も外れなかった。
オークが蒼太のすぐ前まで来る前に、その身体が崩れて光へ変わる。
『え、もう普通に当ててる』
『修正するの早すぎだろ』
『何本撃った?』
「結構いけるようになってきたな」
蒼太は弓を持ったまま、落ちた魔石を拾った。
その後も、見つけたオークごとに使うものを変えた。
斧は昨日よりずっと思い切って振れた。最初は刃先の重さに腕を引っ張られたが、何度か使ううちに、無理に止めずその重さごと振り抜いた方が狙いやすいと分かってくる。胴へ食い込んだ斧を引き抜き、次の一撃を肩へ落とすと、オークがその場へ崩れた。
メイスはさらに感覚が違った。斬る場所を狙う必要がない。踏み込んで振り抜くと、鈍い音と一緒にオークの身体が大きく傾く。
「うわ、これすごいな」
剣とも斧とも違う手応えが腕へ返ってくる。何体か相手にする頃には、どの武器でも最初ほど構えに迷わなくなっていた。
そして、蒼太が一番試したかったものが残っている。
杖を取り出した。
「魔法、実戦だとどうなるんだろ」
ちょうど奥から一体のオークが現れる。蒼太は杖を前へ向け、昨日、標的へ撃った時と同じように火を集めた。
けれど、動かない標的とは違う。オークはこちらへ向かって走ってくる。
「うわ、待って」
火が形になる前に距離が縮まった。蒼太は横へ避け、オークの拳が空を切ったところで振り返る。
もう一度杖を向けると、赤い光が集まり、火へ変わった。
「ファイヤーボール!」
火球が飛び、オークの胸へぶつかる。
ボンッ!
炎が広がり、巨体が足を止めた。
「当たった!」
蒼太はすぐに二発目を作ろうとしたが、焦ると形が崩れた。小さくなった火が途中で消え、オークが再び走り出す。
「難しいな!」
それでも蒼太は笑っていた。
剣なら、近づいて斬ればいい。魔法は相手が動く中で、作って、狙って、飛ばさないといけない。それが思っていたより忙しい。
もう一度距離を取り、今度は急がず火を集める。赤い火球が飛び、オークの肩へぶつかった。
続けてもう一発。
三発目が胴へ当たったところで、オークの身体が淡い光へ変わる。
『魔法も使えるのかよ』
『さっきまで盾とか弓やってたよな?』
『装備増えて急に戦い方増えすぎだろ』
最後まで読んでいただきありがとうございます!
面白かった、続きが気になると思っていただけましたら、ブックマークや☆評価、感想で応援していただけると励みになります!




