第16話 増えたスキル
火魔法で倒したオークの魔石を拾うと、蒼太は杖を持ったまま通路の奥へ進んだ。
火は何となく分かってきた。次に気になるのは風だった。
「今度は風やってみるか」
少し進んだ先で、新しいオークが姿を見せる。
蒼太は杖を向け、昨日と同じように風を前へ押し出すイメージを作った。目にはほとんど見えないまま空気が動き、走ってきたオークの胸へぶつかる。
巨体がわずかに揺れ、足が止まった。
「やっぱ押す感じなんだよな」
それだけでも使えそうだったが、蒼太がやりたいのはそれだけではなかった。
火みたいに、ちゃんと攻撃にも使いたい。
もう一度杖を向ける。今度は広く風をぶつけるのではなく、もっと細く、一か所へ集めるように意識した。
オークが腕を振り上げる。
蒼太は横へ避けながら風を放った。
鋭い音がして、オークの腕に浅い傷が走る。
「おっ、切れた!」
すぐにもう一度試す。だが今度は風が広がり、オークの身体を横へ押しただけだった。
「うーん、まだ難しいな」
細くしようとすると形が安定しない。かといって弱くすれば、切れるほどの勢いが出ない。
それでも、できないわけではない。
蒼太は距離を取りながら何度か風を放した。二度目に傷をつけたところで剣へ持ち替え、近づいてきたオークを斬り倒す。
その後も探索を続けた。
盾で攻撃を流し、離れた相手には弓を使う。斧やメイスも、朝より構えに迷うことが減っていた。火魔法は動く相手へ撃つタイミングが少しずつ分かり、風魔法も何度か切る形を試した。
何体目かのオークを倒したところで、蒼太はスマホの時刻を確認した。
「もう昼か。一旦、昼飯にします」
通路の少し開けた場所で足を止め、壁際へ座る。
アイテムバッグを下ろしたところで、近くを飛んでいたドローンに表示されているコメントが目に入った。
『ステータス見せて!』
『今レベルいくつ?』
『スキル見たい』
『朝からずっと戦ってるし絶対上がってるだろ』
『ステータスお願いします!』
「あ、そういえばステータス見せてませんでしたね」
蒼太自身も、ダンジョンへ入ってから一度も確認していなかった。
「俺もまだ見てないんで、見てみます」
ステータスを開き、そのまま配信にも共有する。
━━━━━━━━━━━━━━
上山蒼太
Lv.30
HP 205
MP 119
筋力 72
耐久 68
敏捷 77
魔力 64
【スキル】
・超成長 Lv.1
・剣術 Lv.18
・走法 Lv.12
・持久力 Lv.11
・回避 Lv.10
・体術 Lv.8
・気配察知 Lv.5
・打撃耐性 Lv.3
・盾術 Lv.5
・弓術 Lv.4
・斧術 Lv.5
・槌術 Lv.4
・火魔法 Lv.3
・風魔法 Lv.3
・集中 Lv.2
・魔力操作 Lv.4
・反応 Lv.3
━━━━━━━━━━━━━━
「30!」
まずレベルが目に入った。
そのまま下へ視線を動かすと、昨日までなかった名前が一気に増えている。
「盾術、弓術、斧術……槌術もある」
火魔法と風魔法もLv.3まで上がっていた。さらに下には、集中、魔力操作、反応という見覚えのないスキルまで並んでいる。
「めっちゃ増えてるな……」
『多すぎだろ』
『盾術もうLv.5!?』
『弓さっき外しまくってたのにLv.4あるぞ』
『魔法ももう3なのか』
『魔力操作Lv.4って何したらそんな上がるんだ』
蒼太はしばらくスキル欄を見ていたが、腹が鳴って昼飯を思い出した。
「とりあえず食べるか」
ステータスを閉じ、アイテムバッグから白峰が用意してくれていた昼食を取り出す。白峰が用意したアイテムバッグは、中に入れた食べ物の鮮度も保てるタイプだった。
包みを開くと、肉や卵、野菜がたっぷり挟まった厚いサンドイッチが入っていた。別の容器には切ったフルーツもあり、飲み物まで一緒に入っている。
「うまそう」
サンドイッチを一口かじる。
「うまっ!」
肉は柔らかく、卵と野菜も一緒に入っていて、一口でもかなり食べ応えがある。探索中に片手で食べられるのに、昨日センターで食べた食事と同じくらいちゃんとしていた。
蒼太は残りもすぐに食べ、最後にフルーツまで全部なくした。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
面白かった、続きが気になると思っていただけましたら、ブックマークや☆評価、感想で応援していただけると励みになります!




