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STELLARIS(ステラリス)

眩しいほどの沢山のスポットライト、視界を埋め尽くすペンライト、これ以上ないほど豪華に作られたステージ

「みんな〜!今日までありがとう!最後にみんなと会えたのは嬉しかったよぉ〜!」


「みんな、私達STELLARISを今日まで応援してくれてありがとう、私達は広い宇宙に旅立ってしまうけれど気持ちはいつもみんなと共にある。」


「そうそう、私達はず〜っと皆んなと一緒だよ♡」


「それじゃあ、最後の一曲は、私たちの始まりの歌にしようか!終わりは新しい始まりだよ!皆んな〜!」


世界的大人気3人組アイドルグループSTELLARISのラストライブツアー最後のライブがニューワシントンD.C.で開かれた、観客動員は合計で300万人を超え、ラストアルバムは世界中で驚異的な売れ行きを見せている。彼女達がラストライブをする理由、それは彼女達が第五次移民計画に志願したためだった、無論表向きには志願ではなく選出とされているが…


ライブが終わり楽屋に戻る、彼女達の会社の社長が挨拶に来た、彼女達を見出し集め教え育て上げた人である、この世界の人にしては珍しく恩着せがましくなくお金に無頓着な人だ、だから彼の息子さんが毎日頑張ってお金の管理と収支をやっている。


「素晴らしいライブだった、これで君達ともお別れか…思えばたった5年でここまで上がってきたのは激動だったな…」


リーダーのクレール・アスティエが答える

「うんうん、本当に楽しい5年間でした!社長のおかげだよ!最高じゃん!」


天宮世奈が続く

「本当に社長のおかげです、私たちを見つけてくださってありがとうございました。」


ハン・ビョルがアイコンタクトをとってから社長にプレゼントを渡す

「はい!これ社長に!私達全員のサイン入りうちわ♡!」


社長は少し泣きながらそれを貰う。

「ありがとう、大切に飾らせてもらうよ。きっと船にも君たちのファンは沢山いる、宇宙は危険が沢山だ時には皆が不安に包まれる日もあるだろう、だがな君達はスターだ、君たちの輝きは星そのものなんだ、君たちの笑顔、活力がどんな闇も切り開くはずだ、寧ろここから先が君たちの苦難の始まりだろう。だが、恐れるな。君達は強い。」


三人はにっこりと笑顔を見せて手を差し出す

社長は手袋を取り握手する、日頃からあまり触れることのない社長の手をしっかりと三人は握った


「最後に写真をとろ〜!」

三人は社長の周りに集まり満面の笑みで写真を撮った。


()

旧ニューヨーク跡地、OSP-01直結軌道エレベーター

「いよいよだね」

クレールが天高く聳える架け橋を見る


「地球に別れを告げる日がきたな」

「うんうん、楽じゃないのは分かってるけど!」


「「「これが私たちの新たな一歩!!」」」


その後2時間ほど軌道エレベーター内を彷徨った

「あれぇ…?こっちじゃないの?」


3人揃いも揃って方向音痴+地図が読めないのである。

「うぅ…係員さんに聞こうか。」


しかし困ったことにインフォメーションセンターにすら辿り着けない。社長のアドバイスもあって出発の5時間前にきたのでまだ時間に余裕はあるがこのままだと予約便を乗り過ごしてしまう。


「ねぇ〜世奈ちゃ〜ん、なんとかして〜!!」

クレールは世奈に泣きつく。

「わ、私も地図は…た、多分こっちで合ってるはずなんだけれど…」


ふとビョルが軍服を着た一団を見つけて2人に言う

「ねぇねぇ、もしかしたらあの人達移民船に乗る軍人さん達じゃない?着いていけば辿り着けるかもよ!」


2人はその話に乗り軍人達の後を追いかけた、20分ほど移動して発着場に辿り着いた


「軌道エレベーター臨時第8便は2時間後に出発いたします、お乗りのお客様は移民船手続所にて保安検査と身分検査を実施の上ご搭乗ください。当便は第五次移民船団搭乗の方のみとなります。」


キタァ〜!!!と3人は喜びながら移民船手続所に行く、社長から貰ったIDを見せるとすぐに案内され女性の保安要員さんにボディチェックをしてもらったあと係員の人に案内された。


軌道エレベーター往来機のファーストクラスに座らせてもらった。とても眺めがいい。窓自体は普通だが壁一面に外の様子が映されている。


「すごいなぁ!今まで軌道エレベーターに乗ったことって2回くらいしかないし普通席だったからなぁ〜。」


「仕方ないですよ、売れっ子になってからはもっぱら会社のシャトルでしたから。」


「2人とも〜写真撮ろ♡」

パシャ。その時ファーストクラスの扉が開いた


「よかったです3人ともちゃんと辿り着けたみたいで」


「「「ヒョジュンさん!?」」」


そこに立っていたのは彼女達のマネージャー兼副社長のハン・ヒョジュンだった。そう、社長の息子である。


「移民船に僕達の会社の一部を移すことになってね、そこの社長兼君達のマネージャーという訳だ、これからもよろしくな。」


「えぇ!?それじゃあ本社の方はどうするんですか!?」


「そこは父さんが続けるよ、何、父さんの方が実を言うと財政面の管理は得意なんだ、僕に学ばせるために任せっきりだったけどね。」


初めての事実を知り驚いた3人だが、彼が心配していないのだから3人も特に心配する必要はないと感じた。


そしてしばらく談笑していると、アナウンスが入り、次に機体が上昇を始めた。すぐに地球が丸みを帯びてきてやがて宇宙に出た、エレベーター往来機には宇宙船ほどの重力慣性装置は搭載されておらずせいぜい上昇中のGを相殺する程度でありそれは移動中しか発生しない。よって移動中はいいが停止すると無重力状態になる


「見て!見て!星がすっごい綺麗!」


「皆さんもあの星々のように輝いてほしいですね、皆さんはスターなんですから。」


ヒョジュンの言葉に目を輝かせながら3人は外を眺める


軌道宇宙港に着くまでの空間でファーストクラス内は一面が宇宙の世界となっていた、星々を照らす太陽、反対側に見える遠い遠い宇宙の星々、クレールはその世界に見惚れていた


軌道宇宙港に到着する

「着いた〜!あれ!?あれれ〜!」

無重力のため勢いそのままぷかぷか浮かび天井に行ってしまった。


「こらクレール、ここは無重力なんですから気をつけないと!」

世奈が注意しながらゆっくりシートベルトを外す一方、ビョルもそのままぷかぷかと浮かび天井に行く


「2人とも、遊んでないで戻ってきなさい?」

ヒョジュンが2人を注意すると2人はシュンとしながらぷかぷかと戻ってきた


その後軌道宇宙港でシャトルに乗り込み月の先にいる移民船を目指す。月を通過して少しすると大きな船が見えてきた


「すっご〜い♡あれが私たちの新しいお家かしら〜?」


「えぇ、そうです。移民船アストラル号、全長70キロ、全幅23キロを誇る大型船です。初回の人口は300万人、一大規模の都市一つ分です。」


徐々にその巨艦に近づいてくる、やがてその中に入り明るい発着ポートに到着する。


アストラル号に世界的なアイドルが到着した瞬間である。


()

「やれやれ、事務手続きってのは面倒だな…」


端末で書類を確認しながら格納庫へ向かう、そのうちの一つのハンガーに霜凪が格納されていた、そこで霜凪は塗装の塗り替えが行われていた、とはいえ識別マークを書き替えるくらいの簡単なものではあるが。


「エバンズ!待ってたぞ、早速いくつか聞きたいが機体の塗装は白のままでいいか?」

ヤン中佐がやってきて色々確認してくる。


「えぇ、白のままで。霞んでいるところは塗り直しを」


「了解した、それで君の識別コードだが…」


「000、000でお願いします。」


「お父さんと同じだな、000。思い出深いな、よく番号が消えちまってたもんだ…。そうだ!番号のデザインなんだがこれとかどうだ?うちの若い奴が考えたんだがシンプルだがかっこいいだろ?」


「カッコいいですね、0が少しずつ重なっているところがクールです、これでお願いします!」


「うっし、残りは任せとけ〜。」


ヤン中佐との機体の塗装の話を終えて一息つきに中心商業区画へ向かった、艦内軌道交通システムとエレベーターの中心発着拠点であるセントラルターミナルを中心に栄える商業とビジネスの中心地である。


メールが来た

[ケイ、今から一緒にお茶でもしないかしら?byダイアナ]


返信する

[構わないけれど、今君はどこに?迎えに行くけれど]


彼女がいるとしたらどこだろうかとふと考えているとすぐに返信がきた

[貴方のう・し・ろ]


ふと背中に柔らかな感触が広がりついで鼻腔を刺激する華やかで嫌味のない香りが漂ってくる


「驚いたかしら?ふふ、貴方が歩いているのを見かけちゃったからつい、お茶でもしましょう?」


見ると彼女は買い物帰りのようだった、服が入った袋を持っている。


「買い物帰りか?」


「正解、何かいい服はないかと思って少し買い物してたの、どんな服を買ったか、気になる?」


「まぁ、いつか見させてもらうよ。」


その言葉に彼女は少し拗ねたようだった

「貴方はいつもそう、貴方のいつかは何百年後なのかしら?その前に私がおばあちゃんになってしまうわ。」


「分かった、じゃあ、明日。明日君の家に行くから見せてくれ、な?」


「あら?前より女心が分かるようになったかしら?ふふ、それなら明日待っているわ。」


ダイアナは機嫌を取り戻したらしい、そのまま彼女に連れられてカフェに入った、そしてテラス席の小さなテーブルを挟んで座りお互い世間話やお互いが知らない話をした


「それにしてもやけに今日は人が多いな、ところどころで交通規制もかかっていたし何かあるのか?」


コーヒー飲んでいたダイアナは怪訝そうな顔をした

「貴方知らないの?今日はSTELLARISがこの船に到着する日よ?」


「ステラリス…あぁ!アイドルグループだったっけ?」


「貴方はやっぱりアイドルには興味がないのかしら?」


「まぁ、それほど興味はないかな。あまり関わる機会がなかったというのもあるけれどね」


「彼女達は美人よ、歌も踊りも上手いし、スタイルもいいわ。普通の男の人なら一目でファンになると思うけれど?」


「歌や踊りはともかく顔やスタイルについて君が言うかい?僕に言わせてみれば君も十分過ぎるほどアイドルをやっていけると思うけれどね?」


エバンズはその時気づかなかったが、この時、普段から妖艶な大人なお姉さんの雰囲気を出しているダイアナに僅かながら照れと年齢相応の恥じらいが現れていた。


その時下が一際騒がしくなった、テラス席の下には凄まじい人だかりができており遠く、駅の方に僅かだがその喧騒の中心となっているであろう人たちが見えた。


(あの人達か、よく見えないな…)


「そういえば、貴方。何か事務手続きをしていなかった?」


ダイアナにそう聞かれたので書類のデータを見せる


「クロエ・ベルナール少尉を中尉に昇格させようということになってね、ドストエフスキー大佐は忙しいから代わりに僕がやってる。」


「クロエちゃんね…あの子、いい子そうよね。」

「うん」

「ルックスもスタイルもいいし」

「うん」

「なんだか愛らしくて庇護欲そそられるし」

「うん」

「小動物系なのかしら、それに頑張り屋さんなんだって?」

「らしいね」


「……」

「……なぁ、いきなりどうしt…」


グイッと彼女の綺麗で大人びた顔が近づき、悪戯っぽい笑みを浮かべて彼女はまた座った


「ふふ、面白い。少し驚いたかしら?」


いきなりご尊顔が目の前に来て驚かない男はいないだろう、しかし彼女のペースに乗せられると大変面倒なのでここは反撃を入れる。


「もしかして、嫉妬した?」


ゴトン、とコーヒーカップが置かれた

「ふふ、そう見える?貴方が誰かを褒めただけで私は嫉妬してしまうのかしら?」


「まさか、君に限ってそんなことはないな、でも嫉妬してる君というのも見てみたい気はするな。」


「…貴方はまだもう少し女心について知るべきね。でも、今に始まったことじゃないわ、もう慣れちゃった。」


「すまないな、女の子の気持ちは難しくてね、努力はするよ。」


ダイアナはクスクス笑い、残っていたコーヒーに口をつける、2人はしばらくまた談笑した。


()

太陽系外縁部

外宇宙観測・太陽系防衛宇宙ステーション《ホルス》


ホルスの副司令官は通信途絶した衛星達から送られてきた情報を整理していた。

「む?レーダーオペレーター!最後に観測されたこの輝く物体は今どこにいる!」


「レーダーの反応によると当基地より4億5000キロの宙域です、レーダー波から対象を分析します。全長1キロ、横幅2キロの歪な形状をした双四角錐形の彗星と思われます。」


「馬鹿、彗星がなんの重力もない空間をこんなジグザグに飛翔してこちらの衛星を破壊するもんか、ここ最近観測衛星がこいつの接近とともに相次いで通信途絶してるんだ、ただごとじゃない。」


電話を取り交代で休息中の司令を叩き起こす

「司令、はい。コード999です。はい。わかりました、今すぐ出撃させます。」


「ホルス全部署に警戒警報を発令、ホルス駐留の第14長距離観測艦隊は直ちに出撃せよ。現在、太陽系内へ向けて巨大物体が接近中、これよりこの目標をクリスタルと想定し迎撃行動を取る。現在、本基地と目標までは4億5000キロ、目標の速度を鑑みておよそ、26時間で本基地と接触する。総力を挙げて撃滅に当たれ、以上!」


「オペレーター、地球にこの旨を報告、増援を要請せよ。」


「通信士!艦隊旗艦と繋いでくれ!」


通信士がホルス駐留艦隊旗艦にいる艦隊司令に連絡を取る

「分かっていると思うがこのデカブツのコアを破壊するのは簡単ではない、貴艦隊の戦力だけでは困難と判断した場合、当基地の火力も合わせて仕掛ける、無理はするな。」


「承知しました副司令官、状況に合わせて対応いたします。」


こうして旗艦である軽巡洋艦エディンバラを中心とする軽巡洋艦1、駆逐艦4の艦隊がホルス基地から出撃した。


基地司令も司令室にやってくる

「副司令、外惑星防衛艦隊に救援要請はしたかね?」


「はい、ジョンストン大将に支援要請を行いました、15時間後に第9航宙艦隊が支援にきます。」


その話を聞き基地司令は頷き指示を飛ばす

「敵のサイズより敵は高威力の粒子加速砲もしくはそれ以上の火力を使用可能なものと想定し行動する、基地のヴァルキリー隊は全機に130ミリを装備させる。」


「第14長距離観測艦隊は約8時間後に攻撃可能圏に目標を捉えます。」

オペレーターは艦隊と対象との戦闘推定距離を報告した


「今は彼らを信じるしかあるまいよ副司令」


()

月面内惑星防衛軍総司令部静かの海基地

「状況を報告せよ」


「現在、太陽系外縁部外宇宙観測・太陽系防衛宇宙ステーション第6番基地、ホルスが接近する全長1キロ、全幅2キロの双四面体構造の物体を確認、コード999を発令。対象をクリスタルと想定した迎撃行動を開始しました。」


「直ちにジョンストン大将と回線を繋げ、内惑星防衛軍の艦隊で1番近いのは?」


「アステロイドベルト近傍宙域で演習中の第7航宙艦隊です。」


「回線つながりました!」


外惑星防衛軍のジョンストン大将とブブリクは連絡を取る

「ジョンストン大将、こちらから送れる艦隊を送りたい、どこに集結させるべきか?」


「ありがたい話だ、しかし海王星沖ともすれば最短でも4、5日はかかるだろ?我々はホルス基地支援のため第9航宙艦隊を派遣した、第二次防衛線を海王星沖合、最終防衛線をアステロイドベルト基地に置く、内惑星防衛軍をできる限りアステロイドベルト基地へ送ってほしい。」


ブブリクは提案した

「提案がある、エンケラドゥス基地にも部隊を送ろう、そうすればアステロイドベルトに至るまでにもう一つ防衛線を張れる、間に合わない部隊をそこに集めれば戦力の有効活用になる」


ジョンストン大将は悩んだ末に結論を出した

「分かった、海王星に間に合わない部隊をエンケラドゥス基地に集めよう、第7艦隊も加われば相当な戦力になる、これなら逐次投入する必要もなくなる、これでどうだ。」


「分かった、第7艦隊をすぐに向かわせる。他の艦隊もアステロイドベルト基地へ。」


()

7時間後、第14長距離観測艦隊

「光学的に目標を補足、高解像度画像出ます!」


艦隊司令も艦長も副長も皆でそれを見た

「間違いないな…」


「えぇ、クリスタル、しかもかなりの大型種です。」


「手加減など必要ないな。全艦に命令、対艦戦闘用意!主砲発射準備、ロングレンジで様子を見る。」


「総員対艦戦闘用意!」


「主砲1番2番、発射用意。目標艦隊正面の大型クリスタル!」


「撃ち方始め!」

旗艦エディンバラから155ミリ連装粒子加速砲が各駆逐艦から127ミリ単装粒子加速砲が放たれる。


「まもなく着弾!」

白色の光の筋がクリスタルに着弾する、クリスタルはその表面の結晶構造を炸裂とともに撒き散らす。


「粒子を十分収束加速して撃ち続けるぞ、駆逐艦隊にも連絡、同一点を4隻で集中して砲撃する!」

4隻による集中砲火が行われる、粒子加速砲はその特性上、着弾時に大気圏内中の火薬の炸裂反応に近しい反応を引き起こす、これによりいかに強固な表面結晶体であろうとも破砕という形で剥がすことができる。


「誘導弾発射、実体弾の反応も確認する。」


誘導弾が垂直に発射される。発射後に姿勢制御で向きを整えたのちメインブースターで加速していく。


砲撃と誘導弾が着弾していく


炸裂による化学反応と撒き散らされたクリスタルの破片により本体が光学的に観測できなくなる、しばらく見ていると目視観測を遮っていた粉塵が晴れる


「な!?全艦急速回頭!機関出力最大!射線上より退避!」

クリスタル正面が構造を変えその中心に光り輝くエネルギーの塊が確認された。

駆逐艦や軽巡洋艦はその機動力を持って想定される射線から離脱する。


「あの質量から放たれる粒子加速砲の射程は想像できんな、敵の損傷具合はどうか?」


「目標表面結晶体の剥離を確認、しかしまだ結晶体が複数層あるものと見られます。」


「たまったものではないな、我々だけでは火力不足だ。ホルス基地と協力し敵の排除につt…」


紫の光が艦隊を襲い、第14長距離観測艦隊は一撃のもとに消滅した。


()

ホルス基地、作戦司令室

「第14長距離観測艦隊…消…滅…。」


副司令官も司令官も眉を細めた、艦隊は十分な回避行動をとっていた、敵に回頭や他のクリスタルは確認されていない。


「オペレーター、奴の攻撃をもう一度。」


メインパネルにそのシーンが何度も映される

「発射時の発射部の結晶構造が変化しています。そのため加速された粒子が正面の広範囲に拡散、拡大した光線にまとめて仕留められたということでしょう。」


「射程に関しては縮んでいるな、おそらく粒子を拡散させたことにより粒子が散ってしまったためだろう、さながらショットガンだな。」


「それでも射程はこちらの軽巡洋艦の主砲射程よりも長い、苦しい戦いになりますね。」


「我々のホルスの翼達を信じよう。」


()

15時間後、ホルス基地

「この基地、ひいては太陽系の安全はひとえに諸君らにかかっている、目標は敵の開口部、つまりここだ。敵は粒子加速砲を発射する際に自らの結晶構造を変化させ砲口を形成する。その際奴らにも粒子を集約する部分がある、この中心結晶体だ。諸君らは敵に肉薄、一撃離脱を持ってこの結晶体を破壊してもらう。」


基地のブリーフィングルームにて副司令官はホルス基地所属のヴァルキリー隊、ホルスの翼中隊に作戦を説明していた


ホルスの翼中隊の隊長が質問する

「副司令官、敵が発射体制に入ってから発射までのインターバルは観測されている限りでどれくらいでしょうか?」


「観測された範囲では185秒だ、だが速射が可能な可能性もある、そこは気をつけてほしい。」


「敵の粒子加速砲を無効化したのちは基地の荷電粒子砲並びに粒子加速砲、レールガン、誘導弾。加えて合流し待機中の第9航宙艦隊による総力戦を仕掛ける。つまり、君達が要ということだ。危険で困難な任務だが私はホルスの翼を信じている。」


隊員達が立ち上がり敬礼する。副司令官も彼らに対して敬礼し、作戦が開始された。


()

第9航宙艦隊旗艦リシュリュー

「我々の火力がこの戦いを勝ち抜く鍵となる!ホルスの翼を信じよ!そして、勝利の扉をこじ開けるのだ!」


第9航宙艦隊旗艦はホルス基地の上空でクリスタルの進行方向に対して垂直を取るように単縦陣を組み最大火力を使える舷側を向けていた。


リシュリュー艦長が艦隊司令に聞いた

「艦隊司令、ホルスの翼といえど果たして任務を果たせるのでしょうか。」


それに対して艦隊司令は力強く言った

「信じるんだ、我々にできるのはそれだけだ。」


()

ホルス基地

クリスタルがこちらの迎撃作戦宙域に侵入してきた。

「ヴァルキリー隊全機出撃せよ!」


ホルス基地より10機のテンペストが出撃した。

僅か10機のヴァルキリー隊だが隊員はどれも腕利きである

「隊長、この作戦、上手くいきますかね…」


「おいおい、シュナイダー少尉はまさか我々が失敗すると思っているのか?君の実力は我々もよく知っている、怖がらなくていい。我々なら成功させられる。」


「それを聞いて安心しました隊長、それに我々が成功させなきゃいけないんですもんね。」


「その通りだシュナイダー少尉、若造のくせに肝が据わってるじゃねえか。頼もしいな、ハハハ!」

荷電粒子砲・・この世界で一番火力のある兵器、大型かつ電力を大量に消費する故に宇宙基地や巨大戦艦級にのみ装備されている、その一撃は直撃すれば中型クリスタル程度までなら一撃で消し飛ばせる。

粒子加速砲・・荷電粒子砲の開発過程で生まれた兵器、コンパクトかつ高威力、生産性に優れ、運用しやすいため現在の宇宙艦艇には主砲として標準搭載されている。しかし、荷電粒子砲同様に電力消費が多いためヴァルキリーへの装備はまだ実現していない。

ホルス基地・・外惑星防衛軍に属する外宇宙の探索や外宇宙より襲来する敵の迎撃の任を帯びた宇宙ステーション、同じものは太陽系を囲むように16個建設されており、それぞれに精鋭のヴァルキリー隊が一個中隊もしくは一個増強中隊が配備されている、それ以外にも基地自体がかなりの重武装である。

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