2.第25章 大占者1
カサス、コアトル、エカリーの三人は、互いを背中合わせにして剣の先のゴ族の50万の大軍と対峙した。
コアトルとエカリーは、死地に入り込んだのだ。
だがしかし、「死地に陥れて後生く」。
三人が必死の覚悟で力を合わせれば、活路を見出す事が出来る。
ゴ族の兵士達は、その必死の気迫に圧倒された。
シバルバ族一の強者カサスが一歩足を踏み出せば、ゴ族の兵士50万が後ずさりした。
カサスの一挙手一投足に、ゴ族の大軍団が揺れた。
「ウォオオ――――――――ッ!!!」
カサスが大剣をブンブン振り回してゴ族の大軍団に突っ込んだ。
遅れまいと、コアトルとエカリーはその背中について行った。
ゴ族の大軍団がカサス達三人を中心にして、二つに割れた。
「ウギャッ!。」「ゲゲツッ!!。」「ガハッッ!!!。」
ゴ族の兵士の首が数十個、宙に飛んだ。
鬼の形相のカサスは、さらに大剣を振り回し続ける。
血しぶきが飛び散り、あたりは赤く霞んだ。
腕が、首が、胴体が宙を飛び回った。
「そこ迄だっ!。」
「シバルバ族の武人、カサスよっ!!。」
この状況を静観していたゴ族の族長シュバランケが叫んだ。
シュバランケは、兵士を退け前に進み出て来た。
その後をシュバランケの右腕ヒエンが続き、紐でグルグル巻きに縛り上げられたイサムナが引張り出された。
「そこ迄だ、カサス。」
「これ以上暴れると、この大占者イサムナの命は無いぞ。」
カサスの動きがピタッと止まった。
「イサムナ様!。」
コアトルが叫んだ。
囚われのイサムナ、大剣を手にするカサス、背中合わせのコアトルとエカリー。
四人は互いの目と目で意思の疎通を計った。
暗黒神が現れてから、激しい雨は降り続いていた。
その激しい雨のせいで表情は分からなかったが、瞳の奥の真意は分かった。
「ワッハッハッ。」
突然イサムナが笑い出した。
シュバランケのドクロの黒い面が後ろに向いた。
「ワシの命がここ迄だと云う事は、分かっておったわ。」
「ワシの卜占に狂いは無い。」
「今さら死など、恐れはしない。」
「ワシの命を盾に、武人カサスの暴走を止める事は出来ぬわ!。」
「シュバランケよ、ひとおもいにワシを殺せ。」
「カサスよ、大いに暴れてコアトルとエカリーを助けだせ!。」
大占者イサムナは、きっぱりと言った。




