2.第22章 シュバランケ1
はたして神山は、ゴ族の大軍団に取り囲まれた。
神山の麓は見渡す限り、ぐるりとゴ族の旗が立ちのぼっていた。
長い槍の先に三角旗の二点を結び、風にひるがえる辺には房が付けられていた。
そして旗の真ん中には「伍」の文字が描かれている。
シバルバ族と同等の存在であると、主張するかのように。
ゴ族の旗の圧倒的な数を前にして、神山の人々は恐怖した。
神山に籠城して、ゴ族の侵入を防いだとしても、食糧が底をつけば、餓死するしかない。
戦ったとしても、勝てる見込みがない。
人々はただ、不安な思いでゴ族の旗を見つめるしかなかった。
武科長のカサスは、武人としてはあるまじきと思いつつ、イサムナの予言した援軍の到着に期待せざるおえなかった。
そしてそこを突破口として、シバルバ族の国を抜け、南へ逃げ伸びるのだ。
衛兵達にその思いを告げ、戦意を鼓舞した。
戦いの火ぶたは、シバルバ族の方から切った。
馬に乗った衛兵達がいっせいに飛び出し、麓に通じる一本道へ打って出た。
そして弓を射かけながら前線のゴ族を襲った。
みな日頃の成果をここぞとばかり発揮して、ゴ族の兵士達を射殺した。
ゴ族も応戦して、矢の射掛け合いとなった。
ゴ族の兵士達が浮足立つのを見て取ると、衛兵達は馬から降りて剣を振い、手当たり次第ゴ族の兵士を切りまくった。
だが圧倒的な数のゴ族の兵士達に囲まれると、衛兵達もひとたまりもなく、一人また一人と打ち殺されていった。
深追いはせず、打ってはすぐに引き返せ!!の命令通り、不利になるとすぐさま取って返した衛兵達であったが、戻った衛兵は半減していた。
シバルバ族のこの行動を皮切りに、ゴ族の大軍団の村への侵攻が始まった。
長い槍を持った兵士を先頭に、村への蹂躙が始まった。
家々に隠れていた王族達は見つけ出され、なぶり殺された。
家々には火を付けられ、他の山々と同様に村は炎で包まれた。
麓からジワジワとゴ族の大軍団が、登って来る。
次から次へとゴ族の兵士達が湧いて来て、シバルバ族の人々を殺しまくった。
そして、神山の村にシバルバ族は、いなくなった。
ついにゴ族の大軍団は、ヤコック王達の住む王宮を取り囲んだ。
黄色の地布に黒く書かれた「伍」の文字の入った三角旗が、シバルバ族の王宮を囲ったのだ。




