2.第19章 戦いの始まり3
どれくらい眠ってしまったのだろう。
コアトルは、何かが顔を舐めているのを感じて、目をさました。
「うわぁぁ~~。」
目の前に白い大きな馬の顔があり、コアトルは驚いて跳ね起きた。
そう、ウサギ狩りの競技の時にコアトルを乗せて大活躍した白馬、ウィングだった。
ウィングが、コアトルの顔を舐めていたのだ。
狭い洞窟の中を、頭を下げ、奥の干し草に包まれた二人のもとへ来ていたのだ。
「どうしてここへ?。よくこの場所が分かったなウィング?。」
コアトルは、ウィングの鼻先を撫でながら言った。
ブルル!!!。 ブルルル!!!。
ウィングは、コアトルが目をさましたのを確認すると、そのマントに噛付き、外へ引っ張り出そうとした。
「おいおい、止めろ!。 引っ張るな、ウィング!。」
「まだ外に出てはだめなんだ。」
「おい、止めろ。」
制止する言葉を物ともせず、ウィングはコアトルを引きずって外へと引っ張った。
外は、激しい雨が続いていた。
コアトルはウィングに促されて、洞窟の中から外の様子をうかがった。
激しく降る雨の中、高くそびえるシバルバ国の山々が見える。
が…、いつもと違う。
いくつかの山が燃えているのだ。
大地からそびえ立った太いロウソクが、メラメラと炎を上げているように、火の手が見える。
「何だ、何が起きている。」
「銀の山、赤の山、緑の山………。山の村々が燃えている。」
「どうしたんだ?。」
気が付いて駆けつけてきたエカリーも、驚きの声をあげた。
「なんて云う事。そこかしこの村が燃えている…。」
「暗黒神の怒りに触れた……?。」
一足早く外に出ていたウィングが、洞窟の先の林の中でいなないた。
「何だ、何があるウィング!。」
コアトルとエカリーは、走ってウィングの鳴いた場所へ急いだ。
近づくと白馬ウィングが、林の中にすっくと立っていた。
なんと、その足元には、衛兵達の死体が転がっていた。
十数人の衛兵達の死体は、みな剣で切り刻まれていた。
呆然とするコアトルとエカリー。
激しい雨は、二人を打ち続けた。




