2.第17章 卜占1
刻一刻と「冬至の神事」の日は、近づいていた。
エカリーは武科の宿舎の一室に幽閉されたまま、ただその時を待っていた。
外界から遮断され、ただただシバルバ族の「創世神話」を読み返していた。
コアトルもただただ、悶々とした日々を送っていた。
自分の愛する結婚相手が、生贄として死に行く。
何も出来ない自分に、憤っていた。
一週間後に冬至の神事が迫ったその夜。
ヤコック王の執務室には、イサムナを中心にカサス、ヴェール、コアトルが集まっていた。
今回の冬至の神事の吉凶を占う卜占が行われるのだ。
この夜の卜占を行うためイサムナは、3週間前から川の流れ水に入り精神を統一し、3日間の断食を行って意識を研ぎ澄ましていた。
静まり返った執務室は、イサムナの卜占を行う準備の音だけが響いていた。
「さてさて一世一代の卜占を、始めさせていただきますぞ。」
イサムナはそう言うと、9本の竹の棒をうやうやしく両手で拾い上げ、しごき始めた。
ジャッ ジャッ ジャッ。
ジャッ ジャッ ジャッ。
精神を集中して、神が下りて来るのを待った。
ジャッ ジャッ ジャッ。
ジャッ ジャッ ジャッ。
イサムナは一瞬かっと目を見開き、シバルバ曼荼羅図の上に9本の竹の棒を放り投げた。
バラバラっと、思い思いの場所に9本の竹の棒が落ちていった。
深く息を吐いた後、それぞれの棒の落ちた先を指で確認しだした。
皆、イサムナの言葉を待った。
「今回の『冬至の神事』は…………。」
「大凶と出ました。」
皆、ぎくりとした。
「大凶?。どう云う事だイサムナ。」
ヤコック王が、たたみかけた。
「途中で横やりが入り、中断してしまうと………。」
「ゴ族かっ。ゴ族が来ると云うのかっ。」
「黒い影の暗示もあります。」
「神事が完了しない暗示もあります。」
「おっ、これは???。」
「私の命が、3ヶ月と云う暗示も………。」
皆、一瞬目をむいてイサムナを凝視した。
「な、なんと。イサムナが死ぬというのかっ。いったいどう云う事なのだイサムナ!!!。」
ヤコック王は、狼狽していた。




