2.第17章 卜占2
イサムナは、あわてて前言を取り消すように付け加えた。
「まあ3ヶ月の内に、大きな病気になるとか、重大な事件が私の身に降り懸ると云う事で、極端な場合は死をも現わしていると云う事です。」
「私の見立てでは、死を意識するような重大な体の変調と云う所ですかな……。」
「それなら良いのだが、イサムナに今死んでもらっては困る。」
ヤコック王がそう言うと、カサスも大きくうなづいた。
「お前の父のオールド・イサムナは、急死している。」
「お前には、十分注意してもらわねばならない。」
「そうですな。私の父の死に付いては不明な点も多い。」
「今度父の死に付いて、卜占をしてみなければいけないですな。」
イサムナが言い終る前に、ヴェールが口を挟んだ。
「人の死に付いて卜占を立てる事は、神への冒涜ですよ。」
「そのような事の為に卜占があるのではありません。」
「慎みなさい、イサムナ!!!。」
ヴェールの口調は厳しく、またキッパリとしていた。
そう、イサムナの父オールド・イサムナを毒殺したのはヴェールだからだ。
「これは失礼いたしました、ヴェール女王様。」
「そのような卜占は一切行いません。お許しください。」
イサムナは、深く頭を下げた。
だがヴェールは、噛付きそうな鋭い視線をイサムナに向けたままだった。
ヴェールはまた、新たな画策を計画しているのだろうか???。
気まずい沈黙が漂い、その沈黙を破ったのはカサスだった。
「現実的な対応として、どうしたら良いのだイサムナ。」
「そうですな、今までも大凶と云う結果が出た事はありました。」
「やはり、なにがしかの事件が起こっています。」
「衛兵による警備の強化と、儀式の簡素化を図り、早めに式を終えるようにした方が良いでしょうな。」
「そして『冬至の神事』までのこの一週間、各山々の衛兵による巡回警備を強化して行きましょう。」
「この国に忍び込んだゴ族どもを見つけ出し、一掃させましょう。」
「そうだな、卜占の結果がいつも良い事ばかりとは限らない。」
「悪い結果が出た時に、それにどう対応して行くかが重要な事だ。」
「あと一週間、気を張詰めて『冬至の神事』の準備にあたろう。」
ヤコック王がそう言うと、執務室での卜占は散会となった。
コアトルはヤコック王の命令で、憔悴しきったイサムナを背負って、その寝室まで連れて行った。
「ありがとうコアトル。今夜は疲れた。」
イサムナは、ベッドに腰を下ろした。
「どうしたコアトル…。もう自分の部屋に戻って良いぞ…。」
イサムナの寝室で、コアトルは立ったまま、イサムナを見つめていた。
「何を黙っているコアトル…。どうした…???。」
その場で立ったまま、コアトルは泣き出してしまった。
「コアトル………。」




