2.第12章 暗黒の一日4-4
春分の神事の夜、ヤコック王の執務室には、イサムナ、カサス、コアトルが集まっていた。
ヤコック王は淡々と、だが強い口調で語り始めた。
「卜占科長のイサムナを以ってしても、今回の日食は予見できなかったと云う事か。」
「ウサギ狩りの競技は中断され、人々は大パニックを起こしていた。」
「神の意志を伝える役目の卜占科が、その役目を全う出来なかった事になる。」
「人々の、卜占への信頼が揺らいでしまった。」
「民の統制が、取れなくなって来るかもしれん。」
「ヤコック王、誠に申し訳ありません。」
「周期的な暦のタイミングで、今回日食が起こるとは思いませんでした。」
「言い訳をする気は無いのですが、今回の日食は異常です。」
「起こるはずのない所で、日食が起きました。」
「これは不思議な現象です。」
長いヒゲをこすりながらカサスが口を挟んだ。
「我々の手の届かない所で、この惑星が変わりつつあると云う事か?。」
「ゴ族の族長シュバランケの不穏な動きも、その一端だと云う事か?。」
「確実に何かが動き出そうとしています。」
「今までのような明白神に守られた、シバルバ族では、いられないかもしれない。」
「我々は、我々独自の生き残りを模索しなければならないかもしれない。」
「そこまで状況は、緊迫しているのか?。」
ヤコック王は、うめき声をあげた。
「最近の卜占には、凶事の兆しが現れています。」
「何が起こるかは解りませんが、私は非常に恐れているのです。」
4人は押し黙ったまま、答えを出せずに時間だけが過ぎて行った。
今回の失態を受けて卜占科長のイサムナは、1か月の自宅謹慎を言い渡された。
人々の卜占への信頼は失墜した。
あのまま競技が続いていれば、優勝していたかもしれないコアトル。
何とも残念な結果になってしまった。
不穏な空気が漂い始めた惑星シバルバ。
コアトルの運命はどうなって行くのだろうか?。




