4.第15章 空堀1
東の平原の、最前線の柵の後ろで、コアトルとマックは、ゴ族の出方を待っていた。
その日、ゴ族は陣を引いた後、何の動きも見せていなかった。
キチェ族は、北の林から、うまく逃げ伸びただろうか?。
何気なく北に視線を移したマック。
「キッキーッ、やられた、コアトル北の林を見て!。」
マックが叫んだ。
コアトルも振り向く。
「あぁっ、北の林に火を付けられた。」
「あんなに黒煙が舞いあがって。」
コアトルとマックの視線の先には、北の林から逃げ戻って来たキチェ族達が見える。
村の家々に戻って行く者、こちらに向かって来る者、キチェ族達が右往左往している様が、見て取れる。
疾風のごとく、コアトルのもとに駆け込んで来た三匹がいた。
真っ赤な血に染まった族長ギル、キャティ、ウルフの種長だった。
「ガルル、コアトル、駄目だ、北の林はすでに炎の壁になっていて、抜けられない。」
「俺達は決断したぞ!ゴ族と戦って勝利してやる!と。」
コアトルは困惑して、何も答えられなかった。
マックがコアトルに言った。
「キッキー、族長は何と言っているのですか?。」
「ウホウホ、ゴ族と戦うって…。」
コアトルが答えた。
「キッキー、この戦いは、ゴ族と戦うための戦いではない、逃げるための戦いだ。」
「どう逃げるかを考えなければいけないのに…。」
マックはドンと胡座をかいて、腕組みをした。
そして、う~むと唸って、黙り込んでしまった。
北の林を強行突破するか、西の川を渡って逃げるか。
逃げる道はこの二つしかないが、どちらも大きな犠牲を払わなければならない。
特に西の川は渡ったとしても、対岸は崖、よじ登るのも難しい。
マックはまた、う~むと唸ってしまった。
その日はそのまま、夜を迎えてしまった。
翌日、その日の朝も、深い朝もやの中にあった。
視界が霞んで、遠くが見えない。
が、朝もやの中、たなびく旗の数々が見えた。
再度、ゴ族が現れた。
大軍団のゴ族が東の丘を覆っていたが、それとは別に子供のような白いマントを着た者達がいる。
目を凝らしてよく見ると、なんとマント族達であった。




