4.第15章 空堀2
「キッキー、どういう事だろう、マント族達がゴ族と一緒に居る。」
「彼らは手を組んだのか?!。」
コアトルが言った。
「キッキッ、そんな事はありえない。」
マックは眉間に皺を寄せて言った。
「……よく見てください、コアトル。」
「マント族はみんな手を縛られている、彼らは捕虜として連れて行かれたマント族達だ。」
「捕虜のマント族達を連れ出して、どうしようと云うのだ、シュバランケ!。」
マックは苦々しい思いで、東の丘を見詰めた。
東の丘の上で、眼下のキチェ族の村を見渡しながら、ヒエンはシュバランケに尋ねた。
「さて、どういたしますか?。」
シュバランケの黒いドクロの面が、朝日を受けてギラリと輝いた。
「堀があって進めないのなら、堀を埋めて、道を造ってしまえばいい。」
「マント族の森から捕虜を連れて来たのは正解だった。」
「こいつらの拘束を外し、土を入れて、堀を埋めさせろ。」
「ははーっ、作業開始だっ!。」
ヒエンが手を挙げ、太鼓が鳴らされた。
ドン、ドン、ドン。
捕虜のマント族達が一斉に、堀を埋め始めた。
だが、捕虜となって食事もろくにしていないマント族達。
皆弱々しく、作業ははかどらない。
いらだったシュバランケが馬上から降りた。
そして、膝をつき、肩で息をしていた、ひとりのマント族に言った。
「休んで、作業が出来ない奴はこうだ。」
シュバランケは大剣を抜き、そのマント族の首を切り下ろした。
マント族は前のめりに倒れ込んだが、後ろからシュバランケが蹴り上げ、空堀へと落とし込んだ。
「手を抜くマント族は皆、殺してしまえ。」
「何なら、マント族の死体で空堀を埋めてしまっても良いぞ。」
その掛け声のもと、あちらこちらでゴ族の兵士達がマント族を切り殺し始めた。
空堀はマント族の死体だらけとなった。
この光景を見ていたコアトル。
たまらず、「打って出るか!。」と、身を乗り出したが。
マックが腕を伸ばして、さえぎった。
「キッキッ、ゴ族はマント族を盾にして戦おうとしている。」
「今は出てはいけない、まだ、まだ、です。」
やっとの思いでそう言ったマックの肩が、ぶるぶると震えていた。
怒りのやり処を、押えこむように。




