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DIVA  作者: メロン味
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DIVA第14章〜第15章

第14章【まだ夜は始まったばかり。】


ゆりが眠りについてしばらく経った。……さくらとアオキももうすぐ夢の中へと落ちていきそうだった……。この、暗くて静かな環境に二人は慣れていない。夢見町は眠るときでさえ、車の音がしたり人々の声が聞こえて、明かりがまぶしい。星空なんて、見えやしない。町はこんなに明るいのに、空は暗いのだ。なんとも不思議な感覚だ。町が明るいと空は暗くなる。どうしてだろう……。空は明るい時間が好きではないのかもしれない。どうしてこんなにも寂しくなるんだろう。空が暗いことで、自分だけ一人きりにされた気分になる。特に、誰もいない夢見町はめずらしい。昼でも夜でも賑わっている夢見町に誰も人がいないと、とても寂しい。でも、それがいいのだ。誰にも邪魔されずに買い物ができる。……でも、夢見町に人がいなくなるのはとても寒い早朝。それ以外はほとんど賑わっている。……でも、この月ノ宮はどうだろう。夜にはなんの音もしなくなる。強いて言えば、川の音、虫の鳴き声、カエルの鳴き声……そういう音しかしない。まったくうるさくないし、とても心地が良い。さくらとアオキは最初こそその状態に違和感を感じてそわそわしていたが、次第に気持ちよくなってうとうとしている……。ここまで静かな環境も何年ぶりだろう。ずっと初めてのことが続いている……それはいい事でもあると思う。でも、二人のやっていることは本当にいい事なのだろうか。たしかに子供はいずれ一人で生きていかなければならない。どんな人にも訪れることである。家族は永遠には生きていられない。だから、あながち間違ってはいない。でも、本当にこれでいいのだろうか。もう、誰にも見つからないのではないか。誰も心配していないのではないか、本当は自分のことを見てほしいだけ。少しでもいいから、ほんの少しでもいいから、私を見て。これは子供の最大のわがまま。子供なら当然にこう思う。でも、大人だってそう思うことはある。大人になるにつれて、甘えることが難しくなっていく…。大人って楽しいのかな、大人ってつまんないのかな。大人、大人……大人にだって子供だった頃がある。必ずその過程がないと大人とは言えない。子供だったからこそ、大人というものになれるんだ。だから、この子供の時期はとても大切なもの。もう二度と戻ってこない時間。大人達はそれがたまに寂しくてしょうがなくなる。当たり前だ。大人だって子供だったから。大人には、逃げ場があまりない。だって結局はひとりぼっちだから、誰も本当に自分のことを愛してくれる人はいない。自分だけが自分を愛せるんだ。でも、それはとても難しいこと。




ソソッ……


と音がする。さくらとアオキは慌てて目を覚ます。「ゆりさん?もう起きた……」アオキがさくらの肩をぶっ叩く。「いたっ!なにすん…」「あれは『ゆり』さんじゃねぇ……『マリア』だ……!!」アオキはマリア(?)を睨みつける「マリア……?あれがそうなの……?」さくらはマリア(?)を注意深く見守る。「マリア……って……オレのことか」マリア(?)はさくらとアオキに気がついたそうだ。「あ〜お前ら、ゆりの部屋にまで来たのか。」マリアの髪がぐしゃぐしゃで顔があんまり見えない。ゆりは寝ると髪が乱れてしまうようだ。「じゃっ。オレは散歩でもしてくるぜ」マリアがベッドから出ようとするとさくらたちは慌てて止めた「まっ!待ってくださいっ!それはダメ!」さくらはマリアを押し倒す。「うぇ!いった!なんだよぉ?」マリアは腰を抜かした。「ミス・ゆりに言われたんです。あなたを寝かせろって」アオキはドヤ顔で言う。「あっ?そんなこと………あ〜……言ってたなぁ……」マリアはぶっ倒れる。「だから、起きちゃだめです!寝てください!ゆりさん、肌の色が白すぎて体調悪そうだし、」さくらは心配そうに言う。「あ、それ昔からだから。別にいきなりなったわけじゃないから」マリアはだから大丈夫と言わんばかりにまた体を起こそうとする。でも、さくらとアオキがまた押し倒す。「だーかーらっ!!離せって!」マリアはぎゃーぎゃー喚く。「……!無理です!約束したの!」さくらは首をぶんぶん横に振る。「おとなしく寝てろよ!子供じゃないんだから〜」アオキも少し苛ついて言う。



コンコン


……誰かがドアをノックする……



「なんですか、夜なのに…うるさいですよ」



あれ、この声は……『ゴトウ先生?!?!』さくらとアオキは目を見開いた。「あ?誰の声です……?…とにかく静かにしなさい。わかったね?」ゴトウ先生が遠のいて行く音がした。「おっ先公だ。」マリアがつぶやく。「とにかく、もう寝て!」さくらとアオキはマリアに囁く。「わかった、わかった、寝りゃいいんだろ、寝りゃ……!」マリアはニヤついて言う。マリアは言われたとおりにベッドに戻り、さくらとアオキも用意された布団に入った。「ほんとに寝るかな?」さくらは顔をしかめる。「寝る。寝る。寝るっつったもん。ですよねー?マリアさーん」アオキはマリアに投げかける。「もちろんで〜すっ」マリアは返事する。「ほらなっ。寝んだよ。」アオキは枕の後ろに手を組んだ。「……だといいけど。」さくらはアオキが見えない方向に体を背けた。





しばらくすると、さくらとアオキは完全に眠りについていた。そして、あの女は目覚める……。「おやすみベイビーども☆」マリアは案の定、服をいつもの赤いドレスに着替えて、ドアを開けた……。すると……?


「寒い……寒い……」



遠くから弱々しい男の声がする。マリアは咄嗟に部屋に入った。……でも、ドアは半開きにしておいた。その男が誰かは、まだ見ていないから……。マリアは少し胸がざわついていた。『マリア』として他の人に会うのは初めてだからだ。ゆりはたくさんの人と話してたけど、マリアにはそんな機会はなかった。マリアはそわそわしながら半開きのドアから彼を除く……。

その男は………



『アオハ』だった。




マリアは少し安心した。『マリア』としては、彼のことを知らないけど、『ゆり』としては彼を知っているから……、マリアは思い切って外に足を出してみた。次に、体を…



マリアはまっすぐとアオハを見つめる。アオハはとんでもない顔をしていた……。まるで絶句しているようだ……。アオハはそれから大きく口を開いて叫ぼうと……した。




………その瞬間にマリアはアオハの唇を奪った。




突然のことに、アオハはそれに身動きも抵抗もできなくて、ただ、マリアを見つめていることしかできなかった。



でも、なぜゆりの部屋から出てきたのか、もしかして、ゆり……?ともアオハは思った。でも……。ゆりがこんなことをするはずがない……いや、『してくれるはずがない』



しばらくすると、マリアは口をそっと離す。



………二人はしばらく見つめ合っていた。



「………!」ゆりはその瞬間に戻ってきた。今、自分がしたことを一気に思い出す……。



ゆりは気が狂いそうだった。ゆりは衝動的に部屋に入って行った。力強くバンッとドアを閉めた。



「……」アオハは何もできなかった。その閉められたゆりの部屋のドアを見つめているくらいしか。アオハは特に何も言わずに自分の部屋に戻った。ゆりの部屋の中から、アオハが部屋に入って行った音がかすかにする。




ゆりは、声を殺して泣いて、枕を濡らしていた。なんだか、涙が溢れてしょうがないのだ。アオハのことは、嫌いな訳ではない。むしろ……でも、その先の言葉はなかなか思いつかない。アオハはゆりにとって、複雑な人だ。彼自身が複雑な訳じゃなくて彼の立場がとても複雑なのだ。アオハはいつもゆりのことを気にかけてくれる。特に、中学に上がってからはゆりに絡んでくることが多くなっていた。アオハの優しい声、笑顔……。ゆりにはどれも思い出すたびに苦しくなる。どうして……どうしてこんなにも不思議な気持ちになるんだろう。アオハは、大事な友達。これのせいでなんか変になったら、どうしよう。ゆりはそのうちに、うとうとしてきた……。ゆりはそのまま、静かに瞳を閉ざす……。





「ゆりちゃん」呼ばれて顔を上げる。そこには……アオハがいた。アオハはまるで王子様(?)のような格好をしていた。それに気づいたゆりは、ふと自分の服装を見る。……やっぱり。ドレスだ。しかも、ピンクの……ゆりは昔ピンクが好きだった。今では、好きは好きだけど、それを公にはしない。子供の頃はピンクの服を着てなんにもピンクのものを選んで……。ゆりはいつもカラフルな服を着ていた。……でも、歳を重ねるにあたってゆりの服装は段々と落ち着いた色のものになって行き、次第にはおしゃれをしなくなった。一番の理由はめんどくさいからだが、昔あんなにスカートやワンピース……ふりふりの服が好きだったあの頃の彼女からは到底こうなるとは推測しづらいだろう。現に、リンもピンクが好きだが、今も相変わらずおしゃれを楽しんでいる。ゆりは、少しそんなリンを妬ましく思うところもあった。ゆりは小学校高学年から、みんなが大人っぽくなっていくのを見て、自分もそうなろうと努力した結果がこれだ。もちろん、それだけで今のゆりがあるわけではない。




ゆりはアオハに手を引かれ、水辺に連れて行かれる。その水面には、星空が反射していて、とても美しいものだった。ゆりは、鏡みたいに反射する自分の姿を見る。「……」ゆりはその中の自分に吸い込まれそうになった……



「おきろ」


「!?」ゆりを呼ぶ声がする……。また、ゆりは水面を恐る恐る除く。と、



マリアがそこにはいた。



ゆりはマリアを見て尻もちをつく。




「もうおきないと、まにあわないよ」ゆりはすぐそばで声がして目覚める。「あ…?」ゆりは、横を振り向く。「あんただれ…?」ゆりは寝ぼけた目で見つめる。「よつばだよ!」よつばがそう答える。よつばはゆりのすぐ横で寝っ転がっていた。そして、それを取り囲むようにさくらとアオキがいる。「ほら、ちゅーぎゃっきょー(中学校)は小学よりも早いらしいぜ。おきなさいなぁ」アオキはゆりの布団を引っぺがす。


「寒っ!!」


ゆりは体を丸める。「わぁ!きれ〜」よつばはゆりの着ているドレスに釘付けだ。「綺麗じゃねぇ!!さむいぃぃ!!」ゆりはブルブル震える。「そんな服着てたら風邪引くだろ」アオキは引き気味に言う。「ねぇ、寝る時こんなカッコしてた?」さくらはアオキを見る。「?覚えとらん。まぁ、パジャマなんて人それぞれだし?」アオキはなんか偉そうにいう。「ねぇ……この服を着てるやつこそ『マリア』なんだけど!アイツちゃんと寝かせたの?!」ゆりは寒くておかしくなりそうになって聞く。「え?寝かせた!」さくらとアオキは同時に言う。「……。そ、そっか〜……はぁ…」ゆりはため息をついた。でも、自分が好んで着るものではない!!マリア以外に着るはずが……そこで、ゆりは昨夜のことを思い出した。アオハのこと……マリアのこと……ゆりは恥ずかしくて消えてしまいたくなった。「ア、アハハ……ソウダッタ。コレハパジャマダ……」ゆりは焦っていう。「キガエテクルネ……」ゆりはジャージを適当に上から着て部屋を出た。


「やっぱりあんなパジャマヘンだ。おかしいに決まってる」アオキが呆れて言う。「気まぐれなのかなぁ……ゆりさんああいう服着るタイプじゃないと思ってたんだけど……」さくらは心配そうに言う。その二人の言い合いをよつばはただぽかんと見ているだけだった。





ゆりは更衣室へと向かっていた。とりあえずこの服を変えなくては……本当は部屋で着替えたいけど、部屋にはあの子たちがいる。これはゆりの最低限の配慮だった。



「ゆりちゃん」


行く手を塞ぐように目の前にリンがいた。「ゆりちゃん。おはよ。」リンはゆりに近づいてきた。「……?お、おはよう……」ゆりはリンよりも背が高くなってしまったため、見下ろす形になってしまう。昔はリンの方が大きかったのにな……ゆりはリンのことが羨ましい。背が小さくてかわいくて、優しくて誰にでも好かれてる。そんな彼女のことが憎い。私のことなんて誰も愛してくれない。かわいくもないし、女の子らしくないし、性格悪いし…本当はゆりはリンなんかと話したくない。言ってしまえば誰とも話したくない。今はそんな気分なのだ。ゆりはリンから目をそらして、話す。「今度は何……リン『さん』……」ゆりは鬱陶しそうにリンに話す。



「なにそのリン『さん』って。」


リンはこれまでの優しい雰囲気とは違う、殺伐とした言い方をした。「えっ……?あっ、いや、……」ゆりは戸惑ってしまった。「他人行儀にもほどがあるんじゃない。」リンはゆりを死んだ目で見つめる。まるで、リンじゃないみたい……「あっ……。うん……ごめんなさい。」ゆりはとりあえず謝った。リンは、少し深呼吸して話す。「『バラみ』ちゃん、見かけなかった?」リンは冷たくゆりに聞く。「あっ……。知らない。」ゆりはまた目をそらす。すると、リンはなんにも言わずにゆりを素通りした。


あー。めんどくさいな。


ゆりは冷めた目でリンの背中を見つめる。早く着替えてしまおう。まだ時間に余裕はあるのだから。ゆりはそそくさと更衣室に入り、素早く制服に着替えた。そして、いつもの三つ編みに髪を結ぶ。なぜこの髪型をしているのかというと、ゆりは最低限のおしゃれのつもりらしい。三つ編みは地味な女の子がよくする髪型らしいが(ゆり自身もそうかもしれない)ゆりにはそうは思えなかった。ゆりにはおしゃれで女の子らしく見える。それに、ゆりはメガネをかけているけど、頭はとても悪い。小学校の問題でさえまともに解けない。リンの方が頭がいい。テストでいつも高得点。可愛くて頭も良くて、みんなにちやほやされて……ゆりはため息をつく。そして、ゆりはふとバラみについて思い出す……彼女は昔は優しく、引っ込み思案だけど、ゆりがバラみをみんなの輪に入れていた。バラみはそのおかげで幼い頃のゆりのポニーテールを真似するくらいには影響を受けていた。……ゆりは時々そのことを思い出して、私にもいい影響を人に与えられるんだ……と自分のことではないように思えてしまう。リンも、リンが一人で泣いていた時、ハンカチを持ってきて渡してきたという話をずっとしてくる。そのハンカチを、リンは未だに大切にしている。結構汚れていたのを、ゆりは見た。水道で手を洗っている時に、あのハンカチがちらりと顔を覗かす。ゆりはそれを見て、逃げ出したくなるのだ。私には価値がない。誰にも必要とされてない。誰にも見られてなんかない。ゆりはいつも自分にそう言い聞かせた。ゆりは足早に部屋へとかける。


バンッ

ゆりは力強く自室のドアを閉める。……よつばたちは3人でベッドで眠っていた……。ゆりは、その姿に少しニヤッとした。なぜかは、わからない。なんだか、何もかもどうでも良くなってきた。この子たちはこんなにも気持ちよさそうに眠っている。私はいったい何をしてるのかな……と。


そんなゆりに朗報だ。



「ねぇ〜?いるぅ〜?」


ゆりの部屋のドアから声がする……ゆりは、恐る恐るそのドアに近づいた。「えっ……?だ、誰でしょうか……?」ゆりは震えた声で苦笑いする。


「あたしよ!キャリーナ!」


ゆりは慌ててドアを開けた。「キャリーナさんっ?!な、なぜ私の部屋が……」ゆりは冷や汗で話す。「ん?聞いたのよ、先生に。」キャリーナはゴトウ先生を見る。「そうだなぁ。ゆりさん。『DIVA』のキャリーナさんが探せと言うなら特徴だけでも探し出さないと。と思って。」ゴトウ先生はニヤニヤして言う…。「ちっ、ちなみに……どんな特徴なんですか……?私って………」ゆりは恐る恐る聞く。ゴトウ先生がその問いに答えた。「あ〜そうだな。まず黒い髪でサラサラな感じで声が高めで少し情緒不安定、メガネをつけたり取ったりする。あんな赤いドレスを着ているわりには余裕があったりなかったりする。実は子供の面倒を見るのが得意そう。あとは……」いいところでキャリーナが口を挟む。「あっ!あのね……。あなたの先生方や保護者の方には話しておいたから……。あんた、『その子達』と一緒に私の家へまた来てくれない?」キャリーナはゆりに丁重に聞く。「えっ……」ゆりは真っ青になる。「あ?!なんだ!!アイツら、よつばとさくらとアオ」ゴトウ先生がとんでもない形相でパニックになってると、「先生!いいです!あれはその子達ではなくてそっくりなだけです!」キャリーナがなだめる。「……?そ、そうなんですか………?」ゴトウ先生はキャリーナを不安そうに見る。「まぁ、いいでしょう。先生。……さぁ。来て。」キャリーナはゆりへ手を伸ばす。……ゆりは、その手を掴んだ。





キャリーナは車でゆり達を家まで送った。ゆりは、車から降りた時、キャリーナにぼそっと話した。「あの……どうして私の部屋がわかったんですか?」キャリーナはその問いにニッコリと笑って答える。「あなたが連れて行ってたのを見たのよ。だから、知り合いだったのかなって。ちょうどいいわ〜!ってね!」キャリーナは笑う。「そ、そうなんですか……」ゆりも苦笑いする。




ゆり達はキャリーナの家に入り、少しくつろがせてもらった。オリーブも同じくゴロゴロした。




       第14章終わり








第15章【あたしだって】

キャリーナは、よつば達に話しかける。「ねぇね、うちの子ってさぁ〜…あんたと(ゆり)同じ学校に通ってるんだけどさ。態度がひどいったらありゃしないのよ、パパにはそんな素振りないのに。」キャリーナはいやみったらしく言う。「へぇ……そうなんですね…」ゆりはとりあえずうなずく。だって、そんなこと親ですらない自分に向かって言われても、よく分からないからだ。キャリーナはさっき話したことをまるで無かったかのように振る舞った。「今日はあなた、大丈夫なの?変なかっこ、してない?」ゆりは、キャリーナのその言葉に戸惑う。今日は制服のはずだ……。と。「いいの、いいの!気にしないでっ。今日は大丈夫そーね。」キャリーナは笑って言う。「あっ、そ、そうですか……それは……よかった……」ゆりはちょっと戸惑って言う。「キャリーナさん、何かお菓子でも用意してあげたらどうです〜?」オリーブが、スマホをいじりながら話す。「……。はい!もちろんよ。作るわっ」キャリーナは少し間を開け、茶菓子を用意する。「はいっ!どーぞ。お食べなさいな。お腹も減ってるでしょう?」キャリーナはお皿をよつば達に差し出す。「食べていいの!?」よつばは目を輝かせる。「何言ってんの?もっちろんよ!」キャリーナは笑って言う。「パパ…いつも、お金ないっていうからあんまり食べられないの!」よつばはそう呟く。「そーなの?お父さん、働いているんでしょう?だったら、普通の生活くらいはできるでしょ。」キャリーナは爪を整えながら話す。「うん。……でも………やっぱり、お金がないの」よつばはちょっとしょんぼりして、お菓子を見つめる。「だったら、ここでたーんと食べなさい。ほら、」キャリーナはよつばの目の前にお菓子を持ってきた。「……!とってもかわいい!」よつばはときめいている!「これはマカロンよ!可愛いでしょ〜?味も美味しいわよ。これは、いちご味なの。」キャリーナは、お菓子作りが好きなので、もちろんこのマカロンも手作りだ。「いちごだぁ〜♡おいし〜♡」よつばはすっかりマカロンの虜だ。「あら、食べたことないの?お店とかに実は安く売ってるのよ。今度よく探してごらんよ。」キャリーナはよつばの背中をトントン優しく叩きながら言う。「そうだね…!パパと探すっ!」よつばは笑顔で言う。



パパ


さくらはその言葉に胸がかき乱れる様な思いだ。その言葉は、何の変哲もない、普通の言葉のはずなのに……冷たく聞こえてしまう。本当は、あたたかいものであるはずなのに。


「よつばっ。俺にも食わしてよ。そのマ『キャ』ロン」アオキはわざとらしく言う「いーよ!」よつばはいちご味では恐らくない黄色のマカロンをアオキにあーんした。「!!しょっぱ!!」アオキはその場で悶た。「大丈夫?アオキくん。」よつばはその様子を平然と見ている。「レモンだよっ!あーはっはっは!!アンタ、面白いねぇ。甘めに作ったはずだから、そんなしょっぱくはないと思うけど。」キャリーナは自慢げに言う。「〜!そうですかぁ……?」アオキは納得いっていない!






ふと、キャリーナはオリーブを見る……。「オリーブ…?」オリーブは顔を伏せてだらーんと手をたらし、眠っている…?キャリーナはこんなにだらけてるオリーブを見たことがないので物珍しかった。「オリーブ……?」キャリーナが彼女の肩を持つと、オリーブの髪色がピンクになった…?



「あ?」


オリーブは顔を上げる。「はっ……?ちょ、ちょっと……」キャリーナは珍しくドン引きしている。オリーブはそんなことを気にせずケータイをいじくる。「あ、『レイン』からのつーち。」




「レイン!!」



キャリーナはものすごい勢いでオリーブのケータイを「ちょっ!ちょっと!やめてっ!!」拒否するオリーブからケータイを奪い取り、キャリーナはにんまりとした。




「ついに……。ハナとレインに会える……?また、あの頃の輝きは戻ってくる……?!」




キャリーナは目に輝きが宿る。





「ホントにそうなの……!?うふ………うふふふふ…あははははは、あははははは!!」



キャリーナが大笑いし始めると、彼女は眩しいほどに光り輝いた……まるで、星みたいに、子どもたちもオリーブもつい、目を細める。




目を開けると……。キャリーナはまるで『スーパースター』みたいに変わっていた。「これが私……!!私は誰もが見惚れるスーパースター!!みんな!あたしを見てっ!!」


「見てっ!!」



キャリーナがそう叫ぶと、彼女は輝き出す。もうこの家はめちゃくちゃだ。「あ、ああぁぁ……も、もう帰ろ…」ゆりは怖気づいて言う。「……だめ。」よつばはキャリーナとオリーブを見て言う。「なんでっ?!」ゆりは素直に気になった。「だって、あれ、『きらきら』したやつをとってあげないと。」よつばは意味のわからないことを言い出す。「き…ら…き…ら……?」ゆりは思考停止する。「うん!だから、帰っちゃだめ!」よつばはゆり達に強めにいう。「でも、そんなこと言ったって、どうすんのよ。私達にできることなんてないわ」さくらは戸惑う。「なんか、テキトーに話せば?それで解決すんじゃね?」アオキは適当に言う。「ふざけんじゃないわよ。アンタ、ふざけすぎにもほどがあんじゃない?嫌いなんだよ!そういうとこ!」さくらはアオキを怒鳴りつける。「……はっ?おい、お前こそなんでこんな時にそんな態度なんだよ。」アオキが言い返した直後……




「なんでそんなこと言うの!オリーブ!笑いなさい!もっと!」


キャリーナの大きな声がした。



「だから……私はもう、全部諦めたいんだよっ!……どうせ、ハナ達は帰ってこないし、どうせ私もこのまま何にもできずに終わってくんだわ。もう希望も何もな〜い。一生寝て暮らしてた〜い。てか、ケータイ返してよ」オリーブはキャリーナからケータイを奪わおうと手を伸ばす。「ダメよっ!!レインから連絡が来たの!!私達も……彼女達の仲間だって、まだ思われてるはずよ……ねっ?」キャリーナは微笑む。「仲間……?仲間だったら、音信不通になんてなる?あたしだったらしな〜い。結局、いいコマにされてるだけなのよ。どうせ、自分たちが売れるためだけのいい道具に使われてたのよ。私達全員!!あの二人は、ただのビジネスパートナーとしか私達を見てない!!」


オリーブはキャリーナを睨みつける。「え……」キャリーナは輝きが失せた。「は…、分かってるわよ……そんなことっ」キャリーナは急に雰囲気が禍々しい雰囲気になった。



「わかってたけど見ないようにしてたっ!!知らないふりをした!!それでも……やっぱり駄目だった!!ああああぁぁ!!!」

キャリーナは頭を抱えて発狂しだす。オリーブも子どもたちもその様子を黙って見ていることしかできなかった……。



「私はあの二人に必要とされてない……。私は、二人の1番にはなれない………。なんで………?なんでだよっ!!」



キャリーナはふいに鏡の自分と目があった。「………」すぐさま、鏡から目をそらして、キャリーナは必死に荒い呼吸を落ち着けた……。すると、彼女の髪色は元の紫に戻り、いつもの顔色と呼吸に戻り、よほど疲れたのか、その場で倒れた。



「……。だるい」オリーブはそんなキャリーナを切ない目で見つめる。「あっ!ほら見て!」よつばは、黄色い光(?)を指差す。「あっ……!」アオキ、さくら、ゆりは目を見開いてそれを見た。美しくも儚い、不思議なものだった。よつばの方へと、その光は吸い寄せられるようによってくる。よつばは、その光を掴み、他の色のものと合わせ、一つの光にした。



「……きれ〜い」

その様子を見ていたオリーブは、その光に夢中になり駆け寄ってきた。「これは、なんですか……?素敵ですね。なんだか、落ち着く……」オリーブは愛おしそうにその光を見つめる。すると、オリーブの姿も元に戻り、いつもの彼女に戻ったようだ。すると、よつばの持っている光に、ピンクの光が入り込んだ。色が合わさる瞬間がとても綺麗で……子どもたちとオリーブは、しばらくそれに見惚れていた。






       第15章終わり



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