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DIVA  作者: メロン味
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DIVA第10章〜第11章

第10章【運命……?】


「さくな。いつまでこんなことしてるの?」



コウジは寝込んでいるさくなに声をかける。……でも、彼女からの返答はない。「……さくな…さくらが帰ってこないのは、僕らがこんなだからだよ、」コウジはさくなの寝ているベッドに座り込む。「きっと、あきられちゃったんだ。」コウジは少し涙を流してしまった。「……さくな…」コウジは、言葉をつまらせる。コウジは、何も言わないさくなを見て、上を向く。涙が溢れてしまいそうだから……。「せっかくここまで来たのに……。もう何もかもめちゃくちゃだ」コウジはうつむく。「……あのね。」さくなの声がして、コウジはゆっくり振り返る。「私、ご近所さんにも嫌われてるし、お母さん達とも仲良くなれないの。だって、私は変わり者だから。みんなが嫌がる役員も私がやってみた。でも、うまくいかなかった。私が頑張ったところで、誰も私を仲間に入れてくれないし、私ももう疲れちゃった。……でもそのせいでさくらは孤立してる。きっと、私のせいなの。私も孤立してるんだから、あの子がしないわけないのよ。私も子供の頃は浮いてたし。私が何かしたところで余計に避けられるだけなのよ。だから、参観にも行ってないし、面談にも行ってない。運動会とかも。私は最低の親。あの子はこんな親から生まれてくるなんて、本当に可哀想。せっかく生まれてきたのに、こんな寂しい思いばかりさせて。自分が本当に嫌いなの。私はあの子を傷つけることしかできない。だって、私もそうだから、あの子に優しい言葉をかけてあげられないの。あの子はいつも教室の隅でみんなを見てるだけ。昔はこんなことになるなんて、思ってなかった。あなたの血も混ざってるから、なんとかなると思ったの。まぁ、成績が良いのは唯一の救いかな、私みたいに頭も悪くて誰とも話せないなんてことにはなってほしくなかったし。さくらは私と違って賢いの。賢すぎたのよ…。自分がみんなから必要とされてないことに気がついてしまったの。今よりも、もっと、ずっと、前から。そんなことに気がついたら、これからどうやっていけばいいの?あの子に何が足りなかったの?私が親だから……?私にもっと勇気があれば、あなたみたいに賢ければ、もっと社会的で尊敬されるような人だったら?私はあの子に何をしてあげられたの?」さくなは、ボロボロ泣きながらコウジに問いかける。「……そうか。」コウジはまっすぐさくなを見つめ、そう言い放った。「……!あなた…」さくなはコウジを見つめた。コウジは、そんなさくなを抱きしめた。「私、頑張ってるのに……どうして誰もわかってくれないの?何がいけないの?私なりにできる事をしてるのに……」さくなは、コウジの胸の中で泣く。コウジも泣いていた。さくなのこと、さくらのこと、二人とも同じくらい大事なもの。でも、コウジは二人が見えなくなっていた。長い間遠くで仕事をして、いつも同じような光景を見て、何度も何度も繰り返す。コウジはさくなを更に強く抱きしめる。「もう……家から出たい。どこにも私の居場所はないの。一生、私は孤独なの。あの子も、そうよ。私の子だから。一生一人なの。誰にも愛されず孤独に死んでいくのよ!これは、そういう運命なの。私とあの子は血が繋がってるから、同じなのよ、変えられない……」さくなはコウジの胸に顔を埋める。「……。ごめんね。」コウジも釣られて涙が出る。どうして、こんなことになってしまったのか。自分のせいなのか。それとも、二人のせいなのか。でも、自分がいればここまでのことにはならなかったかもしれない。さくらはケータイも家に置いていっている。本気で我々と離れるつもりだ。でも、所詮はまだ子供。10歳の子供がそこまで遠くに行くはずがない。きっと、ここらへんにはいるはずだ。コウジは、とある決心をした。





「今日から新しく入ってきた『コウジ』くんだ!みんな、仲良くしてやってくれよ。」さいとう社長がシロツメ達に元気良く言う。みんな、その言葉のあとに、拍手をした。コウジは済ました顔で席に座る。……シロツメの隣だ。シロツメはコウジがなんだか好きではなかった。彼はシロツメよりも2個くらい年下だが、この……完璧な雰囲気というか、自分よりも優秀そうで見た目から好きじゃなかった。それに、シロツメよりも背が高く、きれいな顔立ちだった。「おはようございます。コウジと申します。よろしくお願いいたします。」コウジは、とっても爽やかな笑顔でシロツメに挨拶した。「あっ……。お、おはようございます……。あっ!ぼ、僕は……シロツメです……な、何かわからないこととかあれば……何なりと言ってください!」シロツメは必死に作り笑いで耐える。「ありがとうございます。大体やることは分かっているので、ご迷惑はかけないと思います。お気持ちだけでも、嬉しいです。」と、コウジ。「あ……はい……」シロツメは笑顔を解く。コウジはしばらく微笑むと、パソコンに顔を向けた。その横顔は、なんだか少し寂しそうな顔だった。彼は、パソコンを開くとすぐさまシロツメが未だにできていない作業をいとも簡単に終わらせた。シロツメは今までの努力が無駄だと思った。目の前でこんなにもすぐに終わらせられたら、自信がなくなる。あんなに一生懸命自分なりにやっていたのに……。やっぱり、コウジのことは好きにはなれない。シロツメは、またもやパソコンに向き直る。いけない、いけない、好きな人でもないのに、なぜ彼のことがこんなに気になるのだろう。自分よりはるかに優れているから?本当は見たくないけれども、それでも見てしまう。自分との明らかな差が見えてしまうというのに……。それでまた、自己嫌悪に陥るんだ。すると、コウジはスマホを取り出した。シロツメの目にロック画面が一瞬映る。


「あっ!!」


そこには、とても恐ろしいものがあった。よつばが家に連れてきていた……例の怪しい女の子……『さくらちゃん』がいた!「……?ど、どうかしましたか……?」コウジは恐る恐る聞く。「えっ?!あ〜〜……そ、そのっ……あははっ。その、その、そのロック画面……すごく素敵だなぁって!思わず声が出ちゃいました〜…」シロツメは早く帰りたくなった。もう、こんな状態で仕事ができない。「……そ、そうですか……。………?あの、………この写真に写ってる子の事、知ってるとかって………」コウジはシロツメの瞳を掴んで離さない。



「いや!知りません!!始めてみました!!」


シロツメはまた大声を出す。会社の仲間達がざわざわしだす。「……ごめんなさい…あはっ……大声を出してしまって……その、あまりにも素敵なご家族すぎて……すばらしいなぁ……と……」シロツメは、もうしどろもどろ。「……。そんな家族じゃないと思います」コウジは急に冷めた顔をした。「えっ……?!」シロツメはすぐにその態度の変化を察した。「娘は、今行方不明なんです。」コウジはロック画面を見つめる。「え……え…」シロツメは必死に記憶をたどる……うん?まてよ、さてはあの服装、普段着ではない?あのラフな感じの服装、パジャマ……?でも、パジャマで家なんかでるか?家に帰る予定だったとか……。ということは……。何かの事件に巻き込まれた………?そういえば、家族に連絡しようとしたら、すごく嫌がられた。一人ならまだ、二人にも。もしかして、家出……?でも、どうしてそんなことするんだ。せっかく、家族がいるのに。シロツメには家族がいない。シロツメは、生まれる前に両親が亡くなり、孤児院育ちだったから。だから、家族がいる人の気持ちが分からない。特に、子供の気持ちは。シロツメは昔から、一人で生きることを目的に生きてきたので、子供のように甘えたり、わがままを言ったりとか、したことがない。ずっと一人で自立した子供時代だった。だから、そんなことをする子供がいるのが、理解できない。でも、それと同時に、親がいる感覚がわからないから、親がいると、自由がなかったり、言うことを聞かなければいけなかったりして、居心地が悪いのかな。とも思う。家族は不思議だ。僕は家族が大好きなんだけどな………。シロツメはそう思った。「あの〜。シロツメさん…?」コウジは少し困って話しかける。「あっ!!そのっ…!すみません…!ぼ〜っとしてて〜……」シロツメは冷や汗をびっしょりかいていた。「……そうですか。シロツメさんには、家族はいらっしゃるんですか。」コウジはどこか遠くを見るような目で言う。「あっ……僕も、妻がいなくて……いないってのは、コウジさんと同じで行方不明で。そして、僕の双子の子の兄の方もいなくなって……だから、僕と双子の弟と、二人だけです。……もう、帰ってくることはないでしょう。」シロツメはうつむく。「どうして?」コウジは聞いてくる。「僕らは捨てられたんだ。」シロツメは虚ろな目で答える。「……僕らもそうだと思う。」コウジはシロツメをまっすぐ見据える。「えっ」シロツメは動揺した。いきなり鋭く見つめられたものだから。「あの子は僕らを捨てたんだ。」コウジはシロツメの目線をたぐり寄せる。「……?そ、そんなっ!こんなに幸せそうなのに……!」シロツメはいきなり感情的になってしまった。信じられない……どうしてそんなことができるのか。「僕も妻も、あの子を愛してあげられなかった。いや、愛していたんた。でも、あの子には分かってもらえなかった。でも、僕らの責任でもある。あの子には足りなかったんだ。」コウジはシロツメの目を捕まえる。



「………。だから、ここに転勤したんだ。」


コウジは相当な覚悟でそう言った。「……。そうですか…。」シロツメはその強い視線に少し引いて答えた。「ちなみに、その子のお名前は……?」「『さくら』です。」あっ。シロツメはもうダメだと思った。『さくら』……。言われてみれば、コウジのこのいや〜な雰囲気もさくらに似ている。この鋭い目つき、賢そうな雰囲気。彼女にそっくりだ。シロツメは、更にしどろもどろになる。「……。素敵な名前ですね。」シロツメは、苦笑いをして言った。これは、馬鹿にしているとか、そういうのではなく、自分を落ち着かせるためだ。この状況が、耐えられない。シロツメは、頭が真っ白だった。「もしよろしければ、この電話番号に……」コウジはケータイの画面を見せてきた。そこには、彼の連絡先が書いてある……「あ、ありがとうございます……。」シロツメはケータイでコウジの画面を撮った。「何かあったらご連絡、ください。」コウジは寂しそうに微笑んだ。








       第10章終わり









第11章【不思議なアイドル】


ルルは、孤児院の個別部屋で、真夜中なのにまだ起きていた。ルルは、呟く。


「おともだちがほしいの。」


すると、ベランダから眩しい光が……。ルルは、それが気になり、窓を開けた。すると……



「ママ!!」



と、二人の大きな女の子がルルに抱きついてきた。「あなたたち、だあれ?!」ルルは少し強めに言った。






「僕は『ルナ』。」







「あたし、『ルリ』っ!」



ルナと、ルリ、というらしい。ただ、ルナの声は女の子らしい声なのに対し、ルリはボーイッシュな声だ。でも、二人の性格は声とは真逆だ。「ママ、僕とあそぼ〜」とルナ。「ダーメー!ルナは変な遊びしかしないでしょ〜!」とルリ。二人で小さなルルを奪い合う。





「う〜る〜さ〜い〜!!」



ルルは叫び出す。「ママが一番うるさいっ!」と二人同時にいう。「ルルちゃ〜ん?どうしたの〜??」担当のおばあちゃんがルルの元へやってくる。「早くっ!隠れてっ!おばあちゃん来るっ!」ルルは二人をベットの下に押し込む。「え〜?ママ、ここせま〜い!」とルリ。「ママ!僕、こんなとこやだよっ!」とルナ。「い〜から!うるさいっ!」とルル。すると、ドアが開いた。「もう起きちゃったの?まだ起きるには早すぎるわ。もーちょい寝てて。」と、おばあちゃん。「はい。」とルル。「お布団に入ってね。風邪ひいちゃうからね〜。」と、おばあちゃんは優しくドアを閉める。「うるさいのっ!みんな寝てるのっ!」とルルは小声でいう。「わかったよ、でも、ルリのがうるさかった。」「うんう、ルナの方が大きかった。」とルリとルナが言い合う。「寝るの!もう!」と、ルルは布団に入った。すると、ルリとルナも入ってくる。「一生に寝ていい?ママ。」と、ルリ。「僕も。」とルナ。「……?ん〜……いいよ〜……。」とルル。ルルよりも大きな二人が入ってきたので、ちょっと狭かった。でも、いつも一人だったので、少し安心できたかも………?翌朝、ルルが目覚めると……やっぱり二人はルルの横にいた。まだ、眠っているらしい。……夢ではない……みたいだ……。ルルはルリとルナを見て、ため息をつく。……ふと、二人の寝顔を見る。あれ、誰かに似てるかも……?よく見ると、二人の服装や、アクセサリーに『四つ葉』と『桜』の形をしたものがついている。四つ葉と桜?それって……?ルルは一瞬、『よつば』と『さくら』の顔を思い浮かべる。でも、そんなはずはない……だろう……。ルルは、二人を起こした。このまま放置していたら、何が起こるか分からないからだ。「う〜ん?なに、」ルリが寝ぼけて言う。「ママ……?」ルナもぼ〜とした顔でいう。「ねぇ、いつまでここにいるの?私の部屋から出てって!」ルルは二人を押し出す。「やっ、やめてよ!ママ…!」ルリは焦って答える。「ママのいじわる〜!」と、ルナ。「だめよ!出て!」ルルは二人を押すけど、ルリとルナの方が力が強い。「わっ!」ルルは力を入れすぎて転んでしまった。「うぅ……」ルルの目からは涙がこぼれていた。「ママっ?!ごめんなさい……」と、ルリ。「ママ、大丈夫?」と、ルナがルルをお姫様抱っこしてベッドに置いた。「…もっと大きくなりたい……。」ルルはそう呟いた。「え?」ルリとルナは顔を見合わせる。「大きくなりたいって……?」



「大人になりたい!」


ルルは強めにそう叫ぶ、すると……ルルの身体はたちまちルナやルリと同じくらいの姿になった。



「えっ!?うそっ?!」ルルは大きくなった自分を見て歓喜する。背が高くなって、見える景色が今までと全く違う。ルルは、鏡を見た。今まで着ていた服はちっちゃくなっていたけど、そこには大人っぽい姿の自分が映る。ルルは、少し髪をいじったり、かわいらしいポーズをしたりと、その姿に、自分自身のはずなのに、見惚れてしまっていた。まるで、自分ではないみたいに見えてしまう……。「ママ〜。何してんの〜?」ルナは少し引き気味に聞く。「ママ、大丈夫かな?」ルリは心配する。「ねぇね!お外行こ〜よ!」と、ルルは二人の手を引く。「おそと?!」ルリとルナはルルに手を引かれるがまま飛び出す……!「……あれ?またルルちゃんの部屋から声がするわ。」と、朝ごはんの途中のおばあちゃんは立ち上がる。そして、ルルの部屋の扉を開く……。「きゃああああ!!」おばあちゃんは悲鳴をあげた。「あっ!おばあちゃ…おばあさま!私、出かけてくるから!」とルルは走り出す。「ママ!待ってよ〜」とルリとルナは追いかける。「……あ、あ、あ、あの子はだれ……?ルルちゃん……?こんな、もうあんなに大きくなるの……?」おばあちゃんは腰が抜けて立ち上がれない。


ルル達は朝ごはんの時間、みんながご飯を食べている時に堂々と歩いていく。「…!へっ?!」他の職員の人達も、食事どころではない……「うふっ。私、これからおでかけにいくの♪朝ごはんもたべてくるから〜♫」と、ルルはウキウキでスキップし、ドアを開け、外に出ていった。「ママ〜!」と、ルリとルナが更にあとを追いかける。院内がざわつく……。職員の人も、子どもたちも……。



「………。」





そんなルルのあとをこっそりついていく者がいた。





「ママ〜!どこいくの〜?!」ルリとルナは必死にルルを追いかける。「あのねっ!今日は早めに外に出たから、朝ごはんが外で食べれるのっ!楽しみでしょ〜♡」とルルはウッキウキで話す。「ママ……テンション高すぎ……落ち着いて〜……」と、ルリ。「あさごはん……?おいしいものなのかな?」と、ルナ。「うん!おいしいよっ!」とルルがお店に入ろうとした途端……。誰かに手を掴まれた。「……!」ルルはびっくりして振り返る。



「……あなた……素晴らしいオーラね……。私の話を聞いてくれないかしら……?」


と、怪しい女の人が話しかけてきた。「えっ?!」ルルはびっくりして後ずさる。「あら、ごめんなさい。いきなりでびっくりしたわよね。」と、女の人は微笑む。「私は『サトウ』アイドルマネージャーよっ。」サトウは自信満々に言った。「あいどるまねーじゃー??」ルルは訳がわからないままサトウに手を引かれる。「そうよ。ここまで言ったら分かるわよね……?あなたを『スカウト』しに来たのよ!さぁ、ちょっとだけ話すだけだから♪」と、サトウはぐいぐいルルを連れて行く。「え〜…あ〜…はい…」ルルはされるがままについていく。「ママ〜!待ってよ〜!」と、ルリとルナがやってくる。「?『ママ』??……も、もしかしてそういうキャラで行くの?いーわね……個性的でいいわ!!実にいい!!さあ!あなたたちも来て!」と、サトウはルリとルナも強引に連れて行く。「ママー!!ヘンな人についてっちゃだめー!!」とルリは必死に伝える。「どこへ行くのかな…?僕、楽しみになってきたよ。」とルナがニヤリとする。「………どうしよう……」それを隠れてみていたとある少年は、助けを呼ぼうと走り出す。





「お前ら、ちゃんと家に帰るやで〜!」とコユキがアオキとさくらの肩を叩く。「う、うん!」と、二人は言うものだが……。これでは泊まれる場所がもうない……。さくらとアオキはお互いを見つめ、うなずきあった。「心配しとりますからね〜!お帰りくださいな〜!」とユキコも二人を笑顔で送り出す。「また会おうな〜!」スズコも笑顔で手を振り、「いい子にしとるんですよ〜」と、ジロウもにこやかに見送る…。アオキとさくらはしばらく笑顔で手を降ったあと、真顔でお互いを見つめた。「さてっ。どーすっか。」アオキは真顔で言う。「知らないわよ。もう、どこにもいけなくなっちゃった。」さくらは少し弱々しく言う。「よつばん家は?」アオキは空を見つめて言う。「駄目よ!よつばん家は、危ない……!同じ学校の人はダメよ!」さくらは必死にアオキの思考を変えようとする。「えっそうっ?じゃーさ。あのDIVAの家は?めっちゃ豪華で良さそうじゃん。お金持ちなはずだし、いいもん食えんじゃね?あの旅館も美味いけどな……。でも、もう金もねーしなぁ」アオキはヘラヘラして言う。「でも、DIVAって……スパイスのこと?でも、迷惑でしょう?やめたほうがいいって!それに、あの人も忙しいはずだし!!」さくらはまたもやアオキに強めに言う。「ていうか、場所を覚えてるの……?あたし、あんまり行き方、覚えてないよ…」さくらは困って言う。「ん〜……あの人の家ってどこだっけ……。」と、アオキが考えていると、ものすごい大声が聞こえた。「助けてください!!俺の友達が……!変な人に誘拐されたんです!!」坊主頭の男の子がアオキにすがりつく。そして、男の子がさくらを見たとき、男の子はすばやく反応した。「あなたは!ルルとよく話してる人!助けてください!!ルルが変な人に連れてかれたんだよっ!!」と、リョウは必死にさくらに訴える。「……え?それってやばくない?」と、さくらはアオキを見る。「え?てか、お前誰っ。」アオキは睨みつける。「えっ。俺は『リョウ』……」「リョウ〜?聞いたことね〜な。まあ、お前まだおちびみたいだし、知らなくても仕方ねぇよな〜。」アオキはニヤニヤして言う。「あんた……その言い方どうなの…」さくらはドン引きした。「まあ、とりま連れてってくれよ。その〜……『リリ』ちゃんのいるとこに。」アオキは言う。「『ルル』!!」と、リョウはアオキを睨みつける。「お前、もしかして、ルルちゃんのこと、好きなのっ?そんなに必死になっちゃってさ。かわいいね〜?」アオキはニヤニヤしてヘンなことを言い出す。「はっ?!……ち、ちげーし!ルルは友達なんだよっ!!早く助けに行かないと!」リョウはさくらの手を握って走り出す。「おい!待てよ〜俺置いてくなんてナンセンスだわ〜」アオキは足が早いのですぐに二人に追いつく。「ほらほら〜もっと早く〜!そんなんじゃ置いてっちゃうよ〜?」アオキはリョウを挑発する。「今そんなことしてる場合じゃないんだっ!!」リョウは真剣に走っている。リョウはアオキを抜かして、さくらをぐんぐん連れて行く。それでもアオキは簡単に抜かすことができる。「ちっ、つまんねぇ。」アオキは小声でそうつぶやいた。アオキは明るく見えるけど、本当はさくらと同じくらい暗いのかもしれない。アオキは学校でみんなに好かれるために明るくて元気で傷つかない自分を必死に演じている。でも、本当のアオキは全然そんなじゃない。本当の自分を出せる場なんて、どこにもない。でも、さくらはどうだ。さくらはいつも学校で自由気ままに過ごし、みんなに愛されることよりも、孤独でいることを好む。アオキは、自分に正直なさくらが嫌いだ。自分はこんなに我慢して取り繕ってるのに。ボロが出ないように必死で隠しているのに。こいつはどうだ。こいつはいつも自然体で生きている。みんなの理想に囚われることなく、自由に生きている。まるで、高台から見下されているみたい。さくらよりも頑張ってるはずなのに。なぜさくらは自分よりも格上なんだ。早くさくらを同じくらいの立場に引き下げてやりたい。アオキはだからさくらに絡みにいくのだ。お前の思い通りにはいかせない。アオキにはそんな気持ちがあった。「あれ〜?さくらちゃんっ!アオキくん!」と、学校に行く途中のよつばがいた。「あっ!やべっ!」リョウは今更学校のことについて気づいた。アオキはよつばを通学路から離した。「お前、今は俺の名前を呼ぶな。しかもそんな大声でっ!……わかったぁ?よつばちゃん。」よつばは戸惑いながら答える。「えっ……うん。わかったよ……」よつばは何がなんだか、よくわからない……「?この子はだあれ?」よつばはさくらとアオキに聞く。「ねぇ、よつば。ルルちゃんをどこかで見なかった?」さくらはよつばに聞く。「ルルちゃん…?」よつばは首を傾げる……とすると、遠くの野外ステージから音がする……



「期待の新人アイドル…『ルル』&ルリ&ルナ!!」


と男の人のハキハキとしたナレーションがきこえる。「……ねぇ、あの人ルルって言ってなかった?もしかして……」さくらはリョウ達に目配せする。「ルルかも……!!だって、ルルこーんなでっかくなってたよ!!……早く行こう!!」リョウは一人で駆け出す。「待って……!……私じゃ追いつかない……アオキ!行ってきて!!」さくらはアオキをまくし立てる。「えっ?!えっ?!あ、はーい」アオキは戸惑いながらも走り出す。アオキは運動神経抜群だから、すぐに追いつく。「よつば。おいで」さくらはよつばの手を引く。「えっ?!学校は?!」よつばはびっくりして答える。でも、さくらには聞こえていないみたい……。一心不乱に走り出す。


どうしてさくらちゃんは学校に行かないんだろう

よつばは気になってしまう。考えてみれば、アオキだってそうだ。ランドセルも持ってないし、とても不思議だ……。すると、ステージからは声が聞こえてくる。「私、ルル!!みなさーん!よろしくー!!」ルル……?がそう言うと、観客?がざわめいた。そのあとには、歓声が……!!『ルル』…?リョウ達の心は1つだった。『あれはルルだ。』そう確信した。しかも、そのあとに。「僕はルナ」ルナがそう言うと、女性客から悲鳴(喜び)が上がる。「あたし、ルリ!」ルリがそう言ってウインクすると、男性客から叫ばれる。(ときめいて)この三人は一気に人気者になる。「歌うのよ!」サトウさんが小声でささやく。「えっ……っ?!」ルル達は混乱状態だった。いきなり歌うなんて……歌詞もわかんないのに!!ルルはまた言葉に出す。「私にとっても素敵な歌をください……」ルルは手を合わせ、祈る。すると……!スピーカーからは勝手に音楽がながれ、ルル達は何かに取り憑かれたかのように歌い出す。その姿は今までのバラバラの三人とは違い、統一感があった。それは、それは、不気味なくらいに。まるで感情のない人形のようだった。ダンスも嫌なくらいにシンクロしている。まるで完璧な機械が踊っているみたいに。よつば達はルル達のそんな姿を見て、固まってしまっていた。ルル達の動きはまるで三人で一つの世界を生み出していた。あの三人はマリオネットみたいだ……。でも、楽しそうに歌っている。「あれは……ルルちゃんなの……?なんだか大きすぎない?同じルルでも違うルル??」さくらはアオキ達の方を見る。何か答えてほしいみたいだ。「そうだなー。ルルなんてアイドルはそこらじゅうにいっぱいいるだろな〜」アオキはヘラヘラして答える。「そんなっ!!ルルだよっ!!あれは!!俺、見たもん!!ルルが、めちゃくちゃでっかくなって、朝からああだったもん!!」リョウは必死にそう話す。「たしかに……似てはいるかもだけど……。」さくらは言葉を濁す。「あの子にどうやって近づくの……?」さくらは困った顔でいう。その途端、拍手が響き渡る。「?!びっくりしたっ!!」さくらは驚いた。「たかが拍手だろ。どこでだって鳴ってるよ。」アオキはわずらわしそうに言う。「なんでそんな『慣れてる』みたいな言い方なの?」さくらは少しイラついて話す。「……………っ?!」アオキがめずらしく何も言い返さない。「何よ。あんたが何にも言わないなんて、めっずらしいわねぇ〜」とさくらがニヤつく。「……うっせぇな…。お前はお遊戯会でしか拍手なんてされたことねーだろ。まぁ、『お前』じゃなくて、お前の『クラス』、にだけど。」アオキは少し余裕が無さそうに笑う。「あんたなんかもっとそうでしょ?あんたが拍手されてんの見たことないんだけど。」さくらはアオキを小馬鹿にする。「……あるよ。」アオキはさくらを真顔で見る。「俺、サーカスで……」「リョーちゃん?!」アオキが口を開けた途端に何者かが割り込んできた。「うわっ?!ルルっ!!やめろっ!!」ルルはリョウを持ち上げ、お姫様抱っこした。「ひ〜……さいあく……」リョウは恥ずかしくて顔を隠す。「リョーちゃん!いたの〜?ふふっいるならいってよ〜!」ルルはぴょんぴょん跳ねる。「お前、今日なんか変だぞ。そのでかさもだし、なんか……いつもと違う。ヘン!!」リョウはルルを睨みつける。「え〜……そんなあ〜………!リョーちゃん……とってもカッコイイね……?」ルルは目を見開きリョウに顔を近づける。その様子はまるで食べられてしまいそうな感じだった。「えっ?」「ママ〜!!」リョウがびっくりしていると、ルリとルナがやってきた。「ママ!どうしたの?そんなに急いで。」とルリ。「ママってば、早すぎるよ〜もっとゆっくりにして!」とルナ。「ごめんね〜!うふふ。ルルは海に行く〜」ルルはリョウを持って歩き出す。「あっ……ちょっと……っ!」さくらはルルを止めようとしたが、さくら達よりもはるかに背も高いし、足も早いので、ルルを止めることは不可能だった。「海に行くって……どうして……?」さくらは不思議に思い付いていく。「よつば。」さくらはよつばに手を伸ばす。「……?うん。」よつばは、さくらの手を掴んだ。さくらはよつばを引っ張る。「………」アオキはさくらを睨みつけた。だって、気に食わない。よつばは自分の方が仲良くなれるし、手なづけられる。それなのに……どうしてよつばはアイツに付きまとうんだろう。自分といる方が絶対楽しいはずなのに……アオキはそう思うとイライラした。









ルルは、リョウを降ろす。「見て。リョーちゃん。海がきれいよ〜。」ルルは海を見た。「……そうだね。」リョウも海を見る。もう、夕方で太陽が海と近づいている。まるで…キスするみたいに。「キス……」ルルが何かつぶやいた。「へっ?」リョウは不安になる。ルルの様子はとってもおかしい。昨日までは普通だったのに……。「海と太陽が、キスしてるみた〜い。リョーちゃんは……キスしたことあるの〜??」ルルはリョウに顔を近づけて聞く。「あ、あ、え?い、いやぁ〜……」リョウはいつもとは違う大人っぽい表情のルルに、ドキドキした。「してない!!しらない!!」リョウは後ずさる。


「じゃあ私としよう」


ルルの目は怖かった。リョウはさっきまでのドキドキがなくなって、とっても怖くなった。ルルが……知らない人みたい……。いつもはこんなこと言わないのに。「ルル……?どうしたの……?や、やめようよ……その………」リョウは泣きそうになりながら話す。「いいでしょ?私をよく見て。」ルルはリョウの手をつかむ。「や、やだ!!ルル!!離して!!」「どうしたの?!」さくらが大声で言う。「……さくらちゃん……よつばくん…!うふふ。二人はキスをするの?」ルルは不気味に微笑む。「キス〜?パパがしてくれるよっ!ほっぺにチュッって!!」よつばはほっぺを指先でつついた。「へぇ……そう……」ルルはリョウに向き合う。「ママ…?何してるの……?」ルリが呟く。ルナはとにかく戸惑っている。ルルは、リョウ顔に手を触れる。「大丈夫だよ……。」ルルは不気味な笑顔を浮かべ、リョウの頬に『キス』をした。ルルはその途端、体が光りだした。「……!」さくらは眩しくて目をつぶった。「……?あれはなに……?」さくらは変わり果てたルルを見てしまった。リョウはそんな姿のルルを見て、溜まった涙があふれ出してしまった……。「泣かないで、リョーちゃん。」ルルは羽で包むようにリョウを抱きしめる。「あなたとずっと一緒にいたい。リョウくん。」ルルは離れるリョウに近づく。「ごめんなさい……!ごめんなさい………!!」リョウは怖すぎてそれしか言えない。「泣かないで。私がいるから。」ルルはリョウを抱きしめる。すると、ルルの背中に蝶の羽が生えた。「あああああ!!」さくら達はあまりのショックに叫ぶ。「リョウくんっ!!………このままじゃ、町の人にバレちゃう………そしたら……ニュースになって、町中大騒ぎに………っ!!」さくらはパニックになる。「………?」アオキは驚いて言葉も出ない。「ルルちゃーん!!待って!!!」よつばはルルを追いかける。でも、ルルは高すぎて聞こえていないみたいだ……。「ルルちゃっ……!」よつばは、転んだ。体中、砂まみれだ。まださくら達は海からも離れられていない。あんな速さに追いつけるわけがない……。誰かに見られる前になんとかしなきゃっ!「ルル……?どこいくの……?もう帰ろ……」リョウはルルに必死に訴える。「?なんで?だってこんなにいい気分なのに。」ルルは笑顔でいう。「それはルルだけ!!僕は嬉しくないもん!!」リョウはちょっと怒っていった。「えっ……」ルルはすこし、しょんぼりとした顔をする。「ルルちゃあぁぁーん!!」よつばのでっかい声が響く。「!」ルルはよつばに向かって降りていく。「きゃああああ!!」よつばはぶつかるっ!と思って逃げた。でも、ルルは綺麗に着地した。「どうしたの……?」ルルはニッコリと微笑む。「ママ!聞いて!こんなことやってなになるの!」ルリは真面目にいう。「そーだよ!ボク達のほうが大事でしょっ!!」ルナもいう。「……。そう。あなた達も大事だよ。でもね……。リョウくんは、もっと大事。」ルルは不気味に微笑む。「……!ダメだっ……完全におかしくなってる!!」ルリが呆れて言う。「うそでしょー?!」ルナはしょんぼりした。「ルルちゃん、どうしてこんなことするの?だって、さっきまで楽しそうに歌ってたよ?あの……大きい舞台で!!」よつばは目を輝かせて言う。「舞台というか………ステージ?……どっちも一緒かな……」さくらが言った。「うん。ぼく、もっかい聞きたいなぁ〜!すごくかわいかったの!三人で歌ってたの!」よつばは笑顔で話す。まるで、ファンみたいに。「あれ、ルルちゃんって、こんなに大きかったっけ?ぼくより小さくなかったかなぁ〜……」よつばは今更気づいた。「いま?!」さくらたちが動揺する。「?うん。」よつばはあまり理解できていない。「よつばくん。私の歌、聞きたいの?」ルルはこれまでの不気味な笑顔から、とても明るい笑顔をした。まるで、『アイドル』みたいに……!「うん!き〜か〜せてっ!」よつばは正座した。「あら、結構行儀がいいのね……」さくらは少し戸惑ったけど、よつばの真似をして自分も正座した。でも、アオキはあぐらをかいた。さくらはちょっと睨んだけど、まぁ、いいか。みたいな感じに落ち着いた。「ママっ!僕も混ぜて〜」ルナが割り込む。「私もっ!ママっ!」ルリも続けて。「………!うん!!みんなっ!聞いてっ!!」ルルは愉快に手を上にあげた。マイクを持ってるみたいに。ルルは目をつむり、また祈る……「よつばくんたち、リョウくんたちに送る『歌』をください……っ!!」ルルがそう祈ると、どこからか音楽が流れてくる。よつばたちは目をつむり心地よいメロディに体を左右に揺らす。アイドルの曲にしては、落ち着いた雰囲気の曲調だった。でも、アイドルらしい感じもちゃんとある。ルルはターンをして歌い始めた。あのステージのルル達とは違い、もちろん同じ踊りを踊っているが、さきほどのルル達よりもそれぞれの個性が出ている。前歌っていた時よりも楽しそうに歌っている。特に、ルルは楽しそうだ。おそらく、さっきはいきなり歌って緊張していたからだと思う。でも、それでも楽しかった。でも……今はもっと、もっと、もっと楽しいっ!!音楽がサビに入る前に、ルルの体が光だし、元のアイドルな服装に戻った。ルリ、ルナと色違いでお揃いのコーデ。それは同じ服だけど、同じじゃない……それぞれの個性が出ている。ルルは汗だくになっていた。体も熱い。それほどに熱い気持ちで歌い踊っていた。『誰かに想いを届けるのがこんなに楽しいなんて』思いもしなかった。これが歌、歌だけでなく、すべての『表現』するという分野での確信であろう。それはどんな形でも、どんなに下手っぴでも。その中にはその人魂がこもっている。この手で、この頭で直接考えて生み出したもの。それこそが芸術だ。人が一生懸命悩み、苦しみ作り出したもの……。それは、本当に特別なもので、どんなに歪でも生まれた時点でそれは宝物。あなたの努力の結晶。それは作品でも、音楽でも、目標達成でも。『特別なもの』



ルルが歌い終わると……気づけば周りに人だかりが……。ルルとルリ、ルナは顔を見合わせる。……すると……










拍手喝采だ!!

ルル達をたくさんの拍手で迎えてくれた。ルルは、始めて嬉しくて涙が出た…。これが、『感動』。初めての感覚だ。ルルは今までこんなこと経験したことなかった。誰かに喜んでもらうことが、こんなにも価値があることだなんて……知らなかった。「ママ……?泣いてるの……?」ルリがルルの顔を覗く。「なっ、なんで?」ルナが困惑して言う。「うれしい……!!」ルルはその途端、パッと笑った。「変なの。うれしいのに泣いてんの?」ルナはムッとして言う。「素敵でしょ……?ルナはほんとにおこちゃまなのねー。」ルリがルナをおちょくる。「なに?!ルリのが、ずっと頑固だしー」ルナはあっかんべーってして逃げ惑う。「このバカーー!!!」ルリがルナを追いかける。ルルはそんな二人をほっとして見つめていた。「ルル……」リョウが恐る恐るルルに話しかけてきた。「……?リョウくん!………ごめんね………私、ヘンだったの……。リョーちゃんと、いると………。すごくうれしくて。でもね、それだけじゃないのよ、うれしいって。」ルルは小さいリョウのために膝をつく。「……。そうだね。いつも通りになってくれてよかった。」リョウは微笑む。「うん!………!うわっ!!」ルルの体はいきなり小さくなった!ルルは、元の子供の姿に戻り、ぶかぶかのコスチュームになってしまった……!!「……?!ルル……?!」リョウは尻もちをついてしまった。「えへへ……戻ったみたい……。もうちょっとあのままでいたかったなぁ……。」ルルは苦笑いする。「でも、今のままでも『かわいい』よっ。」リョウはニコッとした。「『かわいい』……?!」ルルは顔を赤らめる。「リョーちゃん!ありがとう!ん〜まっ!♡」ルルはリョウのほっぺにキスをする。「や、や、やめろ〜!!また怖くなったらど〜すんだよっ!!」リョウはうれしい……?けど、怖い……みたいな感じだった。「ドキドキする?」アオキはニヤニヤして言う。「?!?!う、うっせぇ!!しねぇーよ!!!」リョウはアオキを睨む。「ぼっちゃん?強がらなくていいのよ。俺には全部お見通し。お・と・な舐・め・ん・な!☆」アオキはリョウの顔をつんっとつつく。「〜〜っ!!!」リョウはなんとも言えない気持ちになり、アオキを睨んだ。「そ〜んな怖い顔したらルル姫が怖がるわよ」アオキは目をぱちくりして言う。「こわくないよっ!リョ〜ちゃん……」ルルはまたキスしようとした……「や、やめてよ〜〜っ!!」リョウはとっても困った…。





ルルとリョウは、手を繋いで孤児院に帰ってきた。「あら、ルルちゃん!それにリョウくんも?!あのね、あたし、今日はもう変な一日だったわ。あのね、大きな女の子がいて、それから記憶がないのよ!たしか、病院で目が覚めたの!ただ、その子がかわいくてね〜。ルルちゃんみたいにめんこくて、お人形みたいな子だったわ〜♡」職員のおばあちゃんはルルいつも人形みたいに可愛いと言う。そして、おばあちゃんは、ルルとリョウを強く抱きしめる……これがものすごく痛い……「いだだだだ…」リョウはおばあちゃんに聞こえないようにつぶやく。「さぁ、朝ごはん食べてないからお腹空いてるでしょう?たしか……学校から連絡がきたのよ〜…あんたたち来てないって!それに朝ごはんにも見当たらなかったから……ほんとに心配してたのよ〜?あと5分遅ければ警察呼ぼうかと思ってたとこだよ。」おばあちゃんはすごく安心して言う。「うん……ごめんね……これからは、気をつける。」ルルはおばあちゃんの目を見て言う。「えらいわ。えらいえらい。ささっ。早く2人とも食べといでっ。」おばあちゃんが二人を連れて行こうとしたその時……



「ママ〜!!」


ルナとルリがやってきた……



「ま、ママ…?」


おばあちゃんはその場で倒れた。「え?!なにっ!」ルリが驚く。「僕がかわいすぎて気絶しちゃったのかな〜?」ルナが決めポーズをしながら言う。「なわけないでしょっ。」ルリは呆れてルナにいう。「おばあちゃん〜起きて〜」ルルはおばあちゃんの体を揺さぶる。「ばあちゃんっ!死んでない?!」リョウは汗だくでおばあちゃんを揺さぶる。「あ〜!また救急車呼ばなきゃっ!!」職員のお姉さんが慌てて電話した。




「おばあちゃん。ご飯ありがとう!おだいじにねっ!」ルルはおばあちゃんに抱きつく。「えぇ……ルルちゃん……まさか、あんなに大きなお友達がいたなんて……しかも、遠くの国で、ルルはママって言うのね〜……あ〜……本当に良かった〜……」おばあちゃんはへとへとに話す。「う、うん!そ、そうなんだっ!」リョウは苦笑いする。『ルル』が遠くの国の名前の呼び方で『ママ』という適当な嘘をついたのはリョウだ。



「じゃ。ルル、おやすみ。いい夢をな。」




「うん!リョウくん、おやすみ。」




ルルとリョウは別々の部屋に入った。施設の子には、一人部屋と二人部屋、最低で5人部屋まである。でも、ルルは一人部屋だ。なぜなら、ルルはこの施設で一番自立しているので、まだ一人では一人で眠れないだとか、着替えたりとか、まだ一人で生活できない子を優先に人数の多い部屋に入れている。一気に面倒を見られるように、似たような子どもたちを一つの部屋にまとめている。でも、ルルは職員の手を借りずとも一人で生活できる。リョウもその一人だ。だから、二人は仲がいい。部屋も隣同士だし。でも……そんな二人もきっと心のどこかで寂しい思いをしているはずだ。「ねぇ。もっと早くこうできたんじゃない。」さくなはご飯を食べながら呟いた。「えっ……?なにが。」コウジは戸惑う。「転勤」さくなははっきりと言った。「え……あ、あぁ……そ、それは……」コウジはさくなから目をそらす。「もっと早くこうしていれば、こんなことにはならなかったんじゃない?」さくなはコウジを睨む。「……。分かってるよ。君もしんどかったよね。本当にごめん。君に家のこと全部任しちゃって……。悪かったよ……本当に……。でもね、さくな。僕だって稼がなきゃいけない。お金がないと生活できないんだよ。それは、お前にもわかるだろ……?」コウジはその言葉にほんの少しだけ期待を込める。そうだね。とか、ごめんね。私も悪かった。……みたいな言葉が聞きたかった……。でも、彼女から発された言葉はこれだった。



「もういい。」


さくなはいきなり席を立ち、上にかかっているコートを着た。「は……?さくな、何してるんだ?!」コウジは取り乱す。さくなは何も答えない。





「おいっ!……なんなんだよ!!毎回毎回………こんなんじゃ話にもならない!!もういい加減にしてくれよ!!何回、何回、何回、何回、何回!!こんなこと繰り返すんだ!!お前のせいでさくらは出てったんだよ!!いい加減認めろよ!!もうこんなことに付き合ってらんないよ!!」


コウジは言うつもりがなかったことが、口から飛び出してきた。もう、抑えようにも抑えきれなかった……。「さくな、ごめん…!言い過ぎたっ……!」さくなは涙を流していた。すると、すごい勢いで外に出た。




「待って!!」



バンッとドアが閉まる……。もう遅かった。コウジはついに、涙を零した。玄関前にしゃがみ込み、いっぱい泣いた。なにもかも、うまくいかない、どうして、どうして、どうして……?こんなに何百回も悩んでいるのに、未だに答えが出てこない。もう、この世界にはなんにもないのかもしれない。自分の家族はこの世界に受け入れてもらえない。愛してもらえない。そんな世界になにか期待できるか?なんにも価値がない。もう、この夢から覚めたい。必死に、必死にもがく。誰もいない。この場所には誰もいない。ずっと一人だ。誰にも声が届かない。どうして…?こんな世界に生まれてしまったんだろう。今すぐに塵になっていなくなりたい。このまま何もない時だけが過ぎていく。なんにもない時間。空っぽだ。こんな世界じゃ愛せないよ。お願いだから、誰か助けて。もう声も届かないのか…。コウジは天井を見上げる。……なんにもない。なんの正解でもない。でも、失敗でもない。いつまでこんなことをしていればいいんだろう。







よつばは元気よく玄関を開く。「パパ〜!!ただいま〜!」シロツメそろりと出てきた。「よつば……ちょっといいかな?」よつばはシロツメのいつもとは違う空気にすばやく気がついた。「うん。いいよ。」よつばのテンションが少し下がる。



「あのね……よつば。『さくらちゃん』って……今どこにいるの?」



よつばはギクッとした。実は、ルルとリョウが帰ったあと、よつば達はこんな会話をしていた。





「そろそろ帰らなきゃっ!!」よつばは海から見える夕焼けを見て焦っていた。「……またね。」さくらはふっ、っと微笑む。さくらの髪が、海風になびく。「さくらちゃんは帰らないの……?」よつばはそう呟く。「………らない」さくらはブツブツ話す。「えっ」よつばは小さすぎて聞こえなかった……



「帰らない」



さくらの目は怖かった。さくらの目つきは悪い方だが、普段よりも明らかに目つきが違う。よつばはそんなさくらが少し怖かった。さくらは攻撃的で不安定だから、怒らせたら何をされるかわからない。よつばは、そのさくらの性質に少し気がついている。「あ、あ~のねっ☆よつばきゅん。俺達は帰らなくってもい〜んだ〜♪お母様とお父様には許可を取ってあるだよ〜」アオキは焦っていう。「お前、そんなに帰りたくないからってそんな態度しなくていいだろ。」アオキはさくらにささやく。「……。」さくらは何も言わない。「まぁ、とにかくお前は帰れ。なっ」アオキはよつばの背中を押す。よつばはランドセルを押され、少しバランスを崩す……が、なんとか耐えた。「うん……」よつばは少しの不安を抱え、家まで帰ってきた。






「もしかして……何か知ってるの?」シロツメは真面目によつばを問いただす。「………うんう。」よつばは咄嗟に首を横に振る。「……じゃあ、会った?」よつばはとても怖かった……さくらのあの感じだと、正直にすべてを話すのは怖い……。でも、嘘はつきたくない。だって、嘘は悪いことだから。「会った……」よつばは小声で言う。「……わかった。よつば。誰にも言わないから、本当のことを教えて。今日学校行ってないのも知ってるんだよ、」シロツメはよつばを真剣に見つめる。「……。さくらちゃんは家に帰らないって。」よつばは慌てて口を覆う。怖くて、つい言葉が漏れてしまった。「……パパっ…!お願い、誰にも言わないで…!」よつばはひどく怯えて訴える。「……言わないよ……。本当のことを教えてくれて、ありがとう……」シロツメはよつばを抱きしめる。「ごめんね……。」シロツメはよつばの髪を撫でる。よつばはシロツメに体を委ねる。やっぱり、パパが大好き。シロツメはハナ、そしてみつばがいる写真を眺める。ハナはシロツメ達を捨てた……。彼女の言葉は全てウソだったんだ。シロツメはそう考えると、何かがぐちゃぐちゃになってしまいそうで、それ以上のことはかんがえれなかった。でも、よつばの様子を見る限り、何かの事件とかに巻き込まれているわけではなさそうだが、あまり良くない状況に思える……。電話番号……。ふと、コウジの電話番号をシロツメは思い浮かべる。だけど、よつばのこの怯え具合……一体コウジの家庭で何が起きてるんだ?シロツメは頭を抱えた。









「今度は本気なの……?アオキ……」


アオキの洗濯物を握りしめ、アオコは泣き叫ぶ。







       第11章終わり



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