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DIVA  作者: メロン味
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DIVA第7章

第七章【私を覚えて】


「どうしたらいいのっ?」錯乱状態のさくなは電話越しにコウジに訴えかける。「落ち着いて……さくな……深呼吸を………」コウジはさくなをなだめる。……けど、「うるさいっ!!そんなことしてる場合じゃないでしょう?!さくらがいないのよ!!家に!!」さくなはテーブルを強く叩く。「……。ごめん」コウジはぼそっと電話越しに言う。「………とにかく、警察には話したから………あなたは、とりあえず黙ってて。」さくなはだいぶ限界のようで、何もしていないのに、息切れしていた。「……わかった。」コウジは電話を切った。「あー!!もうどうしてこうなるの!??!あーーーーーーー!!!」




「さくらちゃん、お母さんは?それか、お父さんは?」シロツメは優しくさくらに聞く。「……いません。」さくらは目も合わせずに答える。「いないって……」「違います。ここにはいないってことです。」さくらは冷たく返す。「そっ……か。」シロツメは少し困惑して返す。「ねぇ、大丈夫そう?一人で帰れるかい?」シロツメはさくらに目配せする。「……帰れます。」「でも……もう暗いし、家まで…」



「帰れます!!」


「……あっ……ごめんなさい…その、あまり遠くないから、すぐ帰れるっていう………」さくらは、シロツメの目をそらす。「あっ……そ、そうか………ごめんね………」シロツメも目をそらす。なぜこの子はずっとこんなツンケンしてるんだろう。「でも……でもね……こんな遅い時間に帰るなんて、ご家族が心配するでしょう。それに…この町は都会だから一人で帰るのは本当に危ないよ。…まあ、どこも危ないけどね……。」シロツメはさくらにまた目配せする。「いや、大丈夫です……。」さくらは頑なに拒否をする。でも、シロツメはどうしてもほっとけなかった。よつばがあんなにも同世代の子と楽しそうにしているのを見たのは始めてだったから。よつばは、他の子からちょっといじられたり、避けられるわけではないけど絡まれるわけでもない、そんな感じの子だったから、シロツメはとても不安だった。でも、そんなよつばに相手をしてくれたこの子を危険に晒すことは決してできなかった。「じゃあさ!家の近くは…?君が降りたいところで支持してよ。お願い……本当に心配なんだ。ほら、よつばもいるし。」と、シロツメはたくさんの食べ物を持ったよつばを前に差し出した。「……それなら…いいかも…」さくらはそう呟いた。「わかった。じゃあ、行こう。」と、シロツメはよつばとさくらを連れて歩き出した。シロツメは、二人の手をはぐれないように強く握りしめた。「お母さん…家にいないの?」シロツメは恐る恐る聞く。「あっ…えっ…まあ…」さくらはしどろもどろに答える。「そっかぁ…」シロツメは地面を見つめる。「お父さんは?」シロツメはまたさくらを見る。「お父さんはずっと単身赴任で家にいません。」その言葉は氷のように冷たかった。「そ、そっか…。」シロツメはさくらのことがちょっと苦手だと思った。この子の感じが…なんか…こう…絡みづらいというか…とっつきにくいというか…。「あっ。ここです。ここでいいです。」さくらは慌ててシロツメの手を離して前に進んだ。「ここ?」シロツメがあたりを見渡すと、ここは住宅街だった。「そっか。じゃあ、気をつけてね。」シロツメはさくらに手を振る。さくらは、お辞儀してくれた。シロツメはそれを見て、ゆっくりと背を向ける。「パパ?これ食べるぅ〜?」よつばがリンゴ飴を出してきた。「え〜?『パパ』、そっちのいちご飴がい〜な〜」と、シロツメがいう。



「……………パパ」さくらが小さく呟く。



さくらはそんなよつば達に背を向け、ゆっくり、ゆっくりと前に進む。さくらの目からは涙がこぼれていた。でも、声を出したらあの二人にバレる。だから、さくらは必死に声が出ないよう押さえ込んだ。「いいよ〜『パパ』、これね。」とよつばの声がさくらは咄嗟に物陰に隠れた。その後、崩れ落ちるようにしゃがみこんだ。顔を伏せ、肩を揺らし、声を抑えて、抑えて、抑えて泣いた。『パパ〜!』子供の声でたくさんの声が聞こえた。さくらはもうおかしくなってしまいそうだ。「パパ…パパ…」さくらは小さく釣られてパパを呼ぶ。「パパ…」さくらはふと、空を見た。「!」空には星が見える。もちろん、いっぱいじゃない。でも、一つ明るい星が見えた。それに、今日は満月の日で、綺麗なお月様が空に浮いていた。さくらは、一度綺麗な星空を生で見てみたいのだ。満点の星空。どこを見ても星でいっぱいの。それを始めて見たのは、家族で行ったプラネタリウム以降だ。でも、本当の星ではない。でも、もちろん。プラネタリウムもきれいだ。今の科学技術は本当にすごい。さくらも感心している。今、海の方へ行ったら、もっときれいなのかな、とさくらは思った。でも、そんなことは許されない。今の時間帯は危ないし、何より……さくなが帰ってきてしまう……。さくらは重い体を起こし、急いで涙を拭いた。家はあともう少し……。さくらは、早めに歩いた。なぜなら、もうこんな時間だし、なにより……さくなが帰ってきているかもしれない。さくらは足を早める。さくらは家の前につき、玄関のドアに手をかける。その手は震えていた。何もかも投げ出してしまいたくなった。さくらは深呼吸をして、鍵を開け、ドアを開けた。ギイィと、ドアが開く。リビングには、電気がついていなかった。さくらは一息つく。良かった、まだ帰ってなかった。すると、上から音がする。階段を降りる音と、『あの声』がする。「誰?!」さくなだ。さくなは、玄関に降りてきた。「まま…」さくらは目をそらす。さくなはため息をついて、しばらく固まった。もしかしたら、心配していたから、会えて安心したのかもしれない。そうだったら……


「どうしてこんな時間に帰ってきたの?」

思っていたより冷たい声だった。さくらは一気に期待をなくした。「ごめんなさい…まま…私…」さくらは小声でぶつぶつ言う。「私が何したっていうのよ!!いい加減にしてよ!!」さくなは玄関にある置物スペースを叩いて怒鳴る。さくらは泣きたいわけでもないのに自然と涙が出る。こうなったら、もう、黙っているしかない。「……あっそ。またなんにも言わないんだ。もう知らないから。勝手にして」さくなは早足で階段を駆け上がる。さくらは過呼吸になりそうになった。さくらは体を抱えて泣き出した。ままに怒られた。また無視される。また一人になる。また怒鳴られる。さくなとさくらは一生これの繰り返しだ。言ってしまえばコウジとさくなもそうだ。


さくらはしばらく泣いたあと、明日どうたち振る舞おうか考えた。さくなに会いたくないので、早起きしてさくながまだ眠っている時間帯の6時頃に家を出て、学校に行くのには早すぎから、夢見町のまだ店も開店していなくて、しかも誰もいない朝の時間を過ごすか。さくらは、この朝の時間は嫌いではない。いつも明るく賑わっているこの町が、こんなに静かで寂しい場所になるなんて、とても不思議な感覚だ。でも、さくらは夜の明るい町よりも、朝の寂しい町の方が好きだ。少し気温も低めで、涼しい。さくらはパジャマに着替えて、朝に備えて眠った。



翌朝、さくらの体内時計通り5時45分くらいに起きれた。あとは学校への支度をするだけ。すると、リビングの電話が鳴った。「ぱ、ぱぱ?」さくらは声を抑えて聞く。さくなに聞かれたくないから。「さくら?いるの?…が良かったぁ………大丈夫だった?なんで帰ってこなかったの?」とコウジが聞いた。「あの……夢見町のちっちゃい神社でお祭りがやってたの。だから、私、それに参加してて……それで…」とさくらは話した。「わかった。僕からママに伝えておくから、さくらは気にしなくていいからね。じゃあ、パパ仕事だから切るよ、無理するなよ。」と電話が切れた。さくらも、同じく受話器を置いた。さくらは、ランドセルに必要なものを詰め、音をたてないように家を出た。やはり、早朝に起きるのは気分が良い。さくらはゆっくりと歩き出す。やっぱり。誰もいない。あぁ、こんなにも気持ちがスッキリするなんて、早起きは三文の徳だ。でも、誰もいなさすぎて怖くもなってくる。この世界に自分だけが取り残されているような。そうだ!今から海に行けば誰もいないかも!と、さくらは走り出す。さすがに海は遠いのでこれくらいしないと間に合わない。なぜ、海になんか興味がなかったさくらがいきなりそう思ったのかはわからない。でも。今は海に行ってみたい。いつも観光客の人や、地元の人など、人混みに溢れていた海を独り占めできるかもしれない。早朝の海なんて行ったことがない。さくらはなんだかおかしかった。海につくなり、裸足になって海に飛び込んだ。波が優しく撫でるように打ち返す。さくらは、びちょびちょになっていた。ランドセルもびちょびちょに。無我夢中で海で遊んだ。この時、さくらは思いっきり笑っていた。しかも、平日はこの海は立入禁止だから、誰かに見つかったら大変だ。でも、そんなこともうどうでもよかった。


そのあと、さくらは浜辺に横たわり、朝日を見ていた。そういえば、昨日はよつばがこの海にいた。人魚がいたとかどーとか言っていたと思う。『パパ!』さくらは一気に気持ちがブルーになった。昨日のよつばとシロツメの姿を思い出してしまった。きっと、よつばは両親にちゃんと愛されて、そばにいてもらったから、あんなにも明るくて楽しい子になったんだろうな。甘やかしてもらったり、欲しいものはすぐに買ってもらったり、友達にも恵まれて、先生たちにも親しまれて、みんなに愛されてるんだろうな。さくらはふと、時間が気になり、ケータイを取り出した。ケータイは、学校で遊ぶ目的で持ってくるのではなく、緊急時の連絡のためなどの目的でもってくる。さくらがケータイを開いた。


「もう7時?!」

と驚きの声を上げた。さっきまでまだ6時頃だったのに、もう1時間が終わっていた。あと30分で学校につかないと間に合わない。でも、今からじゃ遅い。バスを使えば早いかもしれないが、さくらにはそんなお金なかった。さくらは始めて遅刻したのだ。「………。」さくらの頭に、良からぬことがよぎった。



もう学校には行かない


……。さくらは頭の中で何度も自分を責めたけど、それ以上にこれまでいっぱい頑張ったから、もういいだろうという考えのほうがおおきかった。テストの点数も、宿題も、成績も。もう飽きた。なんにも見たくない。さくらは浜辺から起き上がり、違うところへ歩き出した。




さくらは商店街へと足を運んだ。もうさすがにある程度人はいたし、店も開いていた。通行人の視線がさくらに注目する。なぜなら、さくらはびしょ濡れのまま道を歩いているからだ。なんなら、服は砂まみれで汚れているし、ランドセルも水の重さで重い。髪もグシャグシャで、顔も汚れている。なんなら、海藻もついていた。そんな子供が町中を普通に歩いていたら、誰もが心配するだろう。でも、どうでもいい。心配してるフリだし、所詮は他人だし、どうでもいい。さくらはとにかく目的もなくブラブラする。「さくらちゃん。どーしたのー?」ルルがひょっこり出てきた。「あ…あれ……ルルちゃん、学校は……?」さくらは意識が遠くにありながら言う。「あのね、今日はサボっちゃった。さくらちゃんもなの?」と、ルル。「うん……」さくらはしかばねのように歩く。「ねぇ、なんでそんな汚れてるの?」とルル。「……?なんでだろう。」さくらはルルの言葉が頭に入ってこない。「海に入ったんじゃない?濡れてるし、砂がついてるよ。あ、あと学校サボるなら1時間目の授業だけにした方がいいよ。じゃないと大変なことになるの!」ルルはそう言って去っていった。さくらはルルはやっぱり変な子だと思った。ルルは本当に賢いので、さくらは少し苦手だった。こんなに幼くて頭がいいとどう接していいかわからなくなる。






もう夕方になっていた。さくらはさすがに冷や汗をかいていた。今日はケータイが静かだ。もしいつもならさくなからの大量の着信が来ていただろう。今回はいつも通りに出来ない。いつもさくなと冷戦状態になると、必ずさくなから謝ってくる。それでいつも解決していた。だが、今回はとんでもないことをしてしまった。


もう、家に帰れない……!!


さくらはゆめのみやこ公園の噴水広場のベンチに座っていた。ここが、なんだか落ち着くから。ケータイからコウジの着信があった。でも……さくらは着信を拒否した。拒否した瞬間、意外にも罪悪感だとか、不安な気持ちとか、なんにも感じなかった。まあ、結局コウジはさくらのことよりも仕事の方がずっと大事で、家族よりも最優先にすべきことなのだ。だから、所詮は娘になんて興味がない。なんなら、いない方が楽だったとさえ考えているかもしれない。産まないほうが良かった、とか。いらない子だったなぁ、とか。



さくらはケータイをしまった。すると、「ねぇ……あなた……。」さくらは肩を叩かれた。「あっ?!はいっ…」さくらは驚いて振り向く。「私、同じクラスの〈アオキ〉の親なんだけど……あなたの事、学校中で大騒ぎになってるから、早めに家に帰ったほうがいいと思うよ。」アオコはやさしく言った。「えっ……。ごっ、ごめんなさい……」さくらは絶望した。学校中…?ということは、さくなにも……。さくらはそのさきをかんがえられなかった。「大丈夫よ、でも悪いことは言わないから、早く行きなさい。」アオコはビシッと言った。そして、さくらの目の前から去っていった…。と、その直後ケータイからものすごい量の音が…。そう、コウジからの連絡でケータイが溢れていた。どこにいるの?大丈夫なの?電話に出て!みたいなことが沢山書いてあった。ゆっくりする暇もなく、コウジから電話がまたかかってきた。さくらは驚いて電話に出る。「さくらっ?!どこにいるの?!」コウジは取り乱していた。「パパ…あのね……ゆめのみやこ公園にいるよ」さくらは何かを言おうとしたが、すぐに話を変えた。「そう…今日は学校にも来てないそうじゃないか。こんな時間まで、どこで何をしてたんだ?」コウジは少し苛ついて言う。「あ…あのね……パパ……私、……」さくらはコウジの声が低めなことに気づいていた。必死に何か言い訳を探す。「……いい?さくら。パパ、ほんとに忙しんだよ……。本当に。だから、あまり問題を起こさないでくれないかな?」コウジは強めにいう。コウジは、普段そんなにイライラしたり怒ったりしないので、こんな姿を見たのは始めてだった。「あっ……!!」さくらは喉に出かかった言葉を必死に飲み込んだ。「………ごめんなさい」さくらはうつむいた。「……ごめん。さくら。……あのさ、来週には僕帰るから。一度、家族で話そう。一度、そういう機会が必要なんだ。……さくながはなしてくれればだけど。」コウジは言う。「うん」さくらはうなずく。「帰るんだよ…?いいね……?」コウジはさくらに優しく言った。「うん」さくらは、電話を切った。そうか。コウジまでもがさくらを目障りに思ってる。さくらは深呼吸した。「……?」さくらは、とある奇妙なやつを見つける。……アオキが一人で公園をうろついていた。……そういえばさっき、アオキの母親のアオコがいた……。さくらは気になって話しかけに行った。「ねぇ!」「うわああ!!」アオキはさくらに声をかけられただけなのに、ものすごく驚いたのか、バランスを崩して尻もちをついた。「はっ…?だ、大丈夫…?」さくらは、アオキがここまで取り乱しているのを、始めて見た。「あ?あぁ……大丈夫だよ。」アオキはどこかへ去ろうとする。「待って!」さくらは足でアオキの足を引っ掛け転ばせた。「いった!……おい!なにすんだよ!!」めずらしく、アオキが本気で怒ってる……?いつもふざけているから、今回もいった〜い!さくらちゃんサイテ〜とか言うものだと思っていたが……さくらはアオキにもちゃんとこういう一面があるんだなと、少し安心した。「なに……アンタ。ここで何してるの?」さくらは引き気味に聞く。「はっ……お前には関係ねぇだろ。もう早くどっかいってくれよ。」アオキは転んで汚れた足や服をはらいながら言う。「あなたがそんな風になるの…始めてみた。……あっ!あと、さっきあなたのお母さんに会ったわよ。一緒なの?」そうさくらが聞くと、アオキはもっと様子がおかしくなった。「マッ……!?あぁ……もう行かなきゃ……」アオキはいつもの自信満々な態度と違って、弱々しい雰囲気をかもしだしている。「ねぇ!ちょっと!待ってよ!」さくらもアオキを追いかける。アオキの足は早い。さくらも女子の中では実は早い方だけど、さすがに追いつけない。「なに?!どーしたの?!」さくらはアオキに聞こえるように叫ぶけど、アオキはなんの反応もしない。全力疾走だ。と、目の前に信号機が見える……!赤になったタイミングなら、追いつくかも!さくらはとにかくがむしゃらに走る。


赤だ!


さくらは全力疾走だ!アオキはさくらの方を向いている。もう逃げられない……そんな感じで。



「ねぇ………あの……なにかあったの………?」



さくらは息切れしながら話す。「………を出た。」

「は?」アオキの声が小さすぎて聞こえない……「何を?」「『家だよ!』『家』!!!」アオキはさくらに怒鳴った。「家……?家を……出た………?」さくらはまさか、あの、アオキが…?とびっくりした。「な、なんで?」「あ?ここまで言ったのにまだ聞くのかよ。だいたいお前、学校サボって何だその態度。それになんでそんな汚い格好なんだよ。」アオキはさくらの服などを見た。「………!これは………海に入ったの。」さくらはまだ乾いていない服を触る。「溺れたんじゃなくて?」アオキはさくらを睨みつけながら言う。「うん。始めて、こんなことをしたの。」さくらはアオキを真っ直ぐ見つめる。「……あっそ。じゃ、俺、よつばん家行くから。じゃーなー」アオキが青信号を渡った。「バカ!ちょっと待って?!なんでよつばん家!?今から?!」さくらはびっくりして聞く。「だーかーらー。家に帰らねーってことは、家がねーだろ?だからアイツん家に泊まらせてもらうんだよ。」「そのあとは?」「そのあとなんて、あとに考えればいいじゃん。」アオキは冷たく返す。「じゃっ」アオキが行こうとすると……「待って!よつばん家ってどこにあるの……?」さくらは聞く。「あ?あ~…風野村ってとこにあるんだってよ。電車で2.3時間はかかるね。よつばはそんなとこから通ってるんだなあ。学校。」アオキは他人事のように話す。



さくらはアオキに話しかける。




「ねえ……ちょっと聞いて」








さくらは、ついに自宅の前までやってきた。さくらは、深呼吸した。そして、ゆっくりとドアを開けた。さくなは、どこにもいなかった。さくらは、不安になり上の階に上る。さくらは、息を潜めながら両親の寝室へと忍び寄る。さくらが幼い頃はコウジと、そしてさくなが寝ていたベッド。今は、さくなが一人で寝ている。さくらは、恐る恐る近づいていく。「………ママ?」さくらは小声で話す。さくなは、びくともしない。「……」さくらはさくなの部屋を出て、お風呂に入り、パジャマに着替えた。さくらは、それで家を出る。荷物もなんにも持たずに。さくらは、徒歩で駅まで向かった。彼女の家から、狭すぎず、遠すぎず……そんな距離に駅があった。さくらは、そこへ向かう。「アオキ!」さくらは駅に一人佇む、アオキに声をかけた。「おっ。さくらちゅあ〜ん」アオキはいつもの調子に戻っていた。「早く行こう…」さくらはアオキに言う。「ちょーどよかったなぁ。もうすぐ来るんだ。ほらっ。」アオキがそういうと、本当に電車が来た。人がたくさんおりてきたその後に、二人は、電車に乗り込む。中はすっからかんだった。風野のような田舎に行く人は、そんなにいないのだろう。同じ車両には数人しかおらず、席はガラガラであった。「これから長くなるよ〜ん」アオキはドカッと椅子に座る。「なんであんたそんなに余裕ぶってんの。」と、さくらが言うと、アオキは「俺は慣れてんの。何回か家でしたし、今回だけじゃないもんね〜」とアオキはマウントを取るように言う。「あっそ……」さくらは少しを顔をしかめた。「ところで、なんでアンタはそんなかわいらしい服を着てんの?」アオキがニヤニヤして言う。「……?これは、パジャマ。」「家に帰るつもり無いのに、パジャマになんて着替えるかよ?」アオキはニタニタ笑う。「………明日には、帰る予定だもん。」さくらは、パジャマの裾を握る。「へ〜?帰れるんだぁ。親がいない幸せがわかんないんだね〜!お嬢様には」アオキはニヤニヤして言ってくる。「あのね。あたし別にそんなんじゃないから。お金なんてそんなないし、大したところになんて出かけられないし、ママとパパは忙して勉強ばっか!!やることと言えば学校と勉強、学校、勉強そればっかり!!」さくらは急に大声を出しだした。「お、…おい!うるせーよ。静かにしろって…急になんだよ?」アオキはあまりの剣幕に怖気づく。「はー…はー……大丈夫。」さくらはうつむいて答えた。「あっ……そう……」アオキは、こんなやつと長い時間過ごすだなんて、地獄だなと思った。やっぱり、さくらの頼みを受け入れるんじゃなかった……こんな気まずいことになるくらいなら、一人でいたかった。……こっちだって余裕ないのに。「よつばは、あんたのこと知ってんの?」さくらはアオキを見る。「あ?知らんよ。知らん知らん」アオキは首を振る。「アイツはピュアボーイだからさっ。変な情報入れたくないんだよね〜イエデだなんてっ!ふつ〜のやつだったらしねーだろ。」「あなたは普通のやつじゃないのね。」さくらは冷たく返す。「……?!ま、まあなぁ……俺はそこらのやつとはレベルが違うんでね。」アオキはヘラヘラ笑う。「あんたっていっつもヘラヘラしてるけど、本当にそんな気持ちなの?」さくらはアオキを睨む。「……そーだよ。当たり前だろ。お前なんて、いっつもイライラしてるだろ。あ〜こわいこわい!」アオキはふざけて答える。「……呆れた」さくらはアオキから目をそらす。アオキは、いつも笑顔だ。学校に入った頃から一度も泣いたり、怒ったり、感情を剥き出しにしていない。頭の中でそう思うことはいっぱいあるけれども、「………でも、あんまり楽しくない。」アオキはぼそっと言った。「えっ」さくらは予想外の反応に驚く。「みんな、俺自身のことが好きなんじゃなくて、俺がいる立場が好きなんだ。俺と一緒にいるやつなんて、みんなそう。俺が何も言わなくてもみんな俺によって来る。でも、俺、本当に友達だなんて思ったこと一度もねーんだよ、あいつらのこと。」アオキは急に表情が硬くなった。「………へぇ」さくらはとりあえず何かをいう。「でも、お前とかよつばとか、……お前らは俺に興味も持ってなかった。特にお前は。よつばは、俺から話しかけたよ。何度か見かけてたけど、………話せなくて………」アオキは、さくらから顔を背けた。「おっ  とぉ。すまないねぇ、さくらち『や』ん。ほれ、そろそろ着くぜ。」アオキは切り替えが早い。もういつもの調子だ。さくらは、そんなアオキを見て、ため息をつく。「うわあ〜、ほんとここなんにもね〜!」アオキは大声で叫ぶ。「うるさいわよっ!」「大丈夫だって、誰もいねーんだから。」アオキはまたもやニヤニヤして言う。「……だからって、夜なんだからっ!!」さくらはイライラした。時刻はもう11時半。電車に乗ったのは9時だから、2.3時間ほど電車にいたのだ。「早く行かないと。……でも、よつばの家がどこにあるのか、あなた知ってるの?」さくらは冷たくアオキに聞く。「あ〜〜?あそこらへんじゃね?」それを聞いて、さくらは自身の頭を叩いた。「あーもう!家がわかんないんだったら、どうすんのよっ!」さくらはヒステリックに叫び出す。「そんな怒んなって!大丈夫。ちょっとしたジョウダン。わかる?」アオキはさくらの顔を見て言う。「ふざけないでよ……」さくらは頭をかかえた。「待て……?何その、………頭」アオキは、さくらの頭を見てびっくりしていた。「は……?」さくらは、頭を触る。「特に何もないわよ。」さくらは、一安心。「ちがう……もっと上!」アオキはものすごく驚いているようだ。「えっ……」さくらは恐る恐る頭の上を触る……


なんかある!


「あー!また!」さくらはそれを引き抜いた!「えーー!!!!」アオキはびっくり仰天。さくらの頭には、なんと花が咲いていた。「…忘れて。」「いっ、いやぁ〜ムリだろ。なんなんだ、それ。」アオキは引き気味にいう。「いいから」さくらはアオキを睨む。「お、 おう…?」アオキは衝撃的なものを見てしまった。



「たしか、駅からまっすぐ行って分かれ道がきたら左を行って、……ぽつんと一つある家がアイツの家だって。」アオキはそう言った。「………わからんからお前が行って。」アオキはさくらを押す。「ちょっと!あぶないでしょう?!転んでたらどうすんのよっ!!」「でも転んでな〜い。それに、そのお洋服も汚れてませんわよ〜?」アオキは腹立つ言い方をしてきた。「はいはい。あたしが行けばいいでしょ。」さくらはイライラして言う。…また頭に細かい花が……アオキは正体不明の現象に怯えていた。「分かれ道……だから、左……」さくらはアオキの言ったことをすぐさま覚えた。さくらは、頭が切れるので、こういうのは得意だ。「あの……家?かな……」さくらはぽつんと寂しく一つ建つ家を見た。……まるで仲間外れにされているみたい。「おっサンキュー」と、アオキはそれだけ言って全力でダッシュした。「あっ…!ちょっと…っ!」さくらはまたもやイライラした。「さ〜くらちゃんっあっそっび〜まっしょっ」アオキはさくらを待つため立ち止まった。「あ~ムカつく」そう言ってさくらも追いつく。「…こんな時間に訪ねてもいいのかな…?」さくらは、ふと不安なった。「まあ、ええやろ。」アオキはなんにも考えずにインターホンを押した。



「はい〜?」


インターホンから声がする……よつばのお父さん……?二人は、初めて聞くその声に、少し緊張した。「あの〜よつばのオトモダチなんですけど。よつばいます〜?」アオキはて慣れた口調でいう。「よつばの……?あ、わかった。いったん鍵を開けるね。」シロツメは、あたりをキョロキョロして出てきた。「早くおいで、」シロツメは二人の手をぐいっと引っ張った。「で……なんでこんな時間に来たの?……よつば、寝ちゃったんだ……」シロツメは、申し訳なさそうにいう。「え……そうなの?」さくらは残念そうに言う。「ごめんね……もう遅いし、泊まってくかい?『お父さん』と『お母さん』に」



「ダメッ!!」



アオキとさくらはとんでもない形相で止めた。「えっ……あっ……そ、そう?」シロツメは、手に取ろうとした受話器から離れた。さくらとアオキは、寝室に呼ばれ、よつば達と同じく布団を敷いて寝た。「本当は家族で寝てたんだ。……でも、ママがいなくなってね。それに、よつばは双子だったんだけど、……もう一人がいなくて……」「あーわかった!もう一人は、アレだろ?『みつば』!!」アオキは自信満々にいう。「そう!……すごいね。よくわかったね。」シロツメは微笑んだ。「じゃあ、もう静かに。もう遅いからね。」シロツメは小声でささやいた。「はーい。」アオキはから返事をして目を閉じた。さくらは、明日が不安だった。眠れない……。



翌朝、目が覚めるとさくらは一人だった。めずらしく、彼女は遅めに起きた。寝ぼけた顔で下に降りると、よつばとアオキとシロツメが朝ごはんを食べていた。「あっ。さくら、ちゃん。おはよう。ご飯できてるから食べちゃって。」シロツメは優しく微笑む。そして、すぐさまお皿に食パンに目玉焼きを乗っけて、目玉焼き食パンを作った。「マヨネーズとか、ソースとか、置いてあるから、好きに取って。」シロツメはグルメなので、塩コショウなど、他にもいろんな味で楽しめるようにたくさんの味付けを食事の際には机に置く癖がある。さくらは、席にすわり、塩をかけた。さくらは甘いものが苦手なのでマヨネーズなどは好きではない。でも、よつばはマヨネーズをかけていた。アオキはソース。きれいに別れた。さくらは手手を汚したくないけど、我慢した。だって、用意してもらってる立場だから。一口かじると、カリッとしていて、おいしい。さくなのご飯には米のものが多かった。コウジは、このような食パンなどを食べさせてくれていたかも。さくらは、シロツメを見た。シロツメは、皿洗いをしている。昨日の残り物かもしれない……。さくらは、コウジが慣れない家事を一生懸命さくなとこなしている光景を思い出した。最近は、コウジが家事をしている姿なんて、見たことがない。あの時の二人は、とっても仲が良くて、いっつもさくらを過保護なくらい心配していた。でも、今ではこのありさま。すると、シロツメはさくらに気がついた。……。二人の目が合う。さくらは、どうしたらいいか、わからなくて、ただ呆然とするしかなかった。シロツメは、そんなさくらにまた微笑んだ。さくらは、すぐに目をそらした。私は、何をやってるんだろう。と、思った。「さくらちゃん!たべないの〜?」よつばが話しかけてくる。「た、食べるよ。」さくらは、ゆっくりと食べ始めた。



「じゃあ、気をつけて。」シロツメは優しく見送った。「うんー!パパー!!」よつばは笑顔で手を振る。そう、よつばは、さくら達と家に帰る……ということで少し散歩がてらに出かけに行ったことになっている。「アオキくん。さくらちゃんが来るなら教えてよ」よつばはアオキにいう。「知らんな。俺だって連れてくる気なかったよ。」アオキはさくらを見る。「お前、帰れんの?」「………」さくらは目をそらす。「いーと思う。帰っても意味ねーよ。ほら、親がいないってサイコーだろ?」アオキはニヤニヤして言う。「………。ねぇ。もし、帰らないとしたら、どこへ泊まればいいの…?またよつばん家?」さくらは不安そうに聞く。「俺、いー宿知ってる。そこの女将さん、一人で運営してんだって。」アオキはコソッと言う。「へぇ……いいね。」さくらもコソッ言う。「なーにがいいのー?」よつばはちょっと不機嫌に聞いてきた。「あっ……いやね……その……なんでもない。」



さくらはうつむく。





       第七章終わり

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