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DIVA  作者: メロン味
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DIVA第24章〜第25章

第24章【子どもを探し出せ?】

「アオキ……。帰ってこれないの?」アオハは、ゆりの部屋でアオキと話している。「……。帰んない。」アオキはかたくなに意見を変える気はない。「……。ふーん。そっ。まぁ、いいけどさっ。」アオハは呆れて言う。「ゆりちゃん、ほんとごめんねぇ。こんなバカがお世話になっちゃってさぁ。」アオハはいやみったらしく言う。「うっせー。別に迷惑かけてないもん」アオキは腕を組む「ここにいる時点で迷惑だよっボケ。」アオハはアオキの頭を叩く。「ちっ!しらねーよ、んなもん。とにかく、オレは帰らねーならな。さくらだって帰ってないし、オレだっていーよなぁ?アオハ」アオキはアオハを睨む。「勝手にしろ。バーカ」アオハはもう言うことはないようだ。「あー!やってやるよ!バーカ!」アオキはそっぽを向く。「アオハくん。そろそろ寝たいんだけど、どっか行ってくれない?今日は……もう……つかれたの…」ゆりは眠そうに言う。「そ、そうだねぇ。ゆりちゃん……。」アオハはゆりに微笑む。「なに。」ゆりは、アオハは睨む。「いや?別に。なんでも……」アオハは笑って言う。「じゃあね。」アオハはゆりや、よつばたちにも視線を配りながら部屋を出ていった。「……。」アオキは、ふてくされているのか、もう布団で寝っ転がっている。「アオキくん。ぼく、くっついていーい?」よつばは、そう聞いた。「え」アオキは固まる。「アオキくん、さみしそうだったからっ。ぼく、くっついてあげる!」よつばは、アオキの布団に入る。「えぇ!?」アオキは大声をあげる。「あったか〜い!」よつばは、うれしそうだ。アオキは、久々に誰かと寝た。家族と寝た時以来……「〜……」アオキは照れ隠しで、よつばから顔を背ける。「やった。あたしのスペースが広がった。」さくらは、よつばの布団と自分の布団の間に広々と寝っ転がった。「うわぁ〜!気持ちいい〜」さくらは、雪の天使を作るように手足を動かす。「うぜー。だまれ。」アオキは冷たく言う。本当は、よつばが一緒に寝てくれてるのが嬉しくて、とても安心しているのだけど、アオキは素直じゃないので、ずっと不満そうな顔をしてる。「よつば、たぶん朝には元の位置に戻ってるよ。」さくらは、よつばとアオキを見る。「そ〜なの?」よつばは、首をかしげる。「うん。あんた、あんまり寝相良くないから。朝には布団がとれてる。」さくらは、微笑む。「そっかぁ〜…。アオキくん、さびしくな〜い?」よつばは、アオキの方を向く。でも、アオキの顔は見えない。アオキは、よつばの方を見ないようにして、顔を背けているから。「寂しくねーよ。俺はもう10才だぞ。」アオキは布団に顔を埋める。「そっかぁ。よかったぁ。」よつばは、眠くなってきたのか、目をしょぼしょぼさせる。「もう寝るわぁ。おやすみ。」ゆりが、部屋の電気を消した。そうか、もう夜か。よつばたちは、本格的に目をつむる。








コユキは、こっそりこっそりとユキコたちが寝ているであろう宿に入る。足音立てずに、こっそりと。忍者のように……。「よっしゃあ…!よっしゃあ…!!」小声でガッツポーズを決める。


「コユキ。おかえり。」



ユキコが、コユキの背後で笑顔でコユキを出迎えた。コユキはビクった。



「ええええ!!!????ねーちゃん!?!?!?!?」コユキは猫のように飛び上がった。「なんか、うれしそうやったなあ。おまえ。なんかあったん?」ユキコは机に肘を立てて、顎に手を当てた。「いっいやっ??なんも〜〜??」コユキは冷や汗をかいている。「ねえさん!!おかえりっ!」スズコがスキップして来た。「ねぇさん。こんな時間までどこに行ってたんですか」ジロウをは顔をしかめた。「ちょっ。ちょっとここらを散歩してただけやっ!じゃっ、もううちは寝るわ〜」コユキがそう言ってカウンターの後ろにあるドアを開ける。そこがコユキたち、極の極みの生活スペースだから。



「んっ?その後ろのもんはなあに?」




ユキコは見慣れないもので、怪しそうにソレを見つめる……「あ?なんや、それ。」ユキコは、眉間にシワを寄せて聞いた。「ふぇっ?!いっ、いやっ!!こ、こ、こ、これはのぉ〜」コユキはしどろもどろになった。「うち、風呂入る!!んじゃっ!!」コユキは走って適当な部屋に入る。もう営業時間は過ぎているため、お客様が入ってくることは、あまりないだろう。コユキはその手に持つバッグを開いた。


「うひひ…」コユキは、怪しく微笑んだ。そのバッグの中には、大量の札束が入っていた。コユキは、しめしめとその札束を見つめる。



「ねぇさん……何しとるの…?」




コユキは、気分が下がった……。コユキは、背後を振り向く。




やっぱり、スズコだ!



コユキは、顔を手で覆う。(最悪や……)スズコは顔をしかめてソレを見る。「?!……なんや、これっ?!ちょ、ちょ、ちょ。ちょっと!!危ないばいとでもしたんか?!こ、こ、こ、……こんなにたくさんのおカネ……。」スズコは、意識がうっすらしてきて、倒れてしまいそうだった。「スズちゃんっ!大丈夫……?」と、倒れそうだったスズコは、後ろからジロウに支えられた。「……カネ」スズコはそれだけ言った。「かね?」ジロウは、コユキの方を見る……すると……。大量のお金が……?! ジロウは思わず目を見開く。「え……?え………?」ジロウの頭は、まっしろになった。「ねぇさん……どこでそんなお金を……?まさか…ワルイコトでも……」ジロウは、口を閉ざす。「い、いや。まだやってない」コユキは焦って言う。「え。それってこれから、やるってことやろ?」スズコは、コユキを睨む。「うぇ!?ま、ま、まぁ……せやなぁ。でもな、悪いことっちゅう〜ても、うちがやりたくてやるわけやないねん。それやるっつったら、コレを渡されたんや!」コユキは、嬉しそうにお金を見る。「ええやろ?」コユキは二人にニヤリと笑って振り向く。「ユキコねぇさんに言ったんか。」スズコは、コユキを睨む。「は?言うわけないやろ。だってな、ねえちゃん。怒るで。オニババやから。」コユキはいたずらにそう言う。「……呆れた。」スズコは、そう言って部屋を出た。ジロウとコユキは、そんなスズコを止めたりなどはしなかった。ただ、見つめているだけだった。






しばらく時間が経つと、ジロウが口を開ける。「ねぇさん。そのぅ……アヤシイばいとって、何するんです?」ジロウは、不思議そうに聞く。「おう。バイトっちゅーか……頼みごと?悪いことかどうかもわからん。」コユキはぶっきらぼうに答える。「はあ……なんなんですかぁ、もう……。」ジロウは呆れて言う。「紫の髪の女がこれをくれたんや。アイツが言うには、学校におる子どもの手がかりを探してほしいらしいねん……。てか、子どもなんておるんか。中学に。」コユキは顔をしかめて、金を見る。「と、とにかく……。こんなお金をもらったんなら、やるしかねぇよなぁ?ジロウ。」コユキは、ジロウの肩を組む。「でっ、でも、スズちゃんは……」ジロウの口を、コユキは塞ぐ。「……いいか?ジロウ。これは、お前が何を言おうと、スズコが何を言おうと、やらなきゃなんねーことだ。あんな大金もらっておいて、何もしねぇとか、何がされるか、わかんねーからなっ。」コユキの声は、震えていた。




朝の光が差し込んでいる……。ゆりは、重い体を起こした。寒い…とても寒い!!ゆりは、自身の肩をさすりながら、起きた。「ゆりさ〜ん。起きたの〜??」よつばが、眠たそうに微笑む。「……。あなたはまだ寝てていいと思うよ。だって、めっちゃ寒いし、日の光も……」ゆりが窓を開けると……雪が積もっていた。月ノ宮は、ちょくちょか雪が降るのだが、こんなに雪が積もるのはめずらしい……。ゆりは、その光景に唖然とする。「うそ……ヤバい。」ゆりは、小声で呟く。「雪だー!!」よつばが、嬉しそうに反応する。よく、雪が降ると子供は喜んで、大人はがっかりするといあ。ゆりは、がっかりでも、嬉しいでもなくて、びっくりしてた。こんなに雪が積もったことはないので、ゆりは少し不安にもなった。



「リン。おはよ。」朝早く来たリンに、ゆうは語りかけた。」あら、ゆうくん。おはよう。」リンは、嬉しそうに微笑む。「……なんかあったら、俺に言えよ。」ゆうは、照れくさそうに言う。「なあに?心配してくれてるの?大丈夫よ、ゆうくん!わたし、ちょっとだけ、すっきりしたから。」リンは、ゆうから目を逸らして微笑む。「うん……。そっか。」ゆうは、ぎこちなくそう答えた。でも、リンの目には、まだかすかに悲しみがあった。おそらく、ランのことで。リンにとっては、ランがすべて。失ってしまったら、もう自分に価値などない。「……あれ?ゆうくん、雪降るなんて、ニュースとかで聞いた……?私、最近テレビとか、見てなくて……」リンは、窓を覗き込む。「えっ?やば……。俺も知らないなぁ……。ここまで積もるの、久しぶりじゃない?」ゆうもリンと一緒になって窓の外を見る。「やたら寒いと思ったら、そういうことか……。」リンは、上着を羽織った。「うおお……。さむっ。外見ただけで寒いわ。」ゆうはだるそうに言った。「ね。寒すぎ……。この学校、ちょっと古いから暖房も冷房も効かないんだよなぁ……。」リンは、心配そうに言う。「いや、ちょっとどころじゃないよ。もっと古い。」ゆうはそう言った。「そんなの知ってるよ〜。でも、やっぱ古いよなぁ。工事でもしてくれたらいいのに。」リンは、学校の壁を触りながら言う。「なっ。まじで直して欲しい。」ゆうは、不満そうに言う。「そうね……。今度アンケートにでも校舎をリニューアルしてほしいって書いておこうかなぁ。」と、リンは微笑んだ。そんなリンを見たゆうは、すぐにリンから目を逸らす。「うん。そうしよう…。」ゆうは、恥ずかしそうにリンとは反対の方向を向く。






バラみは、こそこそと廊下を歩く。そう、レイニーズからもらった謎のケータイに連絡がきたから。バラみは、慌てて人気のないところを探していた。「えっ、あっ、あのっ。もしもし……」バラみは頭が真っ白になっていた。「やぁ。バラみ。ぼくだよ。ジョンだよ。バラみくん……?そんなに怖がらなくてもいいんだよ。ぼくらは君の味方なんだからさぁ。」ジョンは優しい声で言う。「え、あ、はい。で、なんですか?何か用でも……。」バラみは謎のケータイを、震える手で一生懸命持つ。「用?そうだなぁ。手がかりは見つかったの?子どもの。そう、クローバーの。」バラみは、なんだそれ。とも思ったが、とりあえず大人しく続きを聞いた。「クローバーは、非常に頭が悪い。すぐに騙されてしまうだろう……。そこでだ。バラちゃんよ。そんな顔しないで、もっと自然に笑うんだ。」バラみの背後から、ジョンの声がする……?バラみは、思い切って振り返った。「やぁ。また会えて嬉しいよ。今日はとても寒いねぇ。こんな日には、人肌恋しくなるね。まぁ、ぼくや君には、そんなものないけど。」ジョンはニヤリとする。「……。なによ…」バラみは、ジョンを無意識に睨む。「だ〜か〜ら〜!!そんなこわい顔したら、あのガキは君から離れていくだけだよ。もっと笑ってネ。」ジョンは、バラみの口角を指で無理やりあげさせた。「大丈夫大丈夫。お前には俺らが付いてるからな。お前のことなんて、誰も必要としてないんだから。誰も信用すんな。ただし、俺らはお前の味方だからな……?いいな。」ジョンがバラみの耳元で呪文のように唱える。バラみは、寒さと恐怖と不安で震えていた。とりあえず、声が出ないので強めにうなづく。「いい子だよ。君は。大丈夫だからね。」ジョンは、また優しい顔をして、バラみをなでる。なんだか、飼われているみたい。と、バラみは思った。こんな思いをするのは、父親以来だ。父親は、ジョンよりもっとひどかった。バラみをこんなにも追い詰めたんだから……。いつでもどこでも、バラみは見られている気がしていて、ずっと感情を表に出せなかった。そして、ゆりとリンとは、ほぼ遊べていないので、二人の中は近くなるけど、自分だけが遠く、遠くに離れていってしまう。今も、誰かに見られている気がしてならない。バラみが悪いことをしると、父親の声が大きく頭に響く。頭が、痛い。バラみは、まだ父親から解放されていない。寮がある学校で心から良かった……と、バラみは思っている。震える体で、バラみは、ふと、窓の外を見た。「え……」バラみは、いきなりの白銀の世界に驚いていた。


「バラみさん。大丈夫。」



と、声が聞こえて振り返ると、すん、とした顔でシュガーがつっ立っていた。「え…?しゅ、シュガー……??」バラみは、さらに怖くなった。シュガーや、ゆりとかリンに、この事が知られたら……彼らは、どんな気持ちになるだろう。バラみは、ゆっくりゆっくり後ずさる。怖くて、怖くてたまらない……。「バラみさん…。何か、あったら……。僕に教えて。」シュガーは、強めにそう言い放った。彼は、とても真剣だ。「うん。……。そうする。」バラみは、とても安心した。シュガーの顔を見ると、いつもうっとりしてしまう。でも、やっぱりまだ怖い。「バラみさん、そんな格好で、寒くないの?」シュガーは、バラみの制服を見る。バラみは、いつもと同じ、半袖とミニスカートだった。「い、いや……寒く……寒い……かも。」バラみは、震えながら話す。「あったかいところへ行こう。廊下は、とても寒いよ。」シュガーは、バラみの背中を支えながら歩く。「ふーん。ボーイフレンドがいるんだあ。」ジョンは、二人の背中を見て、ニヤリと笑う。







「ゆりさん!おかえり〜!」ゆりが、制服に着替えて、更衣室から部屋に戻ってきた。まだ、さくらとアオキは起きていない。「うわっ。今日早起きしすぎたか?まだ、こんなに時間ある……。」ゆりは、壁にかけてある時計を見て言う。ゆりは、ひとまず、またベッドに寝転んだ。「さ〜む〜い〜」と、ゆりは呟く。「そーだっ。暖房つけよっ。」ゆりは、リモコンを手にして、暖房をつけた。「ふわぁ。あったけ〜。」ゆりは、温かい暖房に包まれて、思わずため息をつく。「よつばくんは寒くないの?」ゆりは、首をかしげる。「ん〜。寒いけど、耐えられるよっ!」よつば、そう言った。「へぇ。マジかぁ……そっかぁ……」ゆりは、うなずく。「今日は家に帰るの?」ゆりは、聞いた。「うん。パパが寂しくて死んじゃうかもしれないから、帰る。」と、よつばは笑顔で言う。「あぁ……そうだよなぁ。」ゆりは、眠くなってきていた。暖房の温かい風、ふかふかのベッド……これはもう、寝なければ。




「ねぇさん、スズちゃんが見つかりません!!!!」ジロウがコユキに叫ぶ「うっせーわ!!んなもん知っとるわ!!!お前の隣にずっとうちがおったろ!!!」コユキがジロウに叫ぶ。「…う、う〜ん…。」ジロウは、何も言えなかった。だって、言ったって聞いてくれないから。コユキはもう、意思を曲げたりしないだろう。「……。うちは、やらなきゃいかんことをするだけ。ただ…それだけ。」コユキは、悲しそうにそう言う。ジロウには、コユキが何を考え、思っているか、なんとなくわかっていた。





さくらが、ゆっくりと体を起こす。「えぇ…。なにこれ…。寒い……。」さくらは、震える。「ゆきふってるの〜。さくらちゃん、お外を見て!」よつばは、窓を指差す。「え〜……こんな雪、久々に見たなぁ。だいぶ積もってるね。だから、こんな寒いのか。暖房ついてるのになぁ…。」さくらは、白い息を吐く。凍ってしまいそうな寒さだった……外に出れば間違いなく風邪をひくだろう。「ねぇ。あなたのおかあさんの声がどこにあるかとか、感じとれないの?」さくらは、よつばを見る。「え〜……どうかなぁ。ぼくは、ママじゃないから、なんにもわからないよ。」よつばは、困って言う。「そうか。わかった。」さくらは、残念そうによつばを見る。よつばは、アオキをふと見た。……アオキは、肩を震わせて泣いている。「あれ?アオキくん。泣いてるの?どうしたの?」よつばは、アオキの隣に寝転ぶ。「……」アオキの顔は、よく見えない。腕で顔が隠されていてよくわからない。「……!」さくらは、こんなアオキを見た事がない。小さい頃はよく泣いていたイメージはあるけど、今になってこんなになってるのは見た事がないかもしれない。でも、誰にも見られないところでは、こうなっていたのかもしれないが。よつばは、アオキを抱きしめた。「アオキくん、寒いの?」よつばは、何気なく言う。「……おれは、がんばってるのに…なんでだれもわかってくれないの?」アオキは、ついに顔を出した。「え。」よつばは、アオキがいきなりしゃべりだして、びっくりしている。「はあ……。もう、つかれた…。どうして、おれは…」アオキは言葉がつまる。「そっかぁ。今日はさむいからねぇ。もうちょっとおねんねしてていいよ。」よつばは、アオキにもう一つ布団をかける。アオキは、少し動揺していたが、次第に、ゆっくりと目を閉じていった。「そろそろ、ゆりさんを起こさなきゃ。遅刻しちゃう…。」さくらは、ほぼ寝ているゆりに近寄る。「起きて、ゆりさん。もう起きないと……。」さくらは、ゆりの体を揺さぶる。「うえぇ……。いやだ…。おきたくないぃ。」ゆりは、よだれを垂らして言う。「早くしないと、遅刻しちゃうよ!ゆりさんっ!!」よつばは時計を見ながら言う。でも、よつばにはあまり時計が読めないので、いつもふんわりとしか、時間を理解できていないのだが。ゆりは、うるさいな、と思いながらも、彼らが言ってることは嘘ではないし、無理やり体を起こす。「うわっ。もうこんな時間!?うわぁ……。やだぁ…。」ゆりはだるそうに体を伸ばす。「そうでしょ?だから言ってたのになぁ。」さくらは呆れて言う。ゆりは、急いで支度をして、部屋を飛び出る。「うおっ。さむっ」ゆりは、寒さには強い方だけど、ここまで寒いのは流石に無理だった。体が震えて、手先から足先まで冷たい。まるで、凍っていくみたいな感覚だった。芯まで冷える寒さというか……。とてつもなく寒い。






「こんにちは。前にもお会いしましたよね。私です、私。」コスモが、コユキたちの行手を阻んだ。「お、お、お、お前はっ……!!紫の髪の女!!!」コユキはコスモに指をさして大騒ぎする。「え?え?あの人がですかっ??えぇ…えぇ…??」ジロウは困惑した。いきなり、そんな人に出会えるなんて……ラッキーなんだか、そうじゃないのか…。「そうです。というか、コユキさん。私はコスモ。前にも何度か言いましたよね?」コスモは、不機嫌に言う。「し…知っとるわ!!コスメやろ?」コユキは、自信満々に言った。「……はぁ。まぁ、もうそれでいいいです。とにかく、頼みましたよ。クローバーを探しなさい。あんなに大金もらっておいて、サボるとか、ありえませんからねぇ……。」コスモは、ニヤリとする。コユキとジロウは、唾を飲み込んだ。




「あの人か。」


「?!」



コユキとジロウが驚いて振り向くと、そこにはスズコがおった。「あの人、最近来たばっかの転校生やな。」スズコは不機嫌に話す。「えっ。転校生やの?(なの?)」コユキとジロウは顔を見合わせて同じリアクションをした。「え。アンタら、知らんのか…?本当に最近やで…?もう、ほんとに流行りに疎いんだから…」スズコは呆れて言う。「せやで。コスモと…ジョンと…クルコ…?ってやつ。」「コスメとジョニーとクルミ?」「あ、もうええわ」コユキはスズコが言った名前を全て間違えている。「とにかく、ええか、ねぇさん。もう、ヘンなことしないで…。うちは、もう……」スズコが不安定にそう言い放つと、あたりが寒くなってきた……。なんなら、少し吹雪が舞っている気もする……。コユキとジロウは、身構えた。「おおお落ち着けっ!!スズコっ!!」コユキはスズコの肩を掴んで振り回す。「痛いっ!痛いっ!」スズコが叫ぶと、吹雪(?)は止んだ。「す……スズちゃん……だいじょぶかいな…」ジロウは、心配そうにスズコを見た。「……。ねぇさんは、私がどんな気持ちかなんて知らんくせに。」スズコは、嫌な顔をして言う。「は…?」コユキは、よくわかっていない。「……これ以上言ってもやる気なら。もううちはなんも言わん。」スズコは、強めに言う。そして、コユキたちから去って行った。コユキとジロウは、顔を見合わせる。





「ゆりちゃん。おはよ。」リンが話しかけてきた。「あぁ…。リン…ちゃん…。」ゆりは苦笑いをした。「いいよ、無理に呼ばなくて。もう呼んでもらえたから、満足なの。」リンは、嬉しそうに言う。ゆりも今日はマリアが起きることもなく、ゆっくりと眠る事ができた。……いや。マリアとゆりの意識が1つになっていたのかもしれない。なぜなら、ゆりもマリアも鮮明にあの時のことが思い出せるからだ。黒いリンのこと、バラみのこと…。2人は、よく覚えていた。「あっ。そろそろ私クラスに戻らなきゃっ。またね、ゆりちゃん♪」リンは嬉しそうに言う…けど、その目にはほんの少し悲しさがあった。ゆりは、それが気がかりだった。リンは、ランを失って、だいぶ不安定になっていた。母親に迷惑をかけているのにも、ものすごく苦しかった。自分がうまくやれなかったから、アンはリンの世話をしている。こんな自分ではダメだ…と、リンは自責している。ランは、自分のせいで家に帰ってこなくなった。もう、生きる希望はない。リンは、傷心して、笑っていても、どこか儚げに見える。リンは、今幸せなのだろうか。ゆりたちと話せたことが、少しだけの彼女の希望なのかもしれない。





「さくらちゃん、アオキくん起きない!」よつばが困って言う。「あんたは優しすぎ。叩き起こすしかないでしょ。」さくらは、アオキを枕でぶっ叩いた。「アオチ!アオチ!!おおおお!!やめろおお!!」アオキは頭を抱えてもがく。「だったら早く起きなさいよ」さくらは、続けて叩く。「おきる!!おきる!!やめろ!!」アオキはやっと体を起こした。そして、さくらはふとゆりの机を見た……。あれ?


ゆりは次の授業で必要な教科書を机に置き忘れている……



「これって……?!」さくらは教科書をゆっくり手にする。「あぁ?別に、気にしなくても良くね。ノートありゃ頭に叩き込めるだろ。それに、ちゅーがくは教科が一個だけじゃなくて、何個もあるんだろ?だったらこれは使わないやつなんじゃないの?」アオキは、冷静に言う。「あれ見て」さくらはイラつきながら時間割りの表を指差す。「ア」アオキはかたまった。「ゆりさんに、これをわたさなきゃ!教科書あっても、ぼくわかんないけどね〜。」よつばはそう言う。「……。今度教えてあげるよ。……今度。」さくらは、そう答えた。「ほんと?!さくらちゃんに教えてもらえるなんて、ぼくしあわせ〜!」よつばは、嬉しそうに言った。「……あっそ。今は、早くゆりさんにこれを届けないと……」さくらは、よつばから目を逸らして答えた。よつばは、純粋すぎて、たまに見ていて苦しくなる。もし、自分もこうなれていたら……みたいなことを考えて。とにかく、誰にもバレないように、ゆりに教科書を届けなければ……っ!







子どもたちは、慎重に廊下を歩く。まぁ、とそらく休んだりサボったりしている生徒以外には、あまり部屋にいる生徒は少ないだろう。でも、バレてしまってはめんどくさい。なので、バレるわけにはいかない……。子どもたちは、一致団結している。ただ、廊下はとても寒い。部屋から出たことをみんな後悔している。この中学校の生徒の寮は、六階まであって、ゆりは四階に住んでいる。そして、ゆりの教室は一階にある。だから、あと2階誰にも見られなければゆりの教室にはたどり着ける。でも、そのあとだ。ゆりに手渡さなければならない。そのためには、どこかで様子を見て渡すしかない。休み時間とかが1番ちょうどいいだろう。





子どもたちは、こっそりこっそりゆりの教室に近づく。ここまで先生にバレなくて、ほんとに良かった。そして、子どもたちは、ゆりの教室の外の壁に張り付いた。「じゃっ。俺が渡してくる。」アオキは、さくらの手からするりと教科書を奪って教室に入ろうとした。さくらは慌ててアオキの服の袖を掴む。「あんた……っ!!バカじゃないの?!そんなことしたら普通にバレるだろっ?!」さくらは少しイライラして言う。「ほ〜ん。そっか。」アオキは、よつばの手の上に教科書を置く。「俺はなぁ。もうアオハちゃんにバレてんだけどねぇ。そうだな、そうだよ。ここで全部バレたら家に帰される!お前は身勝手な理由で家を出て、さぞかしいい気分だろうよ。成績優秀で親に期待されて!なんもしなくてもみんながお前を頼る。でもなぁ、お前は大人たちに好かれてるだけ、俺らみたいな同い年にはうざがられてる。いつもいつも、お前は偉そうで……っ。なんでお前なんかが家出したんだよ。お前は帰れよ!」アオキはいきなり怒り出した。さくらは、アオキのこんな姿を見たことなくて、とても怖かった。寒さや恐怖が、さくらを震えあがらせる。「そ、そんなに大声だしたら……ば、ば、バレるって!」さくらは、震える口で言う。「うっせーよ。早く帰れよ。お前なんて、迷惑でしかない。無愛想だし、つまんないし、その髪色も最悪。お前になんの価値があるの?俺はお前なんて無価値だと思う。いらねーんだよ。お前なんて。親に捨てられたんだろ?居場所がないんだろ?誰もお前みたいなやつなんて、好きになるわけない。早く帰れよ。早く帰れって!!」アオキがさくらに怒鳴った直後……



「やめてっ!!」



さくらも大声で叫ぶ。……それだけならよかった。さくらの足元から、またあのくろいツタが……。アオキは少し怖気付いて後ずさる。「さくらちゃんっ!」よつばは必死にさくらを呼ぶ。でも、さくらには聞こえてないみたい……。「おまえ、またやられたいの?」さくらはアオキに近寄る。「は?なんだよ、やってみろよ!」アオキがそう言うと、さくらはアオキに飛びかかって髪の毛を引っ張る「いたい!いたい!いたい!やめろよ!」アオキの髪が何本か抜けるくらいにさくらは引っ張る。なんなら、アオキの皮膚にも爪を食い込ませる。アオキが痛がってるのも見えてないみたい……。アオキは、痛くて涙が出てきた。さくらの手を必死に押さえるけれど、力が入らない。「さくらちゃんっ!!やめて!!そんなことしたら、痛いよ!!……さくらちゃんっ!!やめてっ!!」よつばの声にも反応がない。「あ、いた。」


よつばは、耳元で声がして、振り返る……


「えっ?!だれっ?!」よつばは驚く。



「ありがとう。クローバー。やっぱり君らはわかりやすいね。子供ってバカだ。本当にバカ。」ジョンはニヤリと笑う。そして、コスモとクルコもいる。レイニーズだ……「このくろいやつはなんなんだろう。」ジョンは興味深そうにくろいツタを観察する。さくらとアオキも、レイニーズに気がついたようだ。「……お取り込み中だったかな?なら、ちょうどいいや。」ジョンは、パチンっと指を鳴らす。その途端に学校中が静かになる。「みなさーん!!この子達のこと捕まえて〜!みなさんのチカラが必要なんです〜。」ジョンは楽しそうに叫ぶ。すると、学校中の生徒や先生が、よつばたちに近寄ってくる……。なんなら、あのゴトウ先生でさえもよつばたちを捕まえようとする……。「あ、あの…な、なんで…?」よつばは、ゆっくりゆっくり遠ざかる。さくらは、泣きじゃくるアオキを引きずって、よつばと一緒に後ずさる。すると、くろいツタが引き下がっていって、さくらの元に戻って行った。「あれぇ〜?あのくろいやつ、君のだったの。すごいねぇ。」ジョンは、ニヤリと笑う。でも、その目は笑ってはいなかった。さくらはあの目を知っている。さくなや、コウジの死んだ目。何もかもに絶望した目。なぜ、ジョンにこんな目ができるのかわからない。とても、ふざけて見えるのに。すると、よつばは誰かに手を引かれた。「クローバー。逃げて。」それは、ココロだった。真っ暗で何もない空間だった。「クローバー…。君のトモダチも連れてくるから、君だけは、早く。」ココロは、よつばの背中を押す。「えっ?えっ?」よつばは、混乱していた。「君のキョーダイと約束したんだ。『よつばだけは、まもって』って。」「きょーだい……。みつばっ……?」よつばは、ここでその言葉が聞けるとは思わなかったので、少し、感動すらしていた。でも、ココロの表情や話し方は、どこか冷たかった。




「ん……?教科書…?だれのぉ…?」ジョンは、よつばたちがいたところに教科書が落ちていることに気がついてしまった。「ゆり。へぇ。ゆりかぁ。」ジョンは、教科書の裏に書いてある名前を見て、ニヤリとする。





よつばが、ココロに突き飛ばされると、静かな場所に出た。先ほどの真っ暗な世界とは、おさらばだ。よつばが辺りを見渡すと、図書室に来ているようだった。「いたっ!」すると、さくらもよつばの様に降ってきた。「…」アオキも、静かに落ちてきた。アオキは、また泣いてるみたいだ。



「いい子だから、出ておいで〜。」


ジョンの優しい声が遠くから響いてくる。「やっやだ!あの人に見つかったらおしまいっ!!」よつばは、さくらにくっつく。「……。どこかでやりすごすしかない…!」さくらは、机の下へと背を低くして向かう。よつばも、同じくマネをして着いていく。でも、アオキが来ていないことに気がついたので、よつばは、アオキを引っ張って行くことにした。「お…おもい〜。」よつばは、すでにへとへとになってしまった。



無事に机の下へと3人は入り込む。「……ごめん。私のせい。」さくらは、ぽつりと話す。「…。そっかぁ。」よつばは、よくわからないで言う。「……。私、最近おかしい。もうずっと…。私……。どうしたらいいんだろう。」さくらは、泣きそうになった。アオキは、さくらを蔑んだ目で見る。さくらは、それに気がついていた。でも、それを責める気は一切ない。そんなふうに思われて当然だから。もちろん、いい気分はしないのだけれど。さくらは、アオキを見る。アオキは、そのままさくらを見ている。「ごめんなさい。こんなことになるなんて、思ってなかった……。あなたを巻き込んでごめんなさい。私……。あなたに酷いことばっかしてる。どうしても、気持ちが抑えられなくて…」さくらは、言いながら不安になる。アオキは、静かに口を開く。「それが聞きたかった。ごめんなさい。真剣に謝ってくれてありがとう。とてもうれしいよ。」アオキは、まだ怒った顔でさくらへ皮肉に言う。「……。うん。」さくらは、少しほっとして表情が緩む。


「どこいっちゃったの〜??よつば〜ママいるよ〜。出ておいで〜。」ジョンの優しい声がだんだん近づいてくる。「ママ…」よつばは、その言葉に敏感に反応する。さくらは、よつばの服の裾を掴んで、「ダメよ。ワナだわ。」さくらは、必死に引っ張る。「映画とかでよく見ない?そーゆーの。」アオキは、呆れて言う。「わな……。ママはいないの?」よつばは、さくらとアオキを不安そうに見る。「いいえ、いる。ハナはいる。ハナに…声を返そう。そして、あなたに会わせてあげたい……。」さくらは、愛おしそうによつばを見る。ハナの気持ちを考えたら、よつばに会えればどれほど幸せだろう。こんなに明るくて、優しくて、素敵な人。人はみんな素敵なんだけど、さくらにとって、よつばは特別だった。



「……。お、お前らぁ。こんなとこにおったんかぁ……?」



コユキが、机を覗き込んで言う。



「わああああああ!!??」


子どもたちは、大パニックだ。「やめて!言わないで!だれにも!」よつばは、必死にコユキに訴える。「……。す、す、す、すまん……そ、そ、そ、そ、そ、れは……」コユキは、震える手でレイニーズからもらった、例の謎のケータイを手にする。「だめだよっ!ぜっったい!!」よつばは懇願する。「押すなよ!?ぜっったい押すなよ?!」アオキも同じく、おねがいする。「おねがいだから…やめてっ!!」さくらも止めようとコユキの腕を掴む。「……!」コユキが謎のケータイを触ろうとした時……!




「ねぇさ〜ん。探したんだから。ほら、ジロ〜ちゃんも」



コユキが振り返ると…



スズコとジロウ。    









終わった。


コユキは、そう思った。「ねぇさん……なんこれ?」スズコは、コユキのいる机の下を覗き込む。「……!こども…。」スズコは拳が震えだす。「うちさぁ……。やめろっつったよねぇ……」スズコは、拳を力いっぱい握る。「すすすすすスズコ!!ここここここれはちゃうんや!!たたたただ……、遊んでただけやっ!なあ?」コユキは子どもたちを笑顔で見る。「ふざけないでよ……言ったじゃない……。」また、辺りが寒くなる。「す、スズちゃん……?」ジロウは、スズコの背中をさする。でも、スズコはその手をはじいた。「ジローちゃんはいつもねぇさんのゆーことばっかり聞いて!!私の言うことなんてまったく聞いてくれないっ!!ジローちゃんが止めてくれさえすれば、良かったのに!!」スズコはジロウの胸ぐらを掴んで言う。「スズちゃん……!」ジロウは、もうどうすればいいかわからなかった。コユキは自分にとってとても大切な存在だから、見捨てるなんてとてもできない。もちろん、スズコも大切な仲間だけど。コユキがいなければ、極の極みはいなかった……。ジロウはだから、コユキを切り捨てられない。こんな自分を変えてくれた、最愛の人だから……!「スズちゃん……君も一緒にやろう……!」ジロウは、スズコに訴える。だって、スズコも一緒にいてほしいから。「……やらない」スズコは、震える声で言う。その途端、



ひゅるるんと、この部屋いっぱいに吹雪が吹く。「もー!!なんなんやああああ!!」コユキは、パニックになっている。「スズちゃあああああん!!!」ジロウは、スズコの名を叫ぶ。






      ❄︎〜第24章終わり〜❄︎














第25章【白いスズコ】



寒くて、目も開けられない……よつばは、そっと目を開ける。そこには、まっしろなスズコがいた。「こわい…こわい……」スズコは寒そうに床に膝をついて言う。スズコは、後ろを向いていて、みんなからは顔が見えなかった。




すると、ドアを開ける音がした。あのレイニーズが、先生や生徒たちも連れてやってきた。ジョンは、いち早くスズコに気がついた。「…声だ。あの白い女を捕まえろ。ジョンは先ほどまで子どもたちを呼びかけていた声とはまるでちがう、冷酷に言い伝えた。「はい!」先生•生徒は、スズコに近づく。声、声と聞いてよつばは、やっぱり、声があって、ハナもいるのか!と安心した。はやく、シロツメに伝えないと。よつばはそんなことを考えていた。





スズコは、近寄る気配に気がつくと、手を出してみんなを氷漬けにした。「おっと、めんどくさいなぁ。」ジョンはイラついて言う。「暖房でも入れておけばいいんじゃない?」コスモは、淡々と言う。「じゃあ、アタシがつけたげる!!」クルコは、エアコンのリモコンを手に取り、図書室につける。「あついっ!」スズコは、案の定抵抗を見せた。「さぁ、その声を貰おうか。大丈夫、すぐに終わるよ。だから…」ジョンがスズコに触れようとした時……!!




「触るな!!ボケええええ!!」


コユキが、スズコの前に飛び出してきた!「は?なに、お前。目障りだなぁ。早くどいてくれない?こっちは忙しいの。」ジョンは、苛立ってきた。「うっせーよ!……。とんかく、スズコはわたさねぇからな。」コユキは、ジョンを睨む。後からやってきたジロウもコユキに続く。「君らよりも強いんだよ。極の極みは。」ジロウは、すばやく動いて、ジョンの足に自分の足を引っかけた。ジョンは、もちろんすってんころりんした。ジロウは、その隙にコユキとスズコを担いで走りだす。「いった!……ちっ。こくのきばこだっけ?あいつらを捕まえろ!!特に、白い女は。」ジョンは、学校中の者に命令する。皆、ジョンに従って走りだす。「あっ!おっと忘れてた〜。クローバーちゃんっ!」ジョンはわざとらしく大きめに手を叩いて言う。「いるんだよね?……ねェ。俺らについて来れば、ままに会えるよお。どーすんのっ?」ジョンは、優しく、優しく言う。「ままを捨てんの〜?そんなひどい子だった?キミってぇ。」ジョンは、机の下に入ってよつばを追い詰める。




「やめろっ!!」



後ろから、女性の声がする。ジョンは、驚きのあまり頭を机にぶつける。ジョンが謎のケータイを操作すると、たちまちその女性の前に現れた……。




その女性は、ユキコであった。ユキコは、ジョンを睨みつける。「あなた、なんですか〜?ボクらのジャマする気なら、消しますよ?」ジョンは、機械みたいに不気味に笑う。「……っ!やってみろよオラァ!!」ユキコは、昔大暴れしていた頃を思い出す。彼女は……本物の不良だったのだ。ユキコは、ジョンの胸ぐらを掴んで、動きを止める。「お、お行きなさい!あんたら、私がここで引き止めるで!!コユキたちを……たのんます!!」ユキコはよつばたちに叫ぶ。子どもたちは急いで図書室を出た。



「ほんとうに、バカだ、どいつも…こいつも……。」ジョンは、手を動かした。するお、催眠術の様にユキコはジョンから手を離す。「ふふ。悪い様にはしませんよ……。愚かなニンゲン……。」ジョン……そしてコスモとクルコは、ユキコに攻め寄ってくる。でも、その様子はなんだか不思議だった。この3人は、恐く見えて空っぽなのだ。力を持っているけれど、本当に空っぽだ。本当に彼らは人間なんだろうか。もはや、感情がない、ただの器にしか見えない。ユキコは、強い違和感を感じていた。でも、どこか可哀想にも見えた。







「スズちゃんっ!!ねぇ、この雪を止めてっ!!」ジロウが、安全だろうと思える場所で聞く。「むりよ……。私にはできない。どうしてもよ、ジロウちゃん……。」スズコは、悲しそうに答える。「……。スズコっ。お前はどうしていっつもそうなんだ。なんで本当のこと言わへんのや!」コユキは、スズコにブチギレる。「はぁ?!私はいっつも言ってる!!聞いてないのはあなたでしょう?!」スズコも、コユキに釣られて怒鳴りだす。「や、やめてっ!!こんな時に……」ジロウが間に入る。「ジャマ!!ジャマジャマジャマジャマ!!!」コユキが煽る。「……。さようなら、ねぇさん。」スズコは、もはや泣いても怒ってもない。「なんなんやねん!!お前は何が不満なんや!!いっつもいっつもぶつぶつぶつぶつゆーて、なんもわかんねーしきこえねーよっ!!もっとハッキリ言えやっ!!」コユキは、またもスズコに怒鳴る。「……。」スズコは、もうなんにも言わない。「行かないで!」よつばは、スズコを呼びとめる。「…?」スズコは、ゆっくり振り返る。子どもたちが目に入り、ハッとした。「に、逃げてっ!あなたたち……。ねぇさんたちに狙われてるんでしょうっ?!」スズコは、必死に叫ぶ。スズコがそう叫ぶと、周りに吹雪が吹き始めた。「……!でも!ダメなの!」よつばは、強い吹雪に打たれながら、スズコたちに近づく。「……。お前らは、うちらの恩人……。」コユキは、目をうるうるさせて言う。「……っ!!あがったよ!!アイツらのことは誘拐せぇへん!!金も返すっ!!お前の言うことも聞くからっ!!……スズコぉっ!!」コユキは、スズコの、足元の服の裾を掴む。「ねぇさん……。」強い吹雪に、スズコの髪がなびく。



「……ねぇさんっ!!」






スズコは、叫ぶ。吹雪が……少し治ったかもしれない。「スズコっ!!」コユキは、スズコの肩を掴んだ。「お前は……うちの大事な仲間。そんなお前を……。大事にできなくてっ。ごめんなあ……スズコぉ……。」コユキは、スズコを抱きしめる。「ねぇさん……。」スズコの髪色は、暖かくなっていくみたいに元のオレンジの髪に戻る。すると同時に、雪景色も溶けていき、花や草、校庭、温泉街……駅前……。月ノ宮を覆っていた雪が溶けていった。「はあああ……!!」ジロウは、2人のそんな姿を見て、美しい景色と共に感動して泣いていた。「……。声。」よつばの元に、スズコから白い光がやってくる。それは、まるで意志を持つように、よつばの元へ近づく……。そして、よつばの胸に入っていった。「ママ……。待っててね。ぼく、パパにも話すよ、だから、絶対帰ってきてね。パパのために……」よつばは、シロツメの顔を思い出して泣きそうになった。ハナさえいたら、彼は明るい顔をしてくれるのだろうか。




「おっと、なんか忘れてな〜い?」


ジョンが、するりと出てきた。「ねねねねねぇちゃんっ!?!?」



コユキは、とっても驚いている。「あのねぇちゃんを?しずめられるなんて??やり方知りてぇなぁ」コユキは、ニヤニヤして言う。「馬鹿野郎!!お前には一生かかっても無理やっ!!」ユキコは、ドスの聞いた声で叫ぶ。「はいっ」コユキは、一発で黙った。「ふん。このお姉さん、誘拐するねぇ〜言ったとおりにしてくんないから。約束を破ったらバツが必要だよね〜?この人、ほんと捕まえるのに苦労したよ。それじゃ〜」ジョン率いるレイニーズたちはワープをするかのように消えてしまった……。



「ねぇちゃん!!そんな!!」



コユキは、絶望した……。「うそやろ……?いやや……っ!!ねぇちゃんっ!!」コユキはうなだれる。「うぅっ……そんなっ……」コユキは、土を握りしめる。「ねぇさん…。ごめんなさい。わたしのせいや。」スズコは、申し訳なさそうに言う。「ちゃうわ……お前やない。うちや。お前はなんも悪くない…。」コユキは、スズコの頬に手を添える。「……。お前、強くなったなぁ。スズコ。」コユキは満足そうに言う。「ねぇさん……ユキコねぇさんは……。」ジロウが、スズコの肩に手を添えて言う。「ねぇさん!!ユキコねぇさんのこと、絶対、見つけよ!!」スズコは、コユキの手を硬く握った。「……!おまえ…。ほんとにあんがと。ジローもな。……うちは、幸せや。ふあぁ……」コユキはため息をつく。これは喜びなのか、疲れからなのか……。






最近、子どもたちの失踪が流行ってきているらしい。もちろん、さくらやアオキが家を出た頃からその話題はあったけど、今はもっと酷い事態になってしまった。「なにか……行動しなきゃ……」コウジは無我夢中で、行方不明の子どもたちのチラシを眺める。




「………。」さくなは、それを遠くから見ていることしか、できなかった……。








      〜第25章終わり〜


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