第二部 第三章『終焉議員ネメシス』
宇宙歴・第七二〇万年。
世界管理議会
黄金の議場に、一人の男が立つ
漆黒の法衣
白い仮面
その存在を見た議員たちは、誰も言葉を発しなかった。
彼の名は――
終焉議員ネメシス
一万を超える世界の消去を執行した、議会最強の処刑者だった
終焉の宣告
ネメシスは静かに歩き出す
その一歩ごとに、議場の床が黒く染まる
オルディスが声をかける
「ネメシス」
「まだ対話の可能性があります」
ネメシスは立ち止まらない
「可能性」
「その言葉で、何億の世界が滅びた?」
オルディスは言葉を失う
「迷いは秩序を壊す」
「私は迷わない」
白い扉が開く
ネメシスは世界の狭間へ消えた
リベルタ
その瞬間
ノアが胸を押さえて膝をつく
「っ!」
アークが駆け寄る
「ノア!」
彼女の瞳から涙が流れる
「こわい……。」
「未来が……全部黒い」
イリスの顔色も変わる
「観測できない」
「未来そのものが消えている」
ゼルは空を睨む
「来たか」
黒い流星
夜空が裂けた
黄金ではない
漆黒。
一つの流星が都市へ落ちてくる
アークが叫ぶ
「全市民、避難!」
都市全体に警報が響く
リベルタは戦闘態勢へ移行する
巨大防壁が展開される
創造砲が空を向く
ゼルは城壁の上へ立った
「派手な歓迎だ」
流星が着地する
爆発は起こらない
静かに土煙が晴れる
そこに立っていたのは、一人の男
白い仮面
漆黒の衣
何も持っていない
それだけなのに、空気が震える
最初の一撃
ゼルが笑う
「名前くらい名乗れ」
男は答える
「ネメシス」
「世界管理議会・終焉議員」
「これより世界番号三七を消去する」
ゼルは拳を鳴らす
「断る」
地面が砕ける
一瞬で間合いを詰める
断界を放つ
必殺の一撃
だが――
ネメシスは避けない
触れた瞬間
断界が消えた
切断されたのではない
存在そのものが無かったことになった
ゼルが初めて目を見開く
「……何?」
能力
ネメシスは静かに告げる
「私の権能は《終幕》」
「終わったものとして扱う」
アークが息をのむ
「概念能力……!」
ネメシスがゼルを見る
「その攻撃は、もう終わった」
ゼルの腕から力が抜ける
筋肉ではない
「攻撃する」という結果だけが消えていた
四人、集結
アークが前へ出る
創造陣が都市を覆う
「ゼルを下げろ!」
ノアとイリスも並ぶ
四人が肩を並べる
ネメシスは初めて興味を示した
「世界修復」
「断界」
「観測」
「観測」
「なるほど」
「これが設計者を超えた世界か」
ノアは震えながらも一歩前へ出る
「あなたも……選べる」
ネメシスは首を横に振る
「私は選ばない」
「命令を遂行するだけだ」
終章
ネメシスは右手をゆっくり上げる
その瞬間
都市リベルタ全体が黒い光に包まれた
時計が止まる
風が止まる
鼓動が止まる
そしてネメシスは静かに宣告した
「終幕を開始する」
世界そのものが、ゆっくりと終わりへ向かって動き始めた
四人は、この絶望的な能力をどう攻略するのか
第二部最大の戦いが、ついに幕を開ける




