表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/62

ジゼル、ミランダへ

  当然ながら、村に逃げ帰ったオリバーは、村人たちから猛烈に責められる。大猿の魔物は田畑を荒らし、収穫物を全てダメにしてしまった。そして、来年は二人の生贄を要求したのだ。

「オリバーは村長の資格はない」

「村長は解任だ」

「来年の生贄は村長のところの姉妹を差し出すべし!」

 オリバーの屋敷に押し掛けた村人は、そう要求を突き付けた。オリバーには今回生贄になるはずであった16歳の娘ナル-シャと10歳の妹のサーシャがいたのだ。


「ああ……どうすればいいのだ」

 オリバーは頭を抱えた。今回のことで姉のナルーシャは命を長らえたものの、来年の生贄になるから1年後には死ぬしかない。そしてまだ幼い妹までもが生贄にされるのだ。

 それを認めなければ、この場で焼き討ちをしかねない気負いであったため、その要求を呑むしかなかった。

「村長……あの魔物は強い。正直、今回のメンバーで倒せなかったのなら、もう無理かもしれない……だが……」


 ジゼルはそう言葉を止めた。ここからは憶測になる。だが、それはかすかな希望でもあった。

「あの魔物は結界で守られていた。結界さえなければ、冒険者の勝ちだった。あの結界をなんとかしなくてはいけない」

「ど、どうすればよいのですか?」

 藁にもすがる思いのオリバーは、ジゼルの言葉に希望を見出そうとしていた。ジゼルは昨晩の戦闘を思い出す。魔物たちは棺を前に奇妙な踊りを踊っていた。


「あの時、奴らは『贄の肉を喰らう時、ミランダのハヤタロウには知られるな』と歌っていた」

「……た、確かにそんなことが聞こえてきた」

「ミランダは大陸の北にある宗教都市。ここから移動して3か月はかかる場所……」

「3か月……往復で半年。次の贄の儀式までまだ1年ある」

「私はミランダの町でハヤタロウという人物を捜す。少なくとも奴らが恐れている理由が分かると言うもの」

「お、お願いします……ジゼル様」


 オリバーはそう懇願した。一応、今回の顛末を冒険者ギルドにも報告し、ギルドの情報網も活用するつもりだ。

 ジゼルは1年以内に戻ってくることを約束し、ミランダ町へと旅立った。仲間の敵討ちと、この忌まわしい風習を止めさせること。2人の娘の命を救うことだ。

(ハヤタロウ……新しい勇者と出会えるかもしれない)


 勇者ウォッチャーを自任しているジゼルには何か予感らしきものを感じていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ