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勇者、魔法の武器を買いまくる

ハセガワは魔法ショップに来ている。そこは冒険者が持ち込んだやばめの魔法の武器や防具、道具を歩かうシークレットショップ。スカウトとしての記憶があったハセガワが知っている秘密の店であった。

 ここは入店するだけで金貨1枚を支払う仕組み。ただ、置いてある品物はどれも一流であった。


「どんな品物をご所望ですか?」

 魔法具の主人はそうハセガワに聞く。かなり老齢の男だ。冒険者から魔法の道具を鑑定し、買い取る仕事を40年続けている。

「まず武器。能力を補完するような魔法がかかっている武器はないか?」

「……ありますよ。とっておきのが」

 そういうと店主は奥の箱から2対の短剣を取り出した。シンプルなデザインで何の変哲もなさそうな短剣2対。だが、そこからは何となく感じる力がハセガワの目を釘付けにした。

「あんたはスカウトだろ。なら、武器は軽装がよかろう。この2対の短剣は『記憶双魚の短剣』と呼ばれる魔法の武器じゃよ」

「大層な名前だね。魔法と言うことは武器に魔力が込められているということ?」

「魔力と言うより、記憶じゃな。これは初代の使い手の技を記憶している短剣なのじゃ」

「記憶……」


  ハセガワは意味が分からないという表情をした。使い手に記憶とか言われてもピンとこない。

「この短剣の最初の持ち主は、伝説級の男でな。2本の短剣を舞うように使いこなし、疾風の舞人と呼ばれたそうな。この短剣はその使い手のすべての技を記憶している。それを使い手に自動で再生させるのじゃ。まずは試しじゃ」

 そういうと店主は2本の短剣にカバーを付けた。そしてハセガワに差し出した。ハセガワはそれを両手に握る。何やら熱いものが込み上げてくる。

「この男と戦ってごらんなさい」

 店には舞台のようなスペースがある。ここで商品を握って試し斬りをしたり、振ったりして確かめるのだ。ハセガワには店のガードマンが対応した。ロングソードを抜いてハセガワに襲い掛かって来たのだ。

(おいおい、僕は戦いには向いていない……およ!)


 勝手に体が動く。ゆらりゆらりと体が揺れたと思うと、電光石火の動きで短剣を操り、ロングソードの攻撃を紙一重でかわすとその首筋に刃を突きつけた。

 勝負は一瞬。ハセガワの勝ちだ。ただ、ハセガワはどう動いたか分かっていない。体が勝手に動いて短剣を操ったのだ。

「どうですか?」

「いいねえ。これは敵を感知すると発動するんだね」

「そうですよ。これを握ればだれでも短剣のスペシャリストになれるのです。どうでしょう。2本で金貨5000枚。けっして高くはない買い物ですよ」

 名の知れた工房で作った短剣でも金貨100枚程度。魔法効果があってもせいぜい金貨500枚程度と言うのが短剣の相場だ。5000枚と言うの破格である。


(だけど、この能力はすごい……素人でも短剣の達人になれるのなら5000枚なんて安い)

「これをもらうよ」 

 そういうとハセガワはポケットに手を突っ込んだ。そんなところに金貨5000枚があるはずがないのだが、取り出した手には金貨が握られていた。

「即金で払うよ

 ハセガワの手から金貨が零れ落ちる。ジャラジャラといつまでも流れ出る金貨。店主は腰を抜かさんばかりに驚いた。だが、裏の魔法道具を扱っている男だ。ハセガワの手から金貨が出てくるのも、魔法の道具のおかげと思ってくれたようだ。


 目の前に金貨5000枚の山を見て、明らかにうれしそうな顔をした。店の店員を呼んで、急いで数えるように命令すると、両手をにぎにぎとすり合わせてハセガワに寄ってきた。

「いやあ、あんた相当な金持ちだね。武器の後は防具どうだね」

「ああ。金に糸目は付けないよ」

 武器の次は当然ながら、防具に決まっている。魔法の防具なら攻撃を全て防げるものもあるはずだ。

「あんたの体格なら、あまり重いものはよくないだろう」

「ああ、そうだね。服より重いものは着たくないよ。だから、魔法の防具を買いに来たんだ」

 これはハセガワも強調したところ。いくら完全防御できても、重かったら普段の生活に支障が起きる。

「心配ない。まずはこのシャツと上着。何の変哲もなさそうに見えるだろう」


 そう言って道具屋のおやじが持ってきたのは、デザインは普通のシャツとジャケットにズボン。少々、古風な感じはするが町で着ていても違和感はないだろう。

「あまり高そうにも見えないね」

「くくく……お客さん。これはシャツが金貨2000枚。上着とズボンがそれぞれ金貨3000枚ですよ」

「ということは、相当な魔法効果があると考えていいかい?」

 親父は頷いた。そして説明をする。シャツは『弾きの服』と呼ばれるもの。通常の剣や槍、矢では切り裂くことも、貫くこともできず、はじき返す魔法効果がある。上着はマジックキャンセラー。魔法攻撃を無効化するバリアを常時展開できる。


 ズボンは『分身のパンツ』と呼ばれ、攻撃を察知すると身代わりの分身を3体出現させる。この分身は本体の身代わりになるように自動で動くことができる。

「さらにこのブーツ。ウサギのブーツという名だが、名前の通り、相当なスピードで走ることができる。さらにこのマントはエルヴィンマント。姿を一時的に消せる効果がある」

「すごいね。これなら普通の人間からの攻撃は防げそうだ。でも、世の中には普通じゃない人もいるからね」


「では、この指輪はどうだろう。これはアラームリングといって、敵意をもった人間を感知すると所有者に警告をしてくれる。そしてこの眼鏡。『先読みの眼鏡』というもの。罠や待ち伏せなどの危害を察知することができる」

「いいね。全部もらおう」

「あと、このペンダントは万が一、命を失うようなことがあっても1度だけ身代わりになってくれる『形代のペンダント』と呼ばれるものだ。一度、効果を発揮すると壊れてしまうがのう。金貨5000枚でも安いと思うが」

「安いよ。命がたったの5000枚ならね」

 ハセガワは全てを買った。そして魔法が込められたスクロールも店に置いてあるものを全て購入した。それこそ、店にあるもの全部くれといって買い占めたのだ。

(さて、次はどうする……衣食住のうち、衣はできたからやっぱり住か?)

 住むところは宿屋でもよかったが、町の一番高級なところでもセキュリティとなるとあまり良いとは言えない。

(だったら、屋敷を買って自分でカスタマイズするしかないか)


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