20
隣国
書類を片付けていると、学院からジェイドが帰ってきた。
長期休暇はまだ先だが、ジュリアが泣きついたか。
書斎にジェイドがくる。
「父上、ただ今戻りました。」
「おかえり、ジェイド。」
「聞きたい事があります。」
「少し待ってくれ。」
ソファに座るようにいい、人払いをしてエミリオにお茶を用意してもらう。
「話を聞こうか。」
「母上を家から追い出したと、離縁したと聞きましたが本当ですか?なぜ離縁をしたんですか?」
「それは、誰からきいたんだ?」
「母上から手紙が届いて、それで確かめようと帰ってきました。」
「離縁は本当だ。その手紙に何と書かれていたかは知らんが、アレは人として親としてあるまじき事をしたのだ。許せる事ではない!」
「何をしたのですか?母上は、家の為になる事をしたと、褒められる事をしたのに離縁されたとありました。父上に離縁を取り消すように私から言ってほしいとの事でしたが、理由がわからないので父上に直接聞こうと思いました。教えて下さい。何をしたのですか?」
「ジュリアは・・・アレは、子供を捨てたのだ。
ジェイド、お前には双子の妹がいる。その妹を産んですぐ侍女に捨てさせたそうだ。私が部屋に入る前に双子は不吉だと言ってな。双子は不吉なんかじゃない。子供は宝だ。それなのに捨てるなんて・・・」
「妹・・・ぼ、僕に、いやっ、私に妹がいるんですか?本当に?今はどこに?あぁ、会いたい!会わせて下さい!」
「落ち着け!娘は行方を探しているがまだ見つからないんだ。」
「見つからない?」
ため息をつきエミリオに説明させる。
侍女が捨てずに庭師に預けた事、庭師が苗などの購入をしていた商人に預けた事、その商人が子供を欲しがっている夫婦に預けた事まではわかったが、そこから先夫婦の行方が分からないと伝える。
「そんな・・・何か手掛かりとかないのですか?」
首を振る。
「なんて事だ。そんな・・・」
「探しているが正直行き詰まっているな。どうしたものか・・」
「妹の特徴とかは?どこかに痣があるとか何かないですか?」
「侍女に確認したところ髪は黒っぽくて、瞳が金にも紫にも見えたと。
ただ何年も前の事だしほんの僅かな時間だからな、はっきりしないのだ。」
「諦めずに探しましょう!この国で見つからないなら他国も探すべきです!」
「そうだな。それで・・・お前はどうする?」
「何がです?」
「私が離縁した事だ。離縁を取り消せというか?」
「いえ、理由がわかったので納得です。逆に私が捨てられた可能性もありますよね?産んですぐ捨てるなんて・・・人として許せる事ではありません。母上にも伝えます。」
「そうか・・・わかってくれてよかった。話を聞いてもお前が離縁を取り消せというのならば、お前も家から追い出しアレの元に行かせるつもりだったがそうならずに安心したよ。」
「私も妹を探します!諦めません!」
エミリオがお茶を淹れ直す。
そこからは、妹に会えたら服を作るだの、どこそこの店に連れていくだのやりたい事をお互いに妄想・・・いや、夢を語っていた。




