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森の中で  作者: 蘇芳 誉
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家の中に入ろうとした時、背後から殺気が!思わず後ろを振り返ると、大きな狼。この大きさ、まさか、フェンリルかっ!

「クレア、逃げろ!」

一応、何かあった時の為に帯剣してるが、剣で1人では無理だ。クレアだけでも逃がさないと・・・

クレアが動かない。

怖くて動けないのか?

フェンリルを俺に引きつけないとと思ったら、今まで感じた事のない殺気を飛ばしながら飛びかかってくる。

思わずクレアを家の中につき飛ばして、

「ドア閉めろ!出てくるな!」

言いながら横に逃げる。

ギルマスになってから、書類仕事が多く、鍛錬が中々できなかった。その為か、体が思うように動かない。が、そんな事を言ってる場合じゃない。

剣を握って、フェンリルに向かっていく。

フェンリルが咆哮する。

凄い威圧で、動きが止まる。その瞬間、フェンリルに倒され、前足で腕を押さえられていた。

くそっ!クレアを守れないなんて・・・

クレアだけじゃない。街に行かれたら、街の皆が危ない。

フェンリルを睨みつけるが、グルルルゥ〜と唸っている。

動こうにも動けない。

フェンリルがグワッと口を大きく開けた瞬間、

「だめぇ〜。」

クレアの声がしたと同時に、フェンリルが離れて、クレアの方へ・・・

「クレアッ!」

慌てて起き上がり、クレアの元へと思ったら

「マリウスさん、大丈夫?怪我してない?」

クレアが駆け寄ってきた。

フェンリルは、さっきの威圧はなんだったのか、大人しくしている。

「クレアは、大丈夫か?あのフェンリルは一体・・・?」

「ごめんなさい、マリウスさん。こんな事する・・・なんてっ・知らな・・っくて・・・」

「泣くな。俺は、大丈夫だから。それより、どういう事だ?」

「中・・入って・・・から・・・」

「わかった。中に入ろう。」

クレアがドアを開けると、フェンリルが入っていく。

訳がわからないが、とりあえず、あとについて入る。

椅子に座って、クレアを膝に乗せて、背中をトントンする。

漸く落ち着いたようだ。

「お茶淹れますね。待ってて下さい。」

フェンリルは、俺をジーッと見てる。

居心地が悪くなるから、見ないでほしい。

「お待たせしました。」

お茶を飲んでホッとする。

フェンリルも大きな器で水を飲んでいる。

「マリウスさん、ごめんなさい。こんな事するなんて知らなくて。」

「いや、そのフェンリルは一体・・・なぜ、こんな事を?」

「フェンリルは、私の命の恩人・・・恩狼?なの。」

はっ?

『我は、狼ではない!』

喋った⁈

いや、フェンリルだから当然か?

「わかってるよー。フェンリルはフェンリルだもんねー。マリウスさん、こちらがフェンリル。

フェンリル、こちらが、婚約者のマリウスさん。仲良くしてね?さっきは、ビックリしたんだから!」

『フン、見定めると言ったであろう。試しただけだ。』

「見定める?」

『クレアを本当に守るかどうか試しただけの事。』

「あっ、フェンリル私の名前呼んでくれた!」

『おまえこそ、我をフェンリルと呼ぶではないか!クマには名前をつけたのに、我にはつけぬではないかっ!フェンリルは種族であって、名前ではない!』

「そうなの?初めて会った時、我はフェンリルだって言ったから、名前かと思ってたよ。ごめんね、フェンリル。じゃあ、名前考えないとね!」

うーん、綺麗な白銀だから、

「アルジャン・・でどうかな?愛称は、アルで!」

『どういう意味だ?』

「フェンリルの毛の色からつけたの。綺麗な白銀だから。」

『まぁ、よかろう。アルジャンだな。』

「よかった、よろしくね!アル。」

「すまないが、話を・・・」

「ああ、そうだったね。ごめんね、マリウスさん。」

「さっきは、本当にビックリしたんだよ?アルが何するか、聞いてなかったから。まさか、マリウスさんを襲うとは思わなかったよ。」

『あんなふざけた言い伝えを言っていたんだ。守るとか言ってクレアを利用するだけで、本当に守るかわからんだろう?』

クレアがフェン・・アルジャンの方に行って抱きつく。

「ありがとう。心配してくれて。大好きだよ!アル。」

『フン。』

クスクス笑いながら、こちらに戻ってくる。

「ごめんね、マリウスさん。アルに助けてもらって、12歳になってからここに住んでるの。マリウスさんと知り合って、ジョバンニさんに会ったでしょう?ジョバンニさんに聞いた言い伝えの事や、王家に囲われる可能性とかを伝えて、マリウスさんと婚約した事を言ったの。あと、マリウスさんが一緒に住もうって言ってくれたでしょう?ここから離れていいのかわからなかったから、答えられなくて。そしたら、アルが見定めるから、連れてきてって・・・こんな事するとは思わなかったから、本当に、ごめんなさい。」

「いや、気にするな。と言っても、俺も死んだかと思った。クレアを守れず情けなかったよ。これから鍛錬に励まないとな。」

クレアの頭を撫でる。

『フン、ならば今から付き合え。森に行くぞ!』

「待って、アル!何するの?」

『安心しろ、襲いはせぬ。此奴の腕試しだ。行くぞ!早くしろっ!』

「クレア、行ってくる。大丈夫だから、待っていろ。」

「わかった。気をつけてね?アルも無茶しないでよ?」

『わかっておる。行くぞ!』

「行ってらっしゃい!」

なんか落ち着かないので、料理して待っていようっと!

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