表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もりとき怪談 第二集【一話完結/短編怪談】  作者: もりとき


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/10

墓地の風景

 進学に合わせて今の土地に引っ越してきたんだけど、通る度にふっと墓地の景色が見える交差点があるんだよね。

 ちなみに、俺とも、俺の家とも縁もゆかりも無い土地ね。たまたま進学しようと思った大学があった土地って感じ。

 交差点もいたって普通の交差点だよ。目立って事故が多いってこともない。一応、前からこの土地に住んでるっていう友達に聞いてみたけど、大昔には墓地だったって話もないみたい。そもそも墓地だったところを交差点にするなんて、あんまり簡単にできる話だとも思えないし。

 初めてその交差点に差し掛かったとき、交差点の風景に二重写しになるような感じで墓地の風景が見えた。別にそこまでおどろおどろしくはないよ。明るいわけでもないけど、普通の墓地って感じ。

 ふわっと線香の香りがして、実際に墓地にいるんじゃないかって錯覚するくらいだった。

 あんまりにも不思議だったから、手を伸ばして墓石に触ってみようとしたんだけど、さすがに触れなかったな。


 まぁ、ちょっと不気味だったけど墓地が見えるってこと以外には何も起きなかったし、特に気にすることもなかったんだよね。

 でも変なことも1回だけあったよ。俺、あの交差点で何かに足を掴まれたんだよね。

 自由なひとり暮らしを謳歌してたからさ、すっかり明け方まで起きて2時間程度の睡眠時間で大学に行く、みたいなこともしばしばだったんだよ。

 で、ぼんやりしながらその交差点に差しかかると、交差点と墓地の風景がダブって見える。だから視界が悪くなるんだよね。それで寝不足じゃん。信号が赤なのに気が付かなくてさ、信号無視して進みそうになったの。

 そのときに、ぐっと。俺の足首を、何かが掴んだのね。

 鼻先をクラクションを鳴らしたトラックがビュンって走ってってさ。足首を掴まれてなかったら、トラックにひかれてたかもしれない。

 俺が足首を見たら、半透明の手が足首を掴んでんの。その手は俺の背後にあった墓から出てた。俺も半分寝ぼけてたんだと思うんだけど、「ありがと」ってその手に向けて言ったら、手はすっと消えていった。背後にあった墓石の名前を確認しようとしたんだけど、ぼやけてよく見えなかった。


 そんでさ、その日の1限が終わった後に、同じ教室で授業を受けてたあんまり話したことのない同級生が俺のとこに来てさ、「お墓参りはちゃんと行った方がいいよ」って言ったんだよ。

 しかもそれだけ言ったら、さっさと教室出てっちゃったの。

 隣にいた友達に「今の奴知ってる?」って聞いたら、何か霊感があるとかで有名な奴だった。墓参りなんて言われても全然心当たりがなかったんだけど、その年の夏休みに実家に帰ったらさ、母方のおじいちゃんの墓参りに行くことになったんだよ。

 母方のおじいちゃんって、俺が生まれる前に死んでるから俺は会ったことなくてさ。

 で、俺が実家に帰ったときがなんと二十七回忌。田舎ってこういうのきっちりやるんだよな。小さい頃はちゃんと墓参りに行ってたけど中学生になった頃からサボってたからさ、まぁ、あの霊感ある奴に言われたのもあって、そのときはちゃんと墓参りに行ったよ。


 そんでおじいちゃんの墓がある霊園に着いたらさ、あの交差点で見える墓地なんだよ。

 俺が交差点で足首を掴まれたときに背後にあった墓石はおじいちゃんの墓石に似てたけど、霊園には同じような墓石がたくさんあったから正直よく分かんないや。

 とりあえず俺は、おじいちゃんが俺を事故から守ってくれたんだなぁって思って、おじいちゃんの墓に向かって「ありがと」って手を合わせたんだ。

 そのまま実家に2週間くらい滞在して、俺はひとり暮らしのアパートに戻ったんだ。

 おじいちゃんの墓参りをしたら、交差点で墓地の風景が見えることはなくなった……なんてことは全然なくて、やっぱり通る度にバリバリ見える。今、大学3年生だけど、もう3年間ずっと見えてんの。

 実家に帰るにも金がかかるからもう今年は帰りたくないし、なんならこっちで就職を考えてるんだけど、これ、俺が会社の近くに引っ越しても見えたりするのかな?

 プレッシャー感じるからマジで嫌なんだけど……。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ