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もりとき怪談 第二集【一話完結/短編怪談】  作者: もりとき


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10/12

灯りを嫌うモノ

 父親が転勤族だったから、小さい頃は頻繁に引っ越ししてたんだ。

 小学校3年生の頃に東北のとある県に引っ越したんだけど、そこでできた友達Sの家がけっこう古くて大きい家だったんだ。

 古い五月人形をいくつか保管してるとかで、年に1回ある「◯◯市の春祭り」みたいなイベントで観光客に自宅を開放して五月人形を公開してるような家だったから、由緒正しい家柄だったんじゃないかな。


 Sの家に行ったときは、だいたいSの部屋か、Sの家族がいる居間で遊ぶことが多かった。

 立派な家だったから、いくらガキとはいえ俺もちゃんと空気を読んで、勝手に走り回ったり家の中を探検したりすることはなかった。親からもそこらへんは厳しく言われてたしね。

 Sの家は木が多く使われてて土壁だったからか、温かみがあって居心地が良かったんだ。うちの両親は共働きで、俺には兄弟もいなかったから、いつ遊びに行ってもSの母親が居間にいるのも、子ども心には羨ましかったな。

 Sの家族も俺が家ではひとりで過ごしているのを知っていたのか、俺が頻繁にSの家に遊びに行っても嫌な顔ひとつしないで迎え入れてくれたよ。


 それで、例の春祭りが近付いてきたある日に、Sの父親が客間に五月人形を並べているから見に行こうってなったんだ。

 Sの後にくっついて、客間に向かってる途中、薄暗い部屋を通りがかった。

 その部屋は3つ並んだ部屋の真ん中の部屋で、ふすまで隣の部屋とつながってるって感じだった。

 Sの家では障子から外の光が入らない部屋では電気をつけていることが多かったから、俺は「この部屋には電気をつけないの?」ってSに聞いたんだ。

 そうしたらSは「この部屋、電気をつけても勝手に消えちゃうんだ」って言うんだよ。

 俺がよっぽど不思議そうな顔をしていたのか、Sは「電気、つけてみようか?」って言って、壁のスイッチを押して、電気をつけたんだ。


 ぱっと室内が照らされて、何の問題もなく部屋は明るくなった。

 でも次の瞬間、パチンって音がして、電気が消えた。

 Sが「ね?」って言う。俺を信用させようとしてか、Sはその後も何度か電気のスイッチを入れたが、その度にパチン、パチンと電気のスイッチは勝手にオフになって電気が消える。

「この部屋、明るいのが嫌いな何かが住んでるんだよ」

 Sがそう言った瞬間、部屋の隅の暗がりで何かが動いたような、そんな気配を感じた。じっと暗がりに目を凝らしてみたけど、別に何かが見えるなんてこともなかったから、俺は「俺、ビビってんだな、ダセェ」って思って、何も言わずに黙ってた。


 これが、俺がSの家で体験したこと。

 そんでその日から、俺が住んでた家の廊下の電気がつかなくなったんだよね。

 スイッチを押すと一瞬はつくんだけど、すぐに消えちゃう。一軒家だったけど借家だったから親が大家さんに相談したりしたみたいだけど、その家を引っ越す日まで直ることはなくて大家さんも不思議がってた。

 東北に住んでたのは2年で、その次は関東に引っ越したんだけど、その引っ越し先の家ではそういうことは起こらなかった。


 Sとはしばらく年賀状や手紙でやり取りをしてたんだけど、中学生になった頃から疎遠になった。

 この間、部屋の大掃除をしてたらSからの手紙が見つかって、「そういえば、あの電気がつかなかった部屋は、いつの間にか電気がつくようになってたよ。明るいのが苦手な何かも、お前みたいに引っ越したりするのかな」って書いてあった。

 たぶんだけど、Sの家にいた明るいのが苦手な何かはあの日俺についてきて、俺ん家に引っ越したんだよね。その後は俺ん家が気に入ったのか、俺達が引っ越してもアレだけは家に残ったんじゃないかって思うんだ。

 もし、東北の某県の一軒家で、廊下の電気がつかない家があったら、そこには俺がSの家から連れてきちゃった何かが住んでるんだと思う。

 何をしても電気はつかないから、潔く諦めてくれ。



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