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もりとき怪談 第二集【一話完結/短編怪談】  作者: もりとき


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7/10

教えてもらったおまじない

 これは、高校生の頃に友達から教えてもらったおまじないでとんでもない目にあった話だよ。

 友達のSは、オカルト系の話が大好きで、いつも本ばっかり読んでる子だった。よく黒魔術がどうとか、錬金術がこうとか言ってた。あとは古代文明と宇宙人の関係とかを、聞いてもいないのにベラベラしゃべるような感じ。

 Sはおまじないにも詳しくて、そういうのは聞いてて楽しかったんだよね。

 それで、願いが叶うおまじないっていうのを教えてもらったの。


 詳しいところは端折るけど、そのおまじないっていうのは簡単にいうと、願い事を書いた紙を水を入れたコップの下に一晩置いて、翌朝、その水を飲み干すってやつだった。

 ちなみに実際には方角とか時間とかのルールがあるから、このままやってもおまじないの効果はないよ。っていうか、私はこのおまじないの効果を身を持って体験しているから、正しい方法は教えられない。

 で、私はSから教わった通りに、おまじないをやってみたのね。


 最初は「テストでいい点がとりたい」って願い事。やってみたら、苦手でいつも赤点以下の点数しか取れなかった日本史のテストが、たまたま勉強した問題ばっかり出て、先生に「今回は頑張ったな」って褒められるような点数が取れたの。

 私はおまじないの効果かもしれないと思って、次は「ブランド物のバッグが欲しい」って書いたのね。そうしたら、久しぶりに遊びに来た親戚のおじさんが私へのお土産としてバッグをプレゼントしてくれたの。

 そのおじさん、お気に入りのホステスがいて、そのホステスへのプレゼントでバッグを買ったんだって。そうしたら、奥さんにホステス通いがバレちゃって、奥さんにめっちゃ怒られて離婚寸前まで行ったらしい。もうホステス通いはやめるって言って、プレゼントするつもりだった。

バッグが私のところに来たって感じ。

 いよいよおまじないの効果は本物だと思って、私は「K先輩と付き合いたい」って書いたの。当時、片思いしてた先輩。それで、おまじないをした10日後くらいに、K先輩から告白されて付き合うようになったの。

 でも、実はK先輩は私に告白する前にそれまで付き合ってた彼女と別れてて、彼女は精神的に参っちゃって引きこもりになっちゃったって話を噂で聞いた。そのときはさすがにちょっと、申し訳ないなって思ったよね。


 で、週末はK先輩とデートしたいんだけどさ、その当時のバイト先が人手不足でなかなか休ませてもらえなかったんだよね。休みたいって言ったら「その日、人がいないんだよ。助けてよ」とか言われちゃってさ。私ももともとシフトを入れてたし、店長に頭下げられちゃったら断れないじゃない?

 その頃にはすっかりおまじないの効力を信じてたから、私、「週末にバイトを休みたい」って願い事をしたの。

 その2日後、バイト先は火事になった。確かにバイトはなくなったけど、こんな風になることを私は望んでなかった。


 思い返してみたら、最初のテストの点数以外は、全部、願い事が叶うと同時にマイナスのことを引き寄せてるって気付いた。

 親戚のおじさんは奥さんとケンカしてるし、K先輩の元カノは引きこもりになっちゃったし、バイト先は火事で焼けちゃった。

 これってもしかして、私がおまじないをして幸せになったから、その反作用として不幸になる人がいたんじゃないか。そんな風に思えてきた。

 だから私は、おまじないを教えてくれたSに起きたことと、私の考えたことを話したの。

 そうしたらSはきょとんとした様子で「そりゃそうよ。おまじないってのは、漢字で書いたら『お呪い』じゃない」って言って、ノートの端に『お呪い』って書いた。

 続けて「禍福は糾える縄の如しなんて言葉もあるけど、あんたの願いは誰かへの呪いになるのよ。世の中の幸運の総量ってのは、あらかじめ決まってるのかもしれないわね」なんて言ってた。

 私は自分の幸福が、誰かの不幸と引き換えだなんて素直に喜べないから、このおまじないはもうやらないことにした。

 でもさ、他人がどれだけ不幸になっても構わないから、自分だけは幸せになりたいって人が、もしこのおまじないを知ったら?

 どんなことが起こるのか、想像したら怖いよ。

 


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