見つけられなかった子
私が小さい頃に住んでた辺りって、ちょっと田舎でさ。
友達ん家でも畑とかやってると3世代で大きい家に住んでるって子が多かったのね。
で、地域ぐるみのお付き合いって感じだったから、年齢に関係なくみんなで外で遊んだり、雨の日は誰かの家に行って遊ぶのが日常だったの。
その日もちょうど、雨だったなぁ。
同級生の友達ん家に集まってさ、その子の家でかくれんぼやろうってなったんだ。7人くらい集まって、一番上の子が小学校5年生くらいで、一番下の子は5歳だった。
かくれんぼの途中でその5歳の子がちょっとの間、行方不明になっちゃったからすごく記憶に残ってるんだよね。
その5歳の子のことを、Jくんって呼ぶね。
そのときの鬼は私でさ。
友達ん家は大きな古い平屋で、かくれんぼをやるにはうってつけだったんだよね。広すぎず、狭すぎずって感じ? しかもさ、雨だから外が薄暗いじゃない。ちょっとしたお化け屋敷っぽさもあってさ、隠れてる方も「見つけてもらえなかったらどうしよう」って思うし、探してる方も「おばけが隠れてたらどうしよう」なんて思うのよ。
とはいえ、探し始めたら10分くらいでJくん以外はみんな見つかったんだけどね。
で、Jくんだけがなかなか見つからないの。
全員で探したんだけど、押し入れの中も、物置の奥も、台所の戸棚まで探したけどどうしても見つからない。
名前を呼んで「もうみんな見つかったよ、出てきて」って呼びかけても出てこない。
私達もさすがに「これ、何かヤバいんじゃない?」ってなって、友達ん家のお母さんにJくんが見つからないって言いに行ったのね。
友達のお母さんと、おじいちゃん、おばあちゃんも加わって、みんなでJくんを探したんだ。
30分くらいかけて、みんなでくまなく家の中を探したんだけど、Jくんはぜんぜん見つからなかった。
私達には見つけられない場所で昼寝でもしてるのか、やっぱり呼びかけにも応えない。
お母さんとおばあちゃんは「Jくんの親に連絡した方がいいんじゃないか」って相談し始めて、私達もすごく不安だった。
そんなとき、天井でミシって小さな音がしたのね。みんな、天井の一点を見つめた。
押し入れの近くの天井だった。
押し入れは一回確認してたけど、もう一回開けて見てみたのね。
Jくんの姿はなかった。
押し入れの中を覗き込んでた友達が、「あれ、何?」って急に言ったの。
友達の指差す先には天井があったんだけど、持ち上げれば天井裏に上がれそうな感じだった。
お母さんが押し入れの中身を全部出して、おじいちゃんが脚立を持ってきて天井裏に上がったのね。
みんな心配そうに、おじいちゃんが消えていった天井の穴を見つめてたんだけど、すぐに「いたぞ!」っておじいちゃんの声が聞こえてきたんだ。
おじいちゃんは眠っているJくんを抱っこして、慎重に脚立を降りてきた。
Jくんは埃だらけになっていて、おばあちゃんに拭いてもらってる間に目を覚ました。
自分の周りにみんなが集まって心配そうな顔をしていたからか、Jくんはキョトンとしてたなぁ。
で、Jくんにどうやって天井裏にのぼったのか聞いたのよ。
押し入れの中には布団が入ってたから、Jくんでも天井の板を上げることはできただろうけど、5歳の子が布団が入ってる押し入れによじ登れる? しかも天井裏は懐中電灯がないと真っ暗なんだよ?
Jくんはたどたどしい言葉で「お姉ちゃんがひっぱってくれた」とか「お姉ちゃんと遊んでたら寝ちゃった」みたいなことを言ってた。「お姉ちゃんって誰?」って聞いたら、首を横に振るの。どうも知らない人だったみたい。年齢も、お姉ちゃんって言ってたけど、小学生とかじゃなくてもっと年上の人だったみたい。
友達は真っ青になっちゃってさ。お母さんとおばあちゃんは不安げに顔を見合わせてて、おじいちゃんは苦い顔をしてたなぁ。
そりゃそうだよね。だって、自分の家に得体のしれない女性がいたら、生きてる人でも幽霊でもめっちゃ怖いじゃん。
その後、友達の家は近所の人も手伝って、天井裏を探ったりしたけど、何にも出てこなかったって。
でも気味悪いから、神主さんにお祓いをしてもらってたよ。そのときにかくれんぼしてた子たちも全員呼ばれて、みんな一緒にお祓いしてもらった。
変な体験をしたのはそれっきりかなぁ。




