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もりとき怪談 第二集【一話完結/短編怪談】  作者: もりとき


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2/10

おさがり


 2週間くらい前に、学校の私の机に古いお守りが入ってたの。

 机の中に入れてた教科書を取り出したら、それが一緒に出てきた。

 どうってこともない、ただのお守り。袋はボロボロで、表面の文字は読み取れなかったけど、紫色のどこにでも売ってそうなやつ。

 昼休みに友達3人と一緒にお昼ごはんを食べながら、「そう言えば私の机に、誰かのお守りが入ってたんだよね。誰のだろう」って言ったの。

 そうしたら友達の顔がさっと曇った。


「リエ、それって『おさがり』じゃない?」

「やっぱ『おさがり』だよね。ヤバっ」


 私は『おさがり』について知らなかったんだけど、いわゆる『不幸の手紙』みたいなものらしい。

 なんでも、『おさがり』と呼ばれる古いお守りを机の中に入れられたら、3日以内に別の誰かの机に『おさがり』を入れないと不幸になるらしい。

 高校生にもなって馬鹿みたいな話だと思ったよ。

 このクラスにいる誰かか、あるいはこの学校にいる誰かがそんな迷信を信じて、私の机にこの古びたお守りを入れただなんて。小学生のお子様じゃあるまいし。

 友達は「どうすんの?」「私の机には入れないで〜」なんて言ってたけど、私はこんな子どもっぽい遊びを続けるつもりはなかったから、お守りは処分することにしたの。


 家に帰って、お守りは速攻でゴミ箱に捨てたわ。別に捨てたからって何が起こるわけじゃないだろうと思ってたのね。

 でも、お守りが机の中に入れられてから4日目。教室移動中に階段を踏み外したの。そのときに口の中を噛んじゃって、けっこう血が出たのね。これは私のうっかりだと思うけど、一緒にいた友達はビビっちゃってさ。

「リエ、『おさがり』はどうしたの? あんたのことだから回さなかったんじゃないの?」って聞いてきた。私は「そんなの、当然捨てたよ」って答えたら、友達は呆れてたみたい。

 その後も、トイレの鍵が壊れて出られなくなったり、妙な視線を感じることがあった。

 あと、友達と一緒に廊下を歩いてるときに、誰かに呼び止められるような声を何回も聞いたのね。その度に私が立ち止まるから、いよいよ友達も真っ青になって「今からでも『おさがり』を回した方がいいんじゃないか」って言ってきた。


 それでも私は『おさがり』を回すなんて気にはならなかったのね。とはいえ偶然で済ませるにはちょっと気持ち悪いなって思ったの。

 だから部屋のゴミ箱から『おさがり』を取り出して、近くの神社にお返しすることにした。

 土曜日に神社に行って事情を話したら、少しむずかしい顔をされたけどお焚き上げしてもらえることになった。なんで私がとは思ったけど、供養料もちゃんと出したよ。

 神社に『おさがり』を渡したあとはスッキリして、私は何事もなく土日を過ごした。


 で、月曜日。

 学校に行ったら、また私の机に『おさがり』が入ってたのよ。マジでふざけんなって思ったわ。このつまんない遊びがどれだけこの学校で流行ってんだよって。

 でもよく見たら、土曜日に神社に持っていった『おさがり』と同じお守りだったの。もちろん、袋が紫のお守りなんていくらでもある。だけど同じように袋の表面にある文字は削れて読めない。遊びで流行ってるだけだとしても、袋が紫でボロボロなお守りを何個も用意できるものなの?

 さらに『おさがり』と一緒にメモも入ってた。メモの筆跡は妙に直線的で、定規でも当てながら書いたのかなって感じの文字だった。


「今度はちゃんと3日以内に回してね」


 さすがに私も、鳥肌が立った。

 まるで『おさがり』自身に意思があって、神社から抜け出して私の机に戻ってきた。そんな風に想像しちゃった。

 本当はこんな遊びに乗るのは嫌だったんだけど、火曜日に早めに学校に行って、別のクラスの机に突っ込んできたよ。ちょっと罪悪感があるけど、まぁ仕方ないよね。



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