見守る友達たち
放課後、本屋にでも行こうという話になって、雅紀と歩いている。
「おすすめありがとね」
「お安いご用意よ」
「てか、雅紀ゲームもめっちゃ詳しいね」
「まあな。……と言いつつやったことないのも色々話したけど」
「あ、そうなんだ」
いろんなゲーム名が出てきたけど、全部やってたわけじゃないのか。まあ、帰宅部とはいえ、そんなにいっぱいやる時間はないか。ゲームよりラノベの方が好きなんだろうし。
「何買うかは決めたん?」
「うーん、お店で一緒に考えようと思ってるけど、いくつか候補は決めてるよ」
「それは仲のいいことで」
雅紀は両手を頭の後ろで組んで、空を見上げる。
「ほんと、よくそんなに仲良くできるよな」
「……そんなに変かな?」
その言い方に少し棘を感じて、聞き返す。
雅紀は頭の後ろの手はそのままにこちらを向く。
「俺ならそうはならないってだけ。2年も距離置いてきたやつとの感じではないだろ。特にその離れ方が酷すぎる」
「……まあ、そうだけどね。でも、また同じようなことにはならないと思うよ」
「そーかねぇ」
そう呟く雅紀が何を考えているのは、わからないけれど、遠くを見ているようだ。
「人はそう簡単には変われないと思わん?」
「それもわかるけどね。人っていろんな面があるでしょ。……そのうちの良くない面が出てきちゃったんじゃないかな」
「なら、またいつかそういう時が現れると思うけどな」
「出さないようにはできるでしょって話」
「本質が変わらないなら、関わりたくないと思わん?」
「……はあ、香奈と仲良くしない方がいいんじゃないかってこと?」
もう直球で聞いた。
「いやそんなお節介は言わねえけど。心配なだけだ。あとは……強いて言うなら、羨ましいって感じかな。そういう考え方ができるの」
そういう雅紀はまた遠くを見る。
まあ雅紀は香奈のことが信用できないんだろう。心配してくれるのはありがたいけれど、少々おせっかいがすぎる。
「てか、そんな感じなのに、なんでわざわざ香奈にも話聞いたの?」
「まー、最終的には自分の眼で見てみないとって思ってるからな」
確かに決めつけるのは良くない。普段結構偏見に塗れたことを言うけど、そういうところはいいところだと思う。
+++
「ふんふんふ〜ん♪」
「ご機嫌だねぇ」
「……だって2人でおでかけするの久しぶりだし」
伊織がトランプをシャッフルしながら、呆れたようにみてくる。
「え、なになに⁉️香奈、デートいくの⁉️」
「デッ……⁉️」
「そうなんですよ〜」
そう答えたのは呆れ顔の友達だ。なんか最近、私が浮かれ気味だったからか対応が適当になってる気がする。
「えー、いいじゃん。誰と〜?」
「友達とです!」
そういうと、伊織と結先輩がひそひそと話し始める。……全然聞こえてるけど。
「男?男だよね」
「そうなんですけどね……、ちょっと複雑なんですよ」
「なにそれどゆこと?」
結先輩が教えて教えてと伊織の肩を揺すっている。
少しして結先輩がこちらにくる。
「かーなちゃん」
「……はい」
「誰と行くの?どこ行くの?」
「言わないですよ」
普通にいじられたくない。可能性が無い話をずっとされるのは辛すぎる。
「なんでよ〜!私も恋バナしたい〜!」
「相川先輩としててください」
「そういうんじゃないじゃん!他の人の話はまた別でしょ?」
「とにかく、だめです!」
「私たちはめっちゃ根掘り葉掘り聞いてたのに〜!」
うぐっ……、去年の自分の口を塞ぎに行きたい……。
そのお相手である相川先輩は教室の端の席でうんうんと首を縦に振っている。
いつもは結先輩のブレーキ役なのに、2人してあの時色々聞きまくったのを根に持ってるらしい。
「ほら、嫌って言ってるんだから諦めてください」
「え〜」
そうして、伊織に結先輩が連行されていく。そしてその連れて行った結先輩と何やら話しているようだ。今度こそ内容がわからないけど、結先輩は一応納得したようで、口をとんがらせながらも引き下がっている。
伊織がこちらにやってきた。
「あ、ごめん。ありがとう、伊織」
「もー、浮ついてるからああなるんだよ。今週末でしょ?それまでシャキッとしてなさい」
「はい……」
確かに、浮かれすぎてた。
楽しくても、結先輩が言うような関係じゃなくて、「友達」なんだ。それ以上に発展することはない。変な誤解を招くようなことは避けないと。




