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リベルタ邸にて〜剣術の稽古中です。〜【ロベルト視点】

いつもお読み下さりありがとうございます。

 

 「は? すみません、村長。今、何と?」


 リベルタ邸、爽やかな青空の下。村の子供達数人と、隣村の子供達(主にキュイと、その友達数人が居た。リザが居たら『か、可愛い…っ』とか言いそうだなと思う)に剣術を教えてやってくれと村長に頼まれ、今子供達は素振りをしているんだけれど、俺の隣に立って楽しそうにその様子を見ている村長がとんでもない事をサラッと話しだした。


 「え? そんなに驚く話だったか? まあ、いいや。んじゃ、もう一度。昨日なー、領主様から手紙が届いたんだが――…」


 何でも村長によると。ラナトリア公爵子息のファイラス(ああ、普段はきちんと敬称を付けているよ)を一時的にだが、このキタムラで預かって欲しいとの事で。


 公爵様と侯爵様による話し合いの詳細を聞けば――…


 『はあ!? 何でウチ(ファラティリア侯爵領)で預かんなきゃなんねーんだよ!? ウチのリザベルと、お前んとこの愚息が幼なじみだからって甘えた事言ってんな! 他当たれ、他!』

 『ぐっ…まあ、間違ってはいないか…。他はあまり信用ならん。それに公爵家ウチの領地は王都に近い。更生させようにも領地の使用人達が甘やかしでもしたら堕落してしまう可能性もあるだろう? バーカス次期男爵夫人に対しても、あの式典での様子を見れば、まだまだ警戒しなければならなさそうだし。こういうのは、いっそ都会を離れて、ど田舎で見る物も何もない自然だけは豊かな土地の方が良さそうだろう?』

 『知るか! オマエん家のバカ息子の更生とか知るか! 何気にウチの領地ディスってんじゃねぇか!』

 『ディスる? そんなつもりはないが? なあ、俺達は友達だろう!? 助けてくれても良いだろう! それにアイツから、リザベルちゃんにきちんと謝罪をさせたいんだ。直接バカやったのは次期バカ…次期バーカス男爵だが、ウチの息子もあの場に居たのにバカを止めなかった。それどころか…はぁ、本当にバカな事を。リザベルちゃんに許して貰えるかは別にせよ謝罪はさせねば私の気が収まらない』

 『なぁ、お前バカってフツーに言ってるぞ。まあ間違っちゃいないがな。…チッ、仕方ない。この貸しは大きいからな? そして、リザベルを傷つけたりするようなら即! 時間とか関係なしに即! 村から叩き出させるからな!?』

 『本当にすまない、どうか宜しく頼む』


 …――と言うようなやりとりが(勿論、言葉遣いは丁寧だっただろうが)あったのだとか。


 そう言えば…ラナトリア公爵様とファラティリア侯爵様も、リザとファイラスと同じく王立学園幼稚舎から高等部卒業まで一緒の同い年の幼なじみだと以前父上が仰っていたな。リザが元・第二王子と婚約しなければ、リザはファイラスの婚約者になっていただろう、とも。


 (ファイラス・ラナトリア、ね)


 確か学園での彼は本が好きらしく、また気難しい性格な為か、友人は少なく(と言うか誰かと一緒に居るところを殆ど見た事が無いのだが…?)いつも時間がある時には一人で図書館に居るような人だった。


 そこにある日、あのバーカス男爵令嬢が課題を済ませる為、課題に必要な本を探しに図書館へやって来て、ファイラスに声を掛けた事がキッカケで二人は仲良くなったのだ…と。


 バーカス男爵令嬢が聞いても居ないし、興味も無いと言うのに、いつか話していた気がする。

 

 彼は橙色の真っ直ぐな髪に、薄緑色のややキツそうな性格を思わせるような目をしており、長方形の緑色のフレームの眼鏡をかけていた。


 俺も一応、第二王子の“ご学友”となるよう、そして継承権第二位と継承権順位が高い事から“王太子となるに相応しい人物”かどうか。側に居て見極めるよう家から言われていたから、バーカス男爵令嬢と元・第二王子らがファイラスと一緒に居る時には側に居たが、あまり話をした事はなかった。


 彼は俺の事も元・第二王子や宰相子息、双子の伯爵子息ら同様に、バーカス男爵令嬢に惚れた男の一人だと思っているようだったから、睨まれはすれども会話という会話はした事無かった筈だ。そして人間嫌い…みたいな面も見えていた気がする。例えそうだとしても次期公爵が明らかに解りやすすぎる態度で良いのかよ、とは思ったが…まあ、俺には関係ない。


 ただ、幼少期から高等部入学前の事はあまり知らないが、あのファイラスが素直にリザに謝罪するのだろうか? 俺には想像できないのだが。


 (リザに何かしたら、では遅い。何かしようとした時点でご退場頂くとしようか――…)


 「おーい? ロビン? 何か険しい顔をしているがどうかしたか? ほら、素振り終わったみたいだぞ?」


 村長に声を掛けられてハッとする。


 「ああ、いえ。すみません、少し考え事をしていました。教えて下さりありがとうございます。ラナトリア公爵子息についてはまた後でお話しさせて下さい。リザ達と話し合う事もありそうですし。さあ! それじゃ、皆。次は二人一組になって軽く打ち合ってみようか。余った子が居たら私と一緒にやろう」


 そう言い、練習用の木の剣を持ち、村長の隣から離れて子供達の所へと向かう。


 「それじゃ、始め!」


 カン、カン! と。木の剣で打ち合う音が響き渡る。


 「…おっと」

 

 目の前に近付く木の剣をサッと上体を反らして避ける。


 「こらー! ロビンにぃ、ボーッとしてたら危ないんだぞ!」

 「ははは、ごめんねキュイ」

 「油断大敵だぞ!」

 「うん…そうだね。何事も油断をしてはいけないね」

 

 …――ファイラスが反省したいと言うのなら、勝手に反省していればいい。リザに謝罪をしたいと言うのなら、すればいい。

  

 「さ、もう一回やろうか」

 「おう! 行くぞ、ロビンにぃ!」

 

 とにかく、サッサと来て用を済ませたのならば。ファイラスには王都でも公爵家の領地でも。お好きな方に速やかにお帰り頂きたい。


 それなら、俺から言う事は何もないし、余計な仕事も増えずに済みそうだよね――…。



学園での関係者が来る事になった為(しかもリザとは一応幼なじみだったので警戒)ちょっとピリピリ(?)したロビンでした。←そして前回のエピソードへ(笑)


ブクマや評価、コメント等とても励みになります。ありがとうございます…!!

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