表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/26

レイーニの町にて〜彼の正体は…?〜

いつもお読み下さりありがとうございます。


 「ハァ?! オニーサン何、横入りしてくれてんのー? オレ達が先に彼女に声かけたんですけどー!?」

 「そうそーう! 彼女のツレとか嘘だろー!」


 ハッ。今は考えている場合じゃない。


 「ハ、ハリー! 私待ってたんだから! 何か変なのに声掛けられるし!」


 とりあえず。助けに入ってくれた彼の名前が解らない為、見た目から適当に呼ばせて頂く。頭部(主に毛髪)から来ている事は否定しない。


 「? あ、ああ。悪かったな、リ…リーザ。怖い? 思いをさせて」


 兄さん…疑問符がついています。確かに怖いと言うよりはイラッと来てたので何とも言えませんが。と言うか同じく適当だったのだろうけど名前、ほぼ当たり。愛称なら正解(友人の中にはリーザと呼ぶ人も居るからね)。凄いな。


 「ううん、来てくれたのだからもう良いの。早く行きましょ!」


 時間もあまり無くなって来たし、ロビンを待っているから本当は移動はしたくないんだけど。


 「そうだな。そう言う訳だから他を当たるんだな」


 ハリーさん(仮名)は男達をジッと睨み、私の肩を抱き寄せた。


 「チッ、なんだよ! マジになるなよバーカ! イチャついてんじゃねーぞ!」

 「もう、行こうぜ! やってらんねー! チッ!」


 男達はチッチッ言いながら(まあ、舌打ちだけど)去って行った。


 『あの、助けて頂きありがとうございました。何か話が中々通じなさそうな人達だったので助かりました』と。ハリーさんから離れてお礼を告げようとしたところ――…


 「うおっ、へぶっ!?」


 まあ、嫌だ。乙女らしからぬ声が出てしまったわ!


 …――グイッと。不意に力強くハリーさんから引き離され、そのまま勢いで誰かの胸に(察するにこの硬さは男だな)体が傾き顔がくっついた。ちょっと、痛かったな…。


 「貴様、彼女に何をしている」


 低く冷たい声だった。けれど、この声の主は解る…って。あっ! そうか誤解されてるんだよ、この状況! 


 「ロビン! 違う、誤解だから! この人はナンパして来た男の人達から助けてくれたんだよ!」


 顔を上げて見れば、そこに居たのはいつもの柔和で気安く声を掛けられるような雰囲気を纏ったロビンではなく、騎士の顔をしたロベルト・ラドファルトが居た。


 (ヤバい、よく解らないけど…めっちゃ怒ってる。ガチギレ?)


「そのお嬢さんの言うとおりだ。だから、殺気立つのは止めろ。周りを見てみろ、気づく奴は気づいて警戒しているぞ」


 ハリーさん(と、呼び続けているけど。今、貴方のお名前は? なんて聞ける状況じゃないし。まあ、ハリーさんで、いいか)の言葉に、私は周りをサッと見てみた。


 あ、本当だ。剣の柄に手を掛ける冒険者のお兄さん、お姉さん数名、杖にいつでも魔力を込められますよ、的な感じでこちらを警戒する魔術師のお兄さん、お姉さんも居る。


 「ロビン。本当に、私を助ける為にやってくれた事だから!」

 「まあ、役得ではあったがな」

 「は!?」


 はい、そこ! 面白がって煽らないで!


 「からかわないで下さい。それと、まだお礼を言っていませんでした。助けて下さり、ありがとうございました」

 「いや、大した事はしていないし、構わない。ああいった輩は無視するなり、周りに助けを求めるなりした方がいいだろう」

 「今度、があるかは解りませんし、無い方が良い事ですが気をつけます」


 この間。私はロビンの片手を、ぎゅっと握っていた。何も人見知りでハリーさんに一人でお礼が言えないから、というような訳では無く。ロビンがハリーさんに食って掛からないように。(いやまあ、そんな喧嘩っ早い人だとは思わないけど念の為にね)


 「もう、次はありませんよ。今回のような失敗はしません。リザ、遅くなり本当に申し訳ありませんでした。…貴方も。彼女を助けて下さって、ありがとうございました。それから、先程は失礼致しました」


 ロビンも落ち着いて来たのか(殺気は消えたらしい。冒険者や魔術師達が、それぞれあちこちに移動して行ったし)手は繋いだままだったけど、ハリーさんに頭を下げて。

 

 「誤解が解けたなら構わないし、頭を上げてくれ――…おっと、そろそろ行かないと。俺も連れを待たせていたんだ」


 そう言って、ハリーさんは人混みの方に向かって歩き出し、不意に振り返り――…


 「…そうだ。ここ数年、家から離れているとは言え、話は聞いている。俺からも兄として詫びておかねばな。リザベル嬢、弟の事では多大な迷惑を掛け、済まなかった。近い内に家から詫びの品が届くと思うが遠慮なく受け取ってくれ。では、失礼する…二人とも、また会おう。ああ、それからロベルト・ラドファルト。彼女をしっかり守るようにな?」


 …――真面目な顔をして、そう告げたと思ったら。最後の一言の時だけ、ニヤリとからかう様な笑みを浮かべて。ハリーさんはそれからは振り返らず颯爽と歩き、人混みの中に消えて行ってしまったのだった。


 「え? って今の何? 兄? 弟? 家? 詫びの品? んんー?」


 えー、古いかもしれない。けど、言わせて欲しい。ピコーン!(頭の中で電球が着く表現を思い浮かべてみて欲しい。正に今、それが私の状態なので)


 「ね、ねぇ〜ロビンさん? 今の人…いや、お方ってもしかして…八年位前に王…おうちのえーと、家を継ぐ事については権利を放棄していて、現在は留学中(という事になっている)の、あの方?」

 「そう、みたいだね。あの方が…家を出たのが俺達が十歳の頃だから。あまりお会いする機会も無かったし、記憶にある彼とは容姿が変わっていたから…あの方はお気づきだったけれど。俺達は解らなかった、ね」


 そりゃ、どこかで見た事があると感じた訳だわ! 彼の正体は――…


 この国の第一王子であり、乙女ゲームでは隠しキャラポジション。(ちなみにヒロインが唯一マトモだったルートのキャラだ)


 …――ハルヴァルド・サーファイス第一王子だったのだ。




 「…ハッ!? そう言えばロビン、時間! 時間は?!」

 「…え? あっ、ああ。そろそろ停車場に行かないと…! 急ごう!」


 まだ頭の中もパニック状態だった私達だが、手を繋いで(と言うか、ずっと繋ぎっぱなしだったね…)走り、乗り合い馬車の時間にはギリギリ間に合い、本日最終便でラドファルト領の隣の領、ファラティリア領。メーロディアの町へと向かったのだった――…。


ここまでお読み下さりありがとうございます…!!(ブクマ・評価、感想など、とても励みになります。これからも応援して頂けたら嬉しいです!)


次回からファラティリア領に(ようやく)入ります…!


補足?です。

ロビンは人助けをしていて戻るのが遅くなってしまっていました。

それと、そのうち番外編等で書くかは解りませんが、王家の王位継承権を持つ人物は五人居ます。(一位が王弟殿下、二位が第三王子、三位が第四王子、四位が第一王女、五位が第二王女(王女達は双子))。ハルヴァルド第一王子、アーボカスト第二王子は継承権放棄。(後者は剥奪ですが/笑)その為、ハルヴァルドは簡単にとまでは行かなくても継承権を放棄する事が出来た…という設定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ