レイーニの町にて〜食べるな危険!と、思いきや…。〜
いつもお読み下さりありがとうございます。次回更新より、不定期更新になります。宜しくお願いします。
今回、ロビンが若干空気に…。そして新キャラがちょろっと出ます。(今回から出る新キャラは容姿についての描写があるキャラ一人のみです。念の為(笑))
ラドファルト領にあるサーニィの町から更に数日進み、昨日はクーラウッドという町で宿泊し、そして出発した今日の夕方、十六時半頃。
「間もなく終点、終点。レイーニの町です。お降りの際にはお忘れ物にご注意下さい。隣町にあたります、ファラティリア領、メーロディアの町へ向かわれるお客様は、向かいの乗り合い馬車停車場よりお乗り換えで十八時発車となります。そちらは本日最終便となっております」
車掌さん? (もう、車掌さんでいいかな!)の案内通り、私達はレイーニには泊まらずに最終便でメーロディアの町に向かう事にした。メーロディアの町までは、この町から二時間位らしい。
一瞬、宿の心配をしたけどメーロディアには大きな冒険者ギルドがあるから、いざとなれば遅くまで開いているだろう冒険者向けの宿に泊まれば良いかな? と考えた。(ちなみに今まで通って来た町にも冒険者ギルドがある町は、幾つかあった。特に用も無かった為通り過ぎていただけで)
「はぁー! 着いたね! 少し遅れたけど、最終便に乗れるなら良かったね!」
「そうだね。次はいよいよファラティリア領に入るけどリザ、疲れていない? 今日は少し強行気味だったから無理はしないようにね」
「ありがとう、ロビン! 私は大丈夫だよ。ロビンも疲れたら遠慮なく言ってね?」
「俺もまだまだ大丈夫。ありがとう、リザ。それじゃ…そうだな、まだ発車まで時間があるし…向こうに露店通りがあるみたいだから見に行ってみようか?」
停車場から少し先の方に、ぼんやりと灯りが灯る(この世界にLED照明なんて無いからね、基本夕方から夜は店先にランタンが吊るされていたり、そんなに明るくないけど安価な魔石を使った魔道具による照明が使われているんだよね)露店が並ぶ光景が見えたので、そこに行く事にした。
ここで私は驚きの光景を目にする。
「いらっしゃいませ! レイーニ名物、フロッガー焼きはいかがですか〜?」
呼び込みをする露店の前に一組の母娘が立ち止まる。
「お母さん、一つ買って〜?」
「ええ? さっきクッキーを買ったでしょう?」
「それは明日のおやつにするから! お願い〜! フロッガー焼き食べたい〜!」
「仕方ないわねぇ…。一つだけよ?」
「わーい! お母さん、ありがと〜!」
「お買い上げありがとうございます〜! 少々お待ち下さいね!」
どうやら一つ購入らしい…んだけど?
さっきからフロッガー、焼き…とな? え? フロッガーって、あの…雨や湿地帯を好む紫の毒々しいカエルみたいな魔物じゃなかったですかいね? (いけない。動揺が隠せていない) え? 食べるの? 焼いて食べちゃうの!? フロッガーを? ぎゃー?! 無理っ!! 日付け変わるまで残業したのに、そのデータに新人が別のデータ上書き保存して発狂した次の日の朝並みにキツイわ!! と。思わず顔を背けてしまったけれど。
本当に食べるの? 食べちゃうの? と、怖いもの見たさと言うか気になると言うか…恐る恐る振り向いた先にあるフロッガー焼き。それは――…
「はい、お嬢ちゃんどうぞ。中のクリームが熱いから気をつけてね!」
「ありがと〜!」
…――熱々と思われる、デフォルメされた可愛らしいカエルの顔の形をした…日本風に言うなら今川焼だった。(なんだ…。あれは、もうフロッガーじゃないな。カエルだ、可愛いカエルちゃんじゃないの。フロッガーの顔は、もっとニタアァって嫌〜な感じで邪悪感漂っているし。まあ乙女ゲームのヒロインのレベル上げ模擬戦闘からの知識だから実物は見た事無いけど)ああー…びっくりした。あれなら私も食べてみたい。
ふと視線を通りに戻す。
「ねえ、あっちの八百屋が出してるトマトのジュースが美味しいんだって! 行ってみようよ!」
「えー、オレ。トマトって酸っぱいから苦手なんだよなぁ」
「あの店のは甘いんだって! だから、大丈夫よ!」
と言って、彼氏らしき男性の腕を引っぱって歩く町の女性や。
「かあちゃん! 肉! 肉買おうぜ! あれ! ビッグ・バッファロのやつ! なあ、とうちゃんも食べたいよなっ?」
「そうねぇ、今日はお肉にしましょうか? 貴方、良いかしら?」
「ああ、良いんじゃないか。ビッグ・バッファロの肉は美味いしな」
「なー!」
そう言えばビッグ・バッファロ(牛型の魔物で、肉もだけど三本ある角や革も、傷が無ければ無いほど高値で取り引きされるらしい…だったかな)は、食べられる魔物だったなぁ…と。
通り過ぎて行く楽しそうな人達の会話が聞こえて来て。露店通りは賑やかな雰囲気だった。
私とロビンも。少し早いけど夕食として何か食べようかって話になった。幾つかの露店を回って、温かいビッグ・バッファロの肉入り麺と、プチトマトとビッグ・インディゴピッグの(こちらも食べられる魔物で、姿形は地球の豚にそっくりなんだよね。大きさは地球の成体の豚の二倍。毛皮の色は藍色だ)炒めもの、ハチミツ入りレモン水を購入して、通りにある沢山あるベンチの内の一つに座り、二人で美味しく頂きました。
肉入り麺の入っていた器とフォークは、お店に返却する為、返しに行こうとベンチを立つロビンに続いて、私も返却に行こうと立とうとすると――…
「リザは、まだ座ってて。すぐそこの店だし、俺が返して来るから」
…――そう言い、ロビンは私の分の食器も持って『すぐ戻るから待っていて』と、食器の返却に行ってくれたのだった。優しい。
そうして、ベンチに座りロビンを待っていた私の頭上に黒い影が差した。
「おかえりなさ…?」
いや、誰よ?
そこには知らない男が二人。ニヤニヤした顔で立っていた。何か下心ミエミエでスケベそう。そんな印象だ。
「こんにちはー! お姉さん、旅の人〜? へぇ〜、結構美人じゃーん! この町に来たばかりなの? オレ達が町の案内して上げるよ!」
「そうそう! 良い店も宿も知ってるから一緒に行こうよ〜?」
ついでに頭も悪そう、も付け足しておかねば。
「…連れがいるので不要です」
無視すると煩いかなと思い冷たく断りを入れれば――…
「連れがいるので不要です、だってよ〜!」
「ヒャハハハ、カッワイイ〜!!」
…――益々煩くなってしまった。ここは一つ、ファイヤーボール…は、火を扱う露天が殆どだし周りが危険だしダメか。それならウォーターボールでも撃ち込んでやろうかと、イラッとしながら俯き少々物騒な考えが過った時だ。
「済まない、待たせた。さあ、早く行くぞ」
今度こそ、ロビンが――…
「う…ん?」
…――と、思いきや。
立ち塞がるナンパ男達を押し退け、私の腕を取りベンチから立たせてくれたのは――…
(本日二回目だけど)いや、誰よ?
…――白銀の艶のある短めの髪をツンツンと立てていて(ハリネズミみたい…)、やや吊りがちの意志の強そうな琥珀色の瞳を持つ、整った顔立ち。全体的に黒でコーディネートされた服装の腰には茶色の革ベルトで固定された華美ではないけど上等な物だろうと解る剣の鞘が見える、少し年上だろう男性だった。
(あれ? いや、何かこの人の顔、どこかで見た事があるような気がするんだけど――…? ううーん、気のせいかなー?)
ここまでお読み下さりありがとうございます…!!




