フラム到着と王族との話
「さぁようこそ。ここが灼熱都市フラムです。ゆっくりしていってくださいね」
あの後すぐに皆に報告して、姫様方の馬車を追う形でフラムに向かった。割と近くまで来ていたので、そう時間はかからなかった
「このまま城までご一緒したいのですが……お時間大丈夫ですか?」
「ワタシ達は少し準備がありますので、姫様方は一足先にお帰りください」
答えたのはモカだ
準備とは、まぁ服だよ。流石に学生服やら軍服やらで行くわけには行かないでしょ
「そうですか。それでは城の門番にフレイに呼ばれているとお伝えいただければ入れると思いますので!」
「ふんっ、コムラは来なくてもいいのよ?」
妹さん(未だに名前を教えてもらえてない)がそう言ってきた
そういうこと言うのね
「私としてはどちらでも良いですが?」
「えっ、コムラさんは来てくださらないのですか……?」
フレイ姫が若干涙目になりながら聞いてくる
「コムラ!お姉様を泣かせたわねっ!」
「タクミ、今のは……」
ぉおう、まぁ対応が子供っぽかったのは認めるがなぁ。フレイ姫は泣かなくてもいいのに
「初めて男の方と仲良くなれたと思いましたのに…」
「い、いえ!お伺いさせていただきます!ですので涙を拭かれて下さい」
パァァァァ……
すんごいいい笑顔だ
「そうですか!お待ちしております!」
何でこんなに呼びたいのかね…?
◇◆◇◆◇◆
「こういう服って着たことないし慣れない」
俺達は御者の兄さんにオススメの店を聞いて、そこに来ていた
俺は今タキシードみたいなの着てます。一応城に入るんだしね。礼儀は無理だけど身なりぐらいはね
「そうか?その割には似合っているぞ、タクミ」
隣に来たモカがそう褒めてくれる
「ありがとう。モカもそのドレス似合っているよ」
白いレース付きドレスを身に纏うモカ
今ツインテールを下ろしている。ツインテールもいいけど、髪を下ろしてもまたいい
「そ、そうか。君に褒められるのは、その、嬉しい」
髪をいじりながら照れるその姿はもう、もう、ね!察して!
「ど、どうした!?急に顔を逸らして」
「い、いや。何でもないよ。さぁ、他のみんなも準備出来ているようだ。行こうか」
◇◆◇◆◇◆
服屋を後にし馬車へ。え、服のお金?物々交換で何とかなったよ。ワームの素材は服に使えるらしい。皮とか牙とか
モカが払うと言ったけど、甘えちゃダメだよね男として。無論モカの分も俺が払ったよ
さて、今は城の前にいる
「ん?なんだ貴様ら」
俺達が近づくと門番がそう声をかけてきた
「フラム姫より招待を受けました。何か聞いてませんか?」
「あぁ、貴方方が。話は聞いている。今お連れしよう。おい!誰かいないか!?」
門番さんが中に声をかけると、1人のメイドが来た
「はい、何か?」
「この方々がフラム姫に招待を受けた者達だ。お連れしてくれるか」
「この方達が。分かりました。では皆さんついてきてください」
俺達はゾロゾロと後を追っていった。全員で8人居るから、結構多いよな
メイドさんの後を歩いていると、すれ違う人達の会話が聞こえてくる
「何だ、アイツらは」
「フレイ姫様が招待したそうだ。冒険者如きを城へ招くなど……立場をわかっているのか」
「それを受けるアイツらもアイツらよ」
「それに見ろ、獣人奴隷まで連れている。獣は檻にでも入れておけばいいものを」
「穢らわしい。早々に帰ってはくれないものか」
クソッ、貴族ってのはこんなんばっかか?
ぶん殴りてぇ。フェン達を貶しやがって
「タクミ…力が入っている。落ち着いて」
無意識のうちに手を握りしめていたようだ。ハクアが両手で包んでくれる
「すまん、ありがと」
「いい。その気持ちは…分かる」
後ろを見ると、モカも杏子も悔しそうだ
フェン達はフェンを除いて俯いてしまっている
「……よろしいですか?」
メイドさんが声をかけてくれる
「えぇ、止まってしまってすいません」
「いえ……あまり気にしない方がよろしいかと」
「そうします」
やっぱり貴族はラノベとかみたいに優しい貴族ってのは少ないようだ。ま、期待はしてなかったけどさ
◇◆◇◆◇◆
「着きました。ここは食堂になります。食事を用意しておりますので、姫様と共にどうぞ。王もいらっしゃると思います」
………え?何で?
そんな疑問が顔に出ていたのか、メイドさんが頬を掻きながら目をそらして答えてくれた
「あの方は冒険者の話を聞くのが好きでして……それに娘の御二方を溺愛。男が寄るのも許せない。そんな方なのです」
ガチャーー……
扉を開けると、机に並んだ料理と奥に座る4人の姿が見えた
ん?4人?
「お待たせいたしました。冒険者の皆様をお連れしました」
「うむ。下がるがいい」
40代後半くらいのイケメンオッサンがそう言う。あれが王か
ん?フェン達を見て顔を顰めた、か?
はぁ、まぁ王の前に奴隷じゃあなぁ。一応着飾ってるものの、首輪は隠せない
「まぁ、座るがいい。冒険者の方々」
「はっ。先に申し上げますが、何分冒険者故、礼儀がなっていない点につきましてはご容赦いただきたく」
「畏まらんでもよい。ほら座れ座れ」
「では、失礼致します」
代表して俺がそう言うと、王家の方々との距離が一番遠い反対側の席へと座った。確かここであってるはずだっ!
「うむ。では、話の前に食事でもしよう。腹が減った」
王がそう言うと、全員で食事を始めた
皆、無言で食べた。緊張しすぎて味がしないってのを初めて味わったね。勿体無い
おかずは全体的に肉が多い。あ、主食はパンだぞ。ワゴウには米があるらしいけど、大体の街はパンだ
今度は (あるか分からないが) 味わって食べたい
無言だと早く食べ終わる。そう、今回もな
「ふぅ、腹も膨れた。じゃあ、冒険者の方々の話を聞こうか。まず、俺の自己紹介といこうか。俺はガイウス=フラム。フレイとイレンネの父でこの街の王をしている。こっちは俺の嫁のパトラ=フラム。さてフレイ、何か話があったのだろう?聞いてみなさい」
ガイウス王は自分と隣のパトラ夫人を紹介して、フレイ様に話をさせた
しかし、妹様はイレンネというのか
「はい。皆様とは砂漠でお会いしましたね。あの時はお忍びの狩りと説明致しました。それは嘘ではないのですが……もう一つ理由がありまして」
話し始めたフレイ様は、真剣な顔をしている
「フレイ、その話は……」
ガイウス王が遮るも止まらない
「私はもうすぐ結婚します。私が望んだものではないけれど、街同士の友好のため仕方がありません。これも王家の勤めです」
政略結婚ってやつか。俺はあまり好かない
「そこで、皆様を街までの護衛としたいのです」
護衛ねぇ
「フレイ!護衛は俺が用意すると!」
「お父様が用意する冒険者方は信用出来ないのですよ。腕も、護衛としての能力も」
イレンネ様がそう言う
「な、何だと!?イレンネ、何故そう言えるんだ!」
「人を見る目がないのでは?この前もツボを騙されて高値で売られたり、贋作掴まされたりしていたではないですか」
「ぐっ、客人の前でそんなことを言わないでくれ……フラムの街の王は無能と思われてしまうではないか」
「実際政治は母様がやっているではないですか」
「そうだが……」
何か親子喧嘩始まった件について
「もう!お父様!イレンネ!冒険者の方々が困っているでしょ!」
「「う、ごめんなさい」」
流石はフレイ様。パトラ夫人はニコニコとしているだけだ
「さて、では改めて。どうですか?護衛引き受けて頂けますでしょうか」
うぅむ。こっちにも都合ってもんが……ワゴウに集まるまであと1年くらいだぞ。もし逆走だったり通り越しだったら留まる時間がなぁ
「因みに、どの街まででしょうか?」
モカがそう聞く
「冒険都市ダンジンです」
運がいいのか悪いのか、目的地は一緒だ
「次の目的地とは一致してますが……」
「っ!ではっ!」
「我々では力不足に思います」
モカの言葉を聞き、フレイ様の笑顔が消えてしまう
「そう、ですか」
「はぁ、だから言ったでしょうお姉様。突然頼まれても受けてはくれませんよ。それに、8人ではあまりに少ない。かの有名なライダーズの皆様であれば分かりませんでしたけど」
……まさかライダーズ、ここで聞くことになるとは。有名だったんだな
「そう、ですよね。皆様ならもしかしたらと思ったのでお連れしたのですが……」
「力になれず申し訳ない」
そう言って俺達は立ち上がる。もうここにいる意味は無いようだ
「待っ、待って!」
フレイ様が引き止める
「まだ、何か?」
冷たいようだが、こっちもやるべき事がある
それに王家になんて関わってたら疲れる。この街の説得は今後秋人に任せることにしよう
丸投げだけど
「今日はもう遅いので、泊まっていかれてはどうですかっ?」
「ガイウス王、宜しいので?」
「う、うむ。部屋は空いているし時間を使って貰ったのだ。それくらいはしよう。王族が言ったことを覆すわけにはいかん」
「そういう事でしたら」
「では、案内させよう。誰か」
ガイウス王がそう言うと、扉から案内してくれたメイドさんが入ってきた
「この者達を空き部屋へと案内してくれ」
「かしこまりました」
俺達はまたもメイドさんの後を追っていった




