山の主
竜也達はオークから見えない物陰で作戦を練った。
竜也「どう動きますか?」
浅井「外見からですけど上半身の筋肉が異様に発達しているので近接パワータイプでしょうなので竜也君、直木君の2人は陽動をお願いします。もし攻撃タイミングがあったら足を狙ってください。オークの体勢を崩して総攻撃を仕掛けます。その間は紫陽花ちゃんがメイン火力で進めましょう」
直木「竜也、あいつはさっきの猪よりもパワーがある。受け流すことは考えるな、回避を重点におけ」
竜也「うん、わかった。紫陽花、浅井さんのことお願いね」
紫陽花「任せて、お兄ちゃん。あと2人に…葵お姉ちゃん直伝、エンチャント!」
紫陽花が魔方陣を展開して竜也と直木に魔法を掛ける。すると身体が軽くなる感覚がした。
竜也「紫陽花、これは?」
紫陽花「えーと早くなるやつとマナが身体を守ってくれる魔法を2人に掛けたよ」
直木「よし、作戦開始だ…いくぞ!」
直木の合図で2人は飛び出しオークへ向かっていく。オークをこちらに気付いたのかこん棒を構えて縦に振り下ろす。2人はそれぞれ左右に回避して懐に飛び込んだ。
竜也「我流・一閃!」
直木「牙突!」
オークの両足に攻撃をして、体勢を崩させた。
紫陽花はそこに紫の光線で攻撃をし続けた。
オーク「オオオ!!」
オークはすぐ立ち上がり、残りの光線を振り払った。
紫陽花「うそ!」
直木「つぎだ!切り替えろ!」
竜也は木刀を二刀流にして手数を増やす。
竜也「我流・閃牙!」
竜也の二刀はオークのこん棒に防がれ、直ぐに距離をとる。紫陽花がオークの顔にホーミングショットを放ち目眩ましさせる。
直木「竜也、何か遠距離技とかないのか?斬撃とか、俺は無理だった」
竜也「やったことないよ?!」
浅井「竜也くーん!イメージだよ、イメージ!木刀にマナを流して飛ばすって感じて!」
遠くで浅井がそう言う。竜也は目を閉じ身体のマナを木刀に注ぐイメージをした。すると竜也の白いオーラが木刀に流れていき、木刀にオーラが纏った。
紫陽花「それだよ!お兄ちゃん!やっちゃえー!」
紫陽花はもう一回ホーミングショットを放ちオークの足止めをする。直木も負けじとオークの足に攻撃をし続ける。
竜也「閃光…十字衝!」
竜也は十字の斬撃をオークに放つ。オークは四等分にされ粒子となって消えた。残ったのはオークのマナ結晶だけだった。
竜也「やったの?」
紫陽花「やったよ!お兄ちゃん!さすがー!」
紫陽花は竜也に抱きつき喜びを表す。直木も近づいてきてお疲れといいながら拳を突き立ててきた。竜也もそれに答え拳を合わせお疲れ様ですと答えた。
???「ほう、懐かしい気配を感じて来てみたが人間か」
その言葉が聞こえた瞬間、竜也達に重圧ともとれるプレッシャーがのし掛かってきた。紫陽花は怖くてガタガタ震えながら涙目になってる。直木も汗が止まらずも攻撃態勢をとっていた。
竜也「だ…だれ」
竜也に出来たのはかろうじて声を出して、このプレッシャーの元に聞くことぐらいだった。
???「ワレか?良いだろう姿を現そう、懐かしき気配を感じたお礼だ」
声の主が現れた。狼の姿をしていて、毛並みはうす灰色になっていて全長5mはある。目は紫で薄く光っている。一護が報告してくれた四足歩行の大型はこっちかと竜也は思う。
???「ワレはフェンリル、我が亡き友、光竜の気配を感じてやってきた…気配の正体はおまえか小僧…」
フェンリルと名乗った生物は竜也を見て言う。
竜也「俺がこうりゅう?」
フェンリル「ああ、小僧から微かにだが光竜の気配を感じる。何者だ」
竜也「雨宮竜也…この世界に元々いる人間だ」
フェンリル「この世界の…なるほど」
フェンリルは竜也を品定めし始めた。ふっと笑いこう述べた。
フェンリル「気に入った。竜也今より強くなったらワレと戦え、鍛えてやる。そのかわりこの縄張りを好きに使ってよい」
竜也「なんでそのようなことを?」
フェンリル「なに、気まぐれだ。ワレもこの世界ことを知らんのでな、竜也、おまえ達から情報を集めて置きたいこともある」
安全を保障するかわりにここを調査して情報を渡せ、これがフェンリルからの提案。
竜也「わかりました。それで私たちの安全が守られるのならば受け入れます」
フェンリル「よかろう、だがワレも外のことが知りたいからな…そうだ」
フェンリルは直木を見て問いかける。
フェンリル「お主ワレの力をくれてやる」
フェンリルは直木の頭の上に足を乗せオーラを渡す。
直木「すげぇ、マナがどんどん入ってきてる!」
フェンリル「これでお主のマナから外の世界を見ることができる、連絡も直接来なくて良い」
フェンリルは後ろを向き後を去る。残された一同はプレッシャーから解放されその場にへ垂れ込む。
竜也「…疲れた」
紫陽花「お兄ちゃん…怖かったよ」
竜也は紫陽花の頭を撫で落ち着かせる。その時、遠くから様子を見ていた浅井が飛んできた。
浅井「皆さん!大丈夫ですか!怪我は?あの魔物はいったい何をしたんですか?!」
浅井が問い詰めるも竜也も整理が追い付いてないので簡潔に言った。
竜也「なんか、いろいろと安全に活動できるようになったかな」
浅井「?」
竜也は大の字に倒れ今後の事後処理に頭を悩ませていた。
直木「まっ取りあえずオークのマナ結晶を持ち帰ろうぜ。さすがに俺も疲れた」
浅井「そうですね、皆さんは車の中で休んでください。オークのマナ結晶を回収して終わりにしましょう」
浅井がそう言うとオークのマナ結晶を回収、竜也達は車の中で休息をとった。
*マナコーポレーション社長室*
中塚「そうか、よかった…帰還を待ってるよ」
と浅井からの連絡を切り葵に通達した。
葵「あの…竜也さん達は?」
葵は恐る恐る聞く。
中塚「ああ、無事調査は終了したようだ。今こちらに帰ってきている。皆無事だ」
その報告に葵は明るい表情になり、喜んだ。
葵「良かったです!あ!このとこをお母様にも伝えてきます!皆でお疲れ様会です!」
葵は社長室を後にした。
中塚「瀬野倉様も若いですな。いろんな表情を見せてくれる。さて若者が頑張ってくれたんだ。今度は大人が仕事をする番だ。子ども達を守るぞ」
中塚は子ども達を守るためにと気合いを入れ仕事に取りかかる。
*車内*
マナコーポレーションに帰る道中竜也は浅井が運転する車内でフェンリルの言葉を思い出していた。
竜也「光竜…」
今まで聞いたことのないし、あの研究施設でも知り得なかったことだった。
竜也(あとでフェンリルに聞いてみるか?)
紫陽花「お兄ちゃん…?」
隣で寝ていた紫陽花が起きた。
竜也「起こしちゃった?」
紫陽花「ううん、大丈夫」
竜也「今日の紫陽花すごかったよ」
紫陽花「エヘヘ…お兄ちゃん。あたし達だったらどんなことがあっても大丈夫だよ。雨宮の心得とマナの力を信じればなんとかなるよ!」
竜也「ありがとう、紫陽花。兄ちゃんまた眠くなって…きたよ」
紫陽花「あたしも…おやすみお兄ちゃん」
2人は寄り添いながら眠りに付いた。その光景を前の席で聞いてた直木と浅井は見守っている
浅井「いい兄妹関係ですよね」
直木「ええ、そうですね」
浅井「直木君、君の中にフェンリルがいるってことで良いんだよね」
直木は、はいと答える。浅井はこれからの事後処理に頭を抱えるも後ろの寝顔をみて心に決める。
浅井「あの子達のために頑張りますか!」
直木「俺も手伝います」
浅井「いいのかい?」
直木「はい、俺はあいつらより早く大人になる。だから早めに大人の責任ってのを学んでおきたいんです。あいつらが困らないように、恩返しですよ」
浅井はそうですかと感謝して、運転に集中した。
浅井「お、重いぃ…!!」
直木「俺がマナ結晶運びましょうか?」
浅井「だ、大丈夫だよ、直木君!皆が頑張ってくれたんだ。わたしだっててぇ!」
直木(大人の意地ってやつか見習いたいな)
直木は理想の大人を見た気がした




