家族になる日
*マナコーポレーションカフェテリア*
夕方
あの後子どもである雨宮兄妹は大人達からここからは大人の仕事だっと言われて休むように指示された。
紫陽花「お兄ちゃん…葵お姉ちゃんとあの狼男の人大丈夫かな?」
紫陽花は今も目が覚めてない2人のことを心配していた。特に葵が今日だけで二回も気絶したので余計に不安が大きいのだろう。
竜也「そうだね」
竜也は考え事をしていた。狼男との交戦時に聞いた言葉を復唱した。葵を取り込めばもとに戻る。マナがそう言った。前者は兎も角後者のマナが教えてくれると言うのは何だろうか、マナに意識があるのならば成長するのだろうかと様々な疑問が竜也の中で巡っていた。その時頭を叩かれた。
竜也「イテ…」
紫陽花「もう、お兄ちゃん考えすぎ!!休む時は何も考えずに休もうよー」
竜也「そんなに顔にでてた?」
紫陽花「うん、怖い顔してた。だから何か考えてるなって思ったの…葵お姉ちゃんのこと怖い?」
竜也「怖くないよ、ごめん、不安にさせて」
竜也はそう言うと紫陽花の頭を撫でて、癒されることにした。
紫陽花「えへへ、これ好き」
友子「相変わらず仲良しで成よりだよ」
竜也「母さん、仕事終ったの?」
友子がこちらに来て呆れながら言った。竜也の質問にうんと答え椅子に腰を掛けた。
友子「そうだ、浅井さんから2人に連絡、暫く始末書と報告書の事務仕事でいっぱいだから2人は学業に専念しなさいって」
竜也「え、俺も紫陽花も通信制の学校だから課題をやるだけだよね」
友子「簡単にいうとねお休みの日がこれから続くね、だから葵ちゃんが目を覚ましたら家族5人で出掛けましょ」
紫陽花「お出かけ!やった!あたし、新しい服が欲しい!」
友子「竜也は何かしたいことあるかい?」
竜也「俺は…春だからお花見したいな」
紫陽花「お花見!美味しい食べ物!」
そう言う紫陽花に2人は苦笑いして、友子の花より団子とはこの事だねという反応にうんうんと竜也は共感した。
次の日
葵「皆でお出かけですか?」
紫陽花「うん!ママが葵お姉ちゃんも一緒にって」
目を覚ました葵の体調は正常に戻って、現在自宅で療養している。紫陽花は葵と電話越しでも会話できてよかったと思ってる。
葵「伯父様と浅井さんに聞いてみますね」
紫陽花「うん!あっでも無理はしないでね、ママも許可がでたらでいいからねって言ってたし」
葵「はい、ありがとうございます」
紫陽花「それじゃあ、またね葵お姉ちゃん、あたし勉強の時間だから」
葵「お勉強頑張ってください」
はーいと紫陽花からの電話が切れた。葵は昨日の出来事を浅井さんから全て聞いて、自分が何者なのか不安になっていた。向こうの世界でも周囲の人が過保護気味に守ってくれていたのは覚えているが、自分が何者なのか教えてくれる大人はいなかった。ただ特別な人間として育てられ、その時が来たら全てを話すとの一点張りで、そのまま全員がいなくなった。
葵「怖いです」
葵はベッドの上で膝を抱え籠った。
*雨宮家・自宅*
紫陽花は自室で先ほど電話していた、葵のことを考えていた。
紫陽花「うーん、やっぱり元気なかった…お出かけできると良いな」
紫陽花「そうだ!お兄ちゃんに聞いてみよ!」
そう言い竜也の部屋へ向かった。
竜也は自室で学校からの課題をやりながら携帯でニュースを見ていた。
竜也「異人関係の事件に、マナに付いての討論会、危険区域の検討…」
昨日の事件に関しては情報統制ちゃんとされてるようで、ニュースに上げられてなかった。その時トントンとドアを叩く音が聞こえた。
紫陽花「お兄ちゃん、いる?」
竜也「入って良いぞ」
紫陽花「おっ邪魔しまーす」
竜也「どうした、もう課題がわからなくなったか」
紫陽花「そんなに頭、悪くないもん!葵お姉ちゃんのことで...」
竜也「できることはもう無いよ」
紫陽花が言い終わる前に竜也が答える。
紫陽花「本当に?」
竜也「ない、大人に任せるしかないよ」
紫陽花「そんなー」
紫陽花はガックシと頭を下げる。
紫陽花「それにしても良くわかったね。あたしが葵お姉ちゃんことで相談しよって」
竜也「朝ご飯の時に連絡するーって言ってたし」
紫陽花「そうだった…テヘ」
竜也「父さん達も葵のこと心配してたしなんか行動してるでしょ、後は時間が解決してくれるさ」
紫陽花「んー、あたしも何かしたいー…ん?お兄ちゃん何か携帯で見てたの?」
竜也「あっこれは」
紫陽花「今日のニュース…ふーん…お兄ちゃんも葵お姉ちゃんのために何かできないか探してたね」
と紫陽花はにやにやした顔で訊ねてきた。竜也はそっぽ向いて恥ずかしそうにしていた。
紫陽花「お兄ちゃんも、人のこと言えないねぇー」
紫陽花はそう言い竜也をの反応に面白がり追撃を加えた。
竜也「…頭ではわかってるけど、心がざわざわしてね」
紫陽花「お兄ちゃんもまだまだ子どもだねー」
竜也「紫陽花もな」
お互いにツッコミつつ、課題をやるために紫陽花は戻っていった。竜也の携帯が鳴り、竜也は携帯を開いた。浅井からのメールがきていた。
浅井
瀬野倉様のこのまま回復すれば今週末には外出許可が出ます。この事は竜也君のご両親、岩崎様に伝えたので心配せずに自分のことに集中してください。あと狼男の検査が終わり報告書を纏めてるので、結果はこちらの仕事が落ち着いてきたら共有します。
竜也「…見抜かれてた」
浅井から葵について、動いてるであろうと思われていたのか釘を刺された。
竜也「じぁあ、お言葉に甘えて勉強するかー」
と勉強机にと向き合い頭を唸らせた。
週末
葵は無事体調が回復して外出許可がでたため、雨宮一家は葵が住んでいる自宅まで来た。
葵「今日は宜しくお願いします」
玄関で葵は御辞儀をして、雨宮一家を見る。
友子「体調が戻って良かったわねー、葵ちゃん。私たちのこと本当の両親だと思って良いわよ♪」
葵「あ、ありがとうございます…お、お母様///」
友子「嬉しいね!」
竜也「母さんが暴走しない内いくぞー」
竜也はそういい流しながら、物陰に目線をやる。
竜也(今日は宜しくお願いします)
黒服A(はい、任せてください)
葵の護衛の黒服達がいて、その中にお世話になってる人も混じっていた。
紫陽花「さっそくいこー!!」
紫陽花の合図で、一同はデパートに向かった。
*公園*
紫陽花「あー楽しかった!」
紫陽花はそう言い敷いたブルーシートの上で寝転んだ。
竜也「結局荷物もちか」
雨宮父「そう言うな竜也、男は黙って女性のいう通りにしたらいい」
雨宮父…雨宮一護がそう言うと友子に聞こえたのかなんだって?と殺気に何でもないと寒気を感じながら答えた。
友子「さて、お昼ご飯にしましょうか」
紫陽花「わーい、ごはん♪ごはん♪」
一護「俺たちは」
竜也「コーヒー飲みながら桜見よっか」
葵「私も見たいです」
それぞれのお花見を楽しんだ。そんな中竜也は葵の顔に暗いものがあることを感じとり、そばに行った。
竜也「葵」
葵「どうしましたか?竜也さん桜綺麗ですよ!見ないともったいないです」
竜也「怖いのか」
葵「……はい」
葵は震えた声で答える。一護も聞いていたのか、質問する。
一護「それは何にかな」
葵「私の自身にです…」
一護「そうか…」
竜也「父さん?」
一護「葵、人はいつ何者になるのかわかるかい?」
葵「いえ、わかりません」
一護「それでいいんだ」
葵・竜也「?」
一護の答えに葵と竜也が首をかしげる。
一護「自分が何者かなんて、人にも自分自身でも解らないんだ、だから生きて探すんだ。どう生きたいのか、自分がどうありたいのかなんて、まぁ父さんは葵のことは自分の娘って思ってるけど」
葵「…!」
葵の中で何かが解決したのかまっすぐな目をして答えた。
葵「私はまだ言葉の真意を理解してないかも知れませんが今、この時はこの家族になりたいです!この暖かい場所にもっといたいです」
一護はその答えに満足したのか荷物からあるものを出した。
一護「なら葵、今日から私たちの繋がりは家族だ、そして、竜也と紫陽花の兄妹にもなる。盃を交わそう」
一護は皆に紙コップにジュースを注ぎ渡した。
一護「皆持ったな…今日!この桜のもとに新しい家族が増える、雨宮の心得!例え遠く離れたとしても心は繋がっている!お互いを思いやり決して切れることはない!思いは諦めない力になる!このことを胸に刻み共に生きていこう!乾杯!」
乾杯!
葵「皆さん…ありがとうございます!」
この日雨宮一家に新しい家族が増えた
竜也「父さん…」
一護「どうした?竜也?」
竜也「これ、すっごく恥ずかしいんだけど!しかも外!」
一護「良いだろう、風情あって」
竜也「あと三国志のあれに憧れてたでしょ
一護「な、なんのことだろうなー」
竜也「しらばっくれた」




