特訓
紫陽花の手には木刀が握られている。本人は何かなっとくいかない様子だった。
紫陽花「お兄ちゃんと同じでも嬉しいけど…サポートしたいから…んーと!」
紫陽花はそう言うと目を閉じて念じ始めた。すると木刀に変化が現れて弓になった。
紫陽花「うん!これこれ♪憧れてたんだーお兄ちゃんをサポートできること」
竜也「もうマナの使い方覚え始めてるよ、紫陽花すごいな」
葵「紫陽花ちゃん、すごいです!」
紫陽花は葵に褒められると「えへへ」と笑顔を見せた。そこにドタバタと走る音が聞こえた。
浅井「竜也君!急にマナ反応が1人増えたんだけどまさか紫陽花ちゃん?!」
竜也「その…まさかです」
浅井が慌てた様子で室内に入り事実確認をしてきた。
浅井「冷静に言ってくれるのはありがたいけど、竜也君、紫陽花ちゃんのマナの容量、密度どれをとっても君以上だよ!」
竜也「…!!」
竜也には心当たりがあった。2年前の事件で紫陽花と一緒に大量のマナを受けた影響がある。それが原因でマナの容量、密度が自分より上であることを。
紫陽花「お兄ちゃん、お兄ちゃん!マナの使い方教えて♪」
浅井「この際、この世界の魔法を分類…種類を決めてしまいましょう!」
葵「わあ!やりがいありそうです。私もご協力します!」
3人が一斉に竜也の元に行きそう言う。竜也は天井を見て、これからもっと忙しくなるのかと嘆いた。
次の日
同じ場所で紫陽花と葵にマナの制御、容量の向上のため座禅を組んで貰っていた。2人とも初めてのことなのか額に汗をかいていた。
竜也「2人ともそのまま、集中してマナを感じて」
浅井「マナの反応…青…正常を保っています。続いて回路の循環やや不安定…マナの密度にバラつきがあります。」
竜也「そうですか。そろそろ危ないですね。2人とも終わり!休んで」
葵・紫陽花「ぷはー」
竜也「お疲れさま、どうマナ感じ取れた?」
紫陽花「うん!なんかね!温かいものが流れているの感じた!」
葵「はい、マナから優しいものを感じました」
浅井「なるほど、正常な回路からそのような現象が…」
葵「竜也さんはいつもこのような修行を?」
竜也「はい、毎日やってます。今は浅井さんに計測して貰ってデータ取りと一緒になってますが」
紫陽花「お兄ちゃん…これきついよー」
紫陽花が竜也に抱きついてくる。竜也はそれを受け止めて紫陽花の頭を撫でながらこう言った。
竜也「まあまあ、魔法を使うために必要なことだと思って我慢して、いざって時に回路が不安定だと暴走して、どうなるかしってるでしょ」
紫陽花「げっ結晶化…」
葵「結晶化?」
竜也「葵、知らないの?」
葵「はい、マナ結晶は私の世界にありましたが人がマナ結晶になるのは聞いたことありません」
竜也「ちょっとその話詳しくお願い」
葵「わ、わかりました。マナ結晶はマナが集まってできた結晶体です。私の世界ではこれをエネルギーとして使っていて生活の一部になってました。とれる場所も鉱山だったり、マナが多いところで採れていました」
竜也「そうだったんだ…葵、この世界での結晶化についてなんだけど、人がマナ結晶になる可能性があるんだ。原因としてはもともとこの世界住んでいた人の身体がマナに対応できずにゆっくり結晶化していくんだ。それともう一つ、怪物になることも」
葵「え…」
葵は竜也の言葉に驚きを見せた。葵の世界ではマナ結晶がすでに生活の一部として当たり前で、自然の恵みだとおもっていたのだから。
葵「じゃあ、初めてあった時の怪物も」
竜也「うん、元人間だから、追い払うことだけを徹底したんだ。だからまだ生きてる。本当は元に戻る方法を探したいんだけどね」
一同「…」
場が静まり返った。マナについて多くの問題を抱えてるこの世界においては先が見えない話だった。
竜也「はい、暗い話し終わり!修行を続けるよ。浅井さん次の修行の説明お願いします。」
紫陽花「お兄ちゃんじゃないの?」
竜也「俺もまだ学んでない科学が関わってくるの」
紫陽花「げっ勉強にがてー」
葵「科学って何ですか?」
浅井「良い質問です!瀬野倉様!この世界の道具を使った魔法のようなものです!この人類史において先人達が何千回、何万回と失敗と成功を積み上げてきた努力の成果なんです。まずは…」
浅井が語ったのはこの世界が今まで培ってきた叡知の数々、葵は好奇心がそうさせているのか意気揚々に話を聞き、雨宮兄妹は、膨大な知識量に頭をパンクさせ、その場から逃げた。
竜也「あ、頭が痛い」
紫陽花「お兄ちゃん、目の前がぐるぐるまわる~」
2人は訓練調査室のドア前で座り込んだ。先に頭の整理がついたのか紫陽花が竜也に問いかける。
紫陽花「あれ、お兄ちゃん今年から勉強するんだよね。ついていけそう?」
竜也「…絶対に無理。毎年赤点取る自信がある」
そう竜也が言うと紫陽花も「私も来年から…」とこの先自分に舞い降りる学習内容に絶望していた。その瞬間訓練調査室のドアが開き浅井が立っていた。
浅井「お二人とも…」
雨宮兄妹「ヒッ!」
2人は背後の殺気と声に寒気を覚えながらも振り向いた。
浅井「まだお勉強の時間です。2人は本来だったら学習することが仕事なんです。わかってますよね」
浅井は雨宮兄妹の首根っこを掴んでそう言うと2人を中に引きずり込んだ。竜也は諦めて受け入れる準備をして、紫陽花はまだ踠いて葵に助けを求めた。
紫陽花「あ、葵お姉ちゃんたす…」
そう言いかける前に葵がキラキラした目で紫陽花の言葉を遮った。
葵「紫陽花ちゃんこの世界の人たちって本当に素晴らしい人たちでいっぱいなんですね!自然のエネルギーを使った技術もっと知りたいです!」
雨宮兄妹「あっ終った」
その後研究所の職員が目にしたのは白く燃え尽きている兄妹の姿と真剣に浅井の話を聞き続けている葵の姿だった。
その日の夕方
*マナコーポレーションカフェテリア*
雨宮兄妹「死ぬかと思った」
テーブルに頭を倒してる兄妹と浅井から借りた本を読んでいる葵がいた。
葵「御二人とも、もう大丈夫ですか?」
本を読み終えた葵が2人の体調に気遣った言葉を言った。その問いに紫陽花が答える。
紫陽花「ムリー甘いもの食べた~い」
???「紫陽花、これ食べなさい」
声と共に紫陽花の前に桜餅が置かれた。
竜也「あっ、母さん」
雨宮兄妹の母親、雨宮友子マナコーポレーション就職してからはカフェテリアで働いており、主にデザートを担当してる。2年前の事件で父と共に職を失っていて、2人のお陰でまた働けることに感謝している。
友子「浅井さんから話は聞いてるよ、あんた達逃げたんだって…もうお仕置きされてるみたいだから深く突っ込まないけど」
紫陽花「ごめんなさい、ママ」
友子「竜也あんたは?」
竜也「……」
葵「気絶…してますね」
友子「はぁ、仕方ない子だね、葵さんいつも2人を見てくれてありがとね」
葵「いえいえ!此方こそいつも仲良くしてくださり感謝してます!」
友子「良い子だね、それに比べて家のは」
友子の目線の先には今だ気絶中の男の子と桜餅を頬張っている女の子の姿が映っていた。
友子「はぁ、世話がかかるね。葵さんいつでも家に来て良いからね!私のことも母親として見て良いから」
葵「え、宜しいのですか」
友子「いいの、いいの、世間が現人だの異人だの言ってるけど、人は人!なにも変わらないよだって家の子がそれを証明してるじゃない」
葵「ありがとうございます!」
葵は友子の言葉に嬉しかったのか涙を浮かべながら感謝した。紫陽花も涙目で「よかったね葵お姉ちゃん」と言った。
友子「さてと…そこの狸寝入りを決めてる悪い子に躾をしようかね」
葵・紫陽花「?」
友子は竜也の首根っこを掴んで頭を上げさせた。ばつが悪そうにしてる竜也の表情があった。
葵・紫陽花「あ!起きてる!」
竜也「……いつから気付いていた」
友子「最初から、親を騙そうとしてもそうはいかないよ!ほら行くよ」
竜也「まって!母さん今日首根っこ捕まえられるの二回…グヘ」
友子「またね、葵さん。母親の件考えておいて♪」
紫陽花「葵お姉ちゃん、また明日!」
友子は竜也を引きずって帰り。紫陽花は葵にバイバイと手を振りながら後に付いていった。
葵「家族ですか…」
残された葵は1人でポツンと呟いて考えていた。
葵(伯父様に聞いてみましょう)
そう思いを決めて葵も帰路に着いた。




