星空
*雨宮家・リビング*
竜也と紫陽花はマナフォンのモニター機能で葵と顔出しの電話をしていた。
紫陽花「え!日本刀の体験教室ダメになったの!」
葵「はい、世間の異人に対しての問題視がすこし収まるまで外出するのは危険と」
紫陽花「そんなー!楽しみだったのになー」
竜也「ちょっと落ち着いて紫陽花、岩崎さんのことだ代案はあるんでしょ」
竜也はがっかりする紫陽花を頭を撫でて落ち着かせた、紫陽花は心地よかったのかもっとしてと竜也の手を頭でグリグリと振ってアピールした。
葵「はい!伯父様が私たちのために先生と連絡して特別に学べる場を用意してくれました!」
紫陽花「え!ホント!やったー!」
葵が両手を合わせてできることを報告すると紫陽花は立ち上がりピョンピョン跳ねて喜んだ。
葵「それで、伯父様から竜也さんにお願いがありまして、けさ?柱を魔法で用意することを言われました」
竜也「袈裟柱ね、作れるよ。いつも使ってたから」
葵「ありがとうございます!それと竜也君には打ち合わせにも参加して欲しいそうなので今週末にマナコーポレーションにおいでください」
竜也「了解」
紫陽花「葵お姉ちゃんもいるのー?」
葵「はい、私も打ち合わせに参加します」
紫陽花「じゃあ、あたしもいくー!久しぶりに葵お姉ちゃんとあいたいー!」
葵「ふふ、お待ちしてますね。紫陽花ちゃん」
竜也はふと、この場に居ない直木のことを思い出して葵に問いかける。
竜也「直木は今日も訓練調査室に籠ってるの?」
葵「その通りですね。なんでもフェンリルさんから修行をつけて貰ってると…竜也さんも時々行ってますよね?」
竜也「うん、俺は戦術の幅を広げようとね、直木は…概念魔法に対しての対策を頑張ってるみたいだけど進みはあまりよくないみたい」
葵「そう…なんですね」
紫陽花「やっぱり、概念魔法ってすごいんだね。なんでもできちゃうんだから!」
竜也「そうだね、自分のイメージをそのまま空間に出してるからね」
紫陽花「んー。こんな感じかな?概念魔法・星空!えい!」
紫陽花は目を閉じて両手を握り祈るようなポーズをしてマナを解放した。するとリビングが真っ暗になり天井には満天の星空が竜也の目の前に広がった。
竜也「な!?」
葵「竜也さん!どうしたんですか!竜也さんと紫陽花ちゃんの周りが急に真っ暗になりましたが!」
竜也「…きた」
葵「竜也さん?」
竜也「紫陽花ができちゃったよ概念魔法…」
竜也はただ紫陽花の天才肌の凄さに驚いてその場で固まることしかできなかった。
*マナコーポレーション・訓練調査室*
中塚「では今後ともよろしくお願いします」
道場の先生はコクりと頷いてこの場をあとにした。
竜也「何かトントン拍子に話が進みましたね」
中塚「向こうもマナを使った剣術に頭を悩ましていたらしくてね。今回の件は寝耳に水だったようだ」
なんでも今回依頼した道場も新しくマナを使った剣術を試行錯誤してたようでマナコーポレーションに道場を構えマナについて学びながら社員に戦う術を教えるという条件でこの話を飲んだという。
中塚「これで少しでも君たちに追い付けるといいと思っているのだがね…子どもの想像力と行動力にはいつも驚かされるよ」
竜也「アハハ…私も驚いてますよ…」
紫陽花の概念魔法習得の件は既にマナコーポレーションに報告済みで今日は打ち合わせと紫陽花の概念魔法の調査も含んでいる。
紫陽花「お兄ちゃーん!来たよー」
そういって入ってきたのは紫陽花、直木、葵、浅井と数名の研究員であった。直木の体からオーラがでてフェンリルも思念体として現れた。
中塚「フェンリル殿、お元気そうで」
フェンリル「中塚は…大変そうだなまた囲碁とやらでもやろうぞ」
中塚「ぜひ」
竜也「何かフェンリル俗世に染まってない?」
直木「中塚さんとフェンリルがいきが合ってな俺まで囲碁と将棋の知識植え付けられたわ」
竜也「お疲れ様…」
竜也は直木を労いつつ自分も巻き込まれるのかなと今後のことを考えていた。
紫陽花「じゃあいくよー星達よ煌めいて!概念魔法、星空!」
紫陽花は右手を天にかざして詠唱する。すると紫陽花を中心に暗闇が室内を覆って空に無数の星達が輝きだした。
葵「とても綺麗です」
中塚「これが概念魔法…!」
直木「黒竜と違って温かい…」
浅井「この空間内のマナが紫陽花ちゃんのマナに変わってます!これはすごい!それで何ができるのかな?」
紫陽花「何でもできるよー。マナがあたしのお願いに答えてくれるんだー」
竜也の以外の一同は唖然としていた。竜也はそこで補足を加えた。
竜也「あー紫陽花が思っている物を具現化させるんです。使用できる数はあの夜空にある星分…」
紫陽花がそうそうと言うと大人組が納得したと同時に質問する。
中塚「つまりだよ。ほぼ無限の物資が産み出せることができると?」
竜也「…はい、具現化なので空間内でしたら食べ物から鉱物まで作れますね。ただし外には持ち出せません」
竜也は中塚が懸念しているであろうことを詳しく説明した。
中塚「そ、そうか…空間内限定なのか、良かった」
葵「どういうことですか?」
葵は中塚の謎の安堵に疑問を持ち竜也に聞いた。
竜也「紫陽花が概念魔法を展開するだけで無限に等しいエネルギー資源が作り出されて、日本は安泰になる…紫陽花の人権を無視してね」
葵「あっ」
中塚「そうはさせないがね。何にしろ黒竜に対抗できる手段が増えるのはいいことだ。これから研究も進められる」
竜也「そうですね」
中塚「ただ、君たちは今は夏休みだ。報告はこれくらいにして、思い出を作るといい。道場体験…存分に楽しむといい」
中塚はそういい残し浅井とともにこの場を去った。残ったのはいつもの4人となった。そこで最初に口を開いたのは直木だった。
直木「せっかくだ。俺も体験会参加する」
竜也「いいのか?戦闘スタイル全然違うけど」
直木「息抜きにな、フェンリルからも言われてたことだし」
紫陽花「フェンリル…いつの間にかいなくなってたね」
直木「なんでも試したいことがあるから後で本体の所にこいだとその間は休めって」
フェンリルも概念魔法に対しての秘策が思い付いたのか何か準備することがあるのだろうかと竜也は思った。
竜也「久しぶりに集まったんだ。少し手合わせでもする?」
直木「竜也にしては珍しい提案だな、よし乗った!相手するぞ」
竜也「よしこい!」
こうして竜也と直木の模擬戦が行われた。最初はお互い接戦を繰り広げていると思われたが毎日修行してた直木との経験の差があり結果は竜也のぼろ負けで試合は終わった。
竜也「紫陽花も直木も強くなりすぎでは」
直木「それでも勝てなければ意味ないだろ」
紫陽花「あたしはどんどん魔法思い付いてるだけだもーん」
竜也「マナコーポレーションの暴力担当になるんじゃ…」
紫陽花「そのあだ名かっこよくなーい」




