雨宮家の朝
*雨宮家・リビング*
紫陽花「…んー」
朝、まだ日が昇り始めた頃から紫陽花はマナフォンのモニターを見続けて唸っていた。向かいには人工知能のトワが白髪ロングヘアで黒いワンピース姿の少女でホログラムとして浮いており紫陽花を見つめていた。
トワ「妹様、そろそろ認めてはどうですか」
紫陽花「待ってトワちゃん!ここから逆転する方法考えてるから!」
トワ「妹様、その諦めない心は感心しますが…黒残り1個で置ける所がないため私の勝ちですよ?」
紫陽花「完封されるのはみとめたくなーーーい!」
竜也「…朝から何やってるんだ?」
そこにトレーニングウェア姿の竜也がランニングから帰ってきてリビングの風景に一言呟いた。トワが先に気がついて竜也に挨拶する。
トワ「マスター、おはようございます。現在、妹様とリバーシで遊んでいたのですか、待ったをかけられ、待機している状態です。ちなみに私が白、妹様が黒です」
竜也「…これ、紫陽花の置ける場所ないよね」
紫陽花「考えればあるよ!……たぶん」
竜也「手番は?」
トワ「妹様が置ける場所がないので私です」
竜也「なら、えい」
紫陽花「あーー!!」
竜也がモニターに映っているリバーシの最後の所をタッチして盤面が全部白になる。そしてWINNER、トワの表示がされる。
紫陽花「お兄ちゃん!ここから逆転するはずがぁ!」
竜也「システム上無理だから」
竜也が呆れたようにそう言うと紫陽花は怒ったようにほほを膨らませてプクーと竜也を睨み付けた。竜也はこれを知っている。紫陽花の怒ってる風に何か要求したい時の顔だと言うことを。そのためランニング中に買ってきた物を紫陽花に渡す。
竜也「まぁこれ飲んで機嫌直せ…ほれ、いちごミルク」
紫陽花「わーい!お兄ちゃん大好き♪」
紫陽花は竜也が取り出したいちごミルクを受け取りご機嫌に飲み始めた。その兄妹の光景にトワは少し羨ましい感情を抱いていた。自分もこの輪のなかに入りたい、感じていたいとそう思っていた。竜也はトワの様子見て何かおかしいなぁと感じて質問した。
竜也「……トワ」
トワ「はい、マスター」
竜也「なにかあったか?」
紫陽花「トワちゃん?」
トワ「いえ、すこしお二人が羨ましいと思っただけです」
竜也「羨ましい?」
トワ「はい、皆さんの空間を実際に感じたいっと」
竜也はトワの言葉に人と変わらない心が芽生えていると感じた。そして竜也は決心してトワに言う。
竜也「アバターボディ…作るか!」
トワ「!!宜しいのですか!」
竜也「といっても随分先の話になるけどね、まずマナ結晶の加工に皆なれて貰わないと行けないし、それでもいいかな?」
トワ「はい!マスター!私、いくらでもお手伝いしますし、待ちます!」
紫陽花「よかったね!トワちゃん!」
トワは空中で飛び周り嬉しさを表現していた。そんな様子に紫陽花も喜びを共感したのかピョンピョン跳ねた。
竜也「じゃあ、俺はこれからシャワー浴びてくるから2人ともまだ朝早いから騒ぎ過ぎないようになー」
竜也はそう言い残し、部屋に着替えを取りに行って2人の喜んでいる様子を思い出しすこし笑顔になっていた。
竜也(必ず作るからな…トワ)
竜也がそう思っているとマナフォンが通知を知らせる音を鳴らした。内容を確認すると葵からの連絡で前に話していた日本刀の剣術を学びたいとのことだった。
竜也「葵が想像してるのって居合い切りの方だよな…俺のってどっちかと言うと抜刀術に近いしな、うーん…どっか道場みたいの開いてる所ないか探すか」
竜也は葵にまず道場で基本を身に付けようねと返信してシャワーを浴びながら道場を検索し始めた。
竜也「お、これは…」
竜也が見つけたのは都内で開催される1日体験会が目に入った。
竜也(日本刀に触るだけでもいい経験になるな)
竜也はそう思い早速葵にイベントの情報を送る。すぐに返信が帰ってきた。いいですね!いっも良いか伯父様に聞いてみます。と行動力の速さに感心する。シャワーを浴び終え、リビングに戻ると紫陽花がトワに格闘ゲームで惨敗してうなだれているのと勝ってピョンピョン跳んでいるトワの姿があった。
紫陽花「くーやーしーいー!」
トワ「勝った、勝った」
竜也「まだやってた…」
竜也は2人のプレイをみながら学校から出された課題に手をつける。まだ中学一年の範囲のためそれほど難しくはないっと思っているが量が多かった。入院してた分の課題も含まれてるためコツコツやっていかないと終わる気配がない。
紫陽花「お兄ちゃん、宿題?」
竜也「ああ、今からやっておかないと葵とのお出かけが出来なくなるからな」
紫陽花「おでかけ?」
竜也「まだ、決まったことじゃないんだけど葵が剣術に興味があってやってみたいって言ってなシャワー中に目ぼしい場所を葵に送って岩崎さんに確認して貰ってる」
紫陽花「剣術!あたしもやってみたい!」
竜也「葵は多分日本刀での居合いをやってみたいらしいから紫陽花、日本刀持てるか?」
紫陽花「身体強化の魔法使うから大丈夫!」
紫陽花は手でVサインを作り出して得意気に答えた。
竜也「あまり、強化し過ぎるなよ」
紫陽花「わかってるよ、お兄ちゃん」
竜也は念を押すと課題に戻った。紫陽花は楽しみなのか居合いの構えるポーズをしてイメージ練習を始めた。
紫陽花「…ねぇ、お兄ちゃん」
竜也「どうした?紫陽花」
紫陽花「お兄ちゃんの剣術って居合いもするし普通に剣を出して戦うよね?」
竜也「そうだね」
紫陽花「今ある剣術のなかで当てはめると何になるの?」
竜也「抜刀術が近いね。それがどうしたの?」
紫陽花「抜刀術!かっこいい!習ってみたい!」
紫陽花は興奮してその場でピョンピョン跳ね回った。その後木刀を作り出して竜也の真似をし始めようとした所を竜也は止める。
竜也「ちょっと待て、紫陽花!家の中でそれ振り回すないろいろ壊すから」
紫陽花「あっごめんなさい、お兄ちゃん…テヘ」
紫陽花は竜也の言葉で落ち着きを取り戻したのか木刀を消して謝った。未知の物に対する好奇心ですぐに行動するその様子に竜也はすこし葵に似てきたかと思っていた。




