表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/31

第9話 共有の条件

REV倉庫。


白と青の二機が並ぶ。


REVR-IIアルトリリィ

REVR-IIIナハトレグ


フィーナはレゾネイトスーツの接続ラインを固定する。


レイは無言でナハトレグに乗り込む。


上階の手すりに、ユユ。


壁際には第1部隊の接続者たち。


六名。


誰も表情を崩していない。


だが空気は硬い。


「残響共有開始。接続値15%。」


ユユの声が落ちる。


二機が起動。


白と青の波形が上昇する。


触れる。


重なる。


その様子を見ながら、背後で低い声が漏れる。


「……なんで、アイツなんだ」


抑えた声。


別の接続者が続く。


「俺たち第1部隊だ」


「姫の直属だろ」


「俺でも――」


言葉が止まる。


言い切れない。


フィーナを信じているからだ。


だが、納得はしていない。


上から、ユユがあっさり言う。


「無理だよ」


視線が一斉に上がる。


「何がですか」


ユユはモニターを見たまま答える。


「共有は“分散”じゃない」


「同じ残響を、同時に聞く」


数値が16へ上がる。


フィーナの呼吸がわずかに重くなる。


「例えばあなた達が10%耐えられるとしても」


「共有に入れば、それ以上が流れ込む」


「しかもフィルターなし」


一人が食い下がる。


「なら俺たちでも――」


ユユは遮る。


「違う」


短い。


「能力の問題じゃない」


倉庫中央。


接続値18%。


波形が揺れる。


フィーナの指がわずかに震える。


だが崩れない。


ユユが続ける。


「フィーナはね、あなた達と共有できない」


沈黙。


「……なぜ」


ユユは少しだけ視線を下げる。


アルトリリィを見る。


「守ろうとするから」


壁際がざわつく。


「当たり前だろ」


「隊長だぞ」


「私達はフィーネリア様の盾だから」


ユユは肩をすくめる。


「そう」


「だから無理」


数値20%。


残響が重なる。


フィーナの声が小さく漏れる。


「……重い」


レイが即座に返す。


「受け取っている」


波形が安定する。


ユユが言う。


「あなた達と共有したら、フィーナは“案じる”」


「大丈夫かって」


「無理してないかって」


「守る対象として見る」


一拍。


「身を預けられない」


隊員の一人が低く言う。


「俺たちは頼りないってことか」


ユユは首を振る。


「違う」


「頼れるよ」


「でも頼らない」


その違い。


倉庫の中央で、波形が完全に重なる。


静かだ。


「レイには」


ユユは淡々と続ける。


「身を預けられる」


フィーナの呼吸が整っていく。


残響はある。


だが溢れない。


レイの声が届く。


「……問題ない」


その一言で、フィーナの肩の力が抜ける。


ユユは最後に言う。


「共有は、強い人とやるんじゃない」


「預けられる相手とやるの」


沈黙。


「ま、相性ってこと」


隊員たちは何も言えない。


納得はしていない。


だが否定もできない。


アルトリリィとナハトレグが停止する。


ハッチが開く。


フィーナが降りる。


少し汗ばんでいる。


レイも降りる。


二人は目を合わせる。


それだけで十分だった。


壁際の接続者の一人が小さく呟く。


「……俺たちじゃ無理なのか」


誰も答えない。


ユユが手すりから離れる。


「だから言ったでしょ」


軽い声。


だが目は真面目だ。


「フィーナには、レイじゃなきゃ無理」


倉庫に残るのは、

不満でも、羨望でもなく。


理解しきれない距離。


共有は機構じゃない。


関係だ。


そしてそれは――


選べない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ