第33話 再起動
帝国軍中央会議室。
投影画面に映るのは、白い機体。
共和国の新型REV。
名称は未確定。
だが戦果だけは明確だった。
「東部戦線、第2部隊救援成功」
「第4部隊の損耗率は高水準」
「単機で戦況を反転」
淡々とした報告。
波形ログは安定。
目立つ乱れはない。
「既存GRASPでの対抗は困難か」
「改修では限界があります」
短い沈黙。
「では新型を用意する」
即断だった。
「接続者は」
「第4部隊のDC3rdが適任かと」
「あの二人か…」
「開発担当は誰に任せる」
一瞬の間。
開発主任が静かに答える。
「……適任者を、呼び戻しました」
机上に置かれる資料。
名はまだ読み上げられない。
帝国は静かに動き出す。
⸻
帝国第4部隊簡易都市区画。
軍食堂。
硬質な壁、無機質な照明。
セナは巨大なパフェをつついている。
「うまー」
向かいでシンは端末を睨んでいた。
戦闘ログ。
アルテミスとの交戦記録。
「……クソ」
「ここで半歩遅れてやがる」
セナはスプーンを揺らす。
「新型相手なんだから仕方なくない?」
「言い訳すんなボケ」
「事実だしー」
軽口。
だが二人とも視線は鋭い。
そこへ上官が立つ。
「シン・セルド、セナ・セルド」
二人は椅子に座ったまま顔を上げるだけだ。
「共和国新型REVへの対抗機を開発する」
「その接続者にお前たちが選定された」
セナの目が光る。
「やったー」
「ブレイバー飽きてたんだよね」
「飽きるとかねぇよ」
シンが即座に返す。
「で?」
「次はどんなGRASPだ」
上官が一歩横へずれる。
「詳細は開発主任から」
細身の男が歩み出る。
穏やかな笑み。
指で眼鏡を上げる。
「初めまして、かな」
「私はアインス・クラウス」
セナが露骨に顔をしかめる。
「胡散臭〜」
シンも短く言う。
「同意見だな」
アインスは微笑みを崩さない。
「率直で結構」
モニターに映る、未完成の機体シルエット。
鋭い輪郭。
まだ名もないGRASP。
セナがスプーンを止める。
「強いの?」
アインスの目が細くなる。
「君たち次第かな」
シンが端末を閉じる。
「面白ぇ」
アインスは静かに告げる。
「さぁ、始めよう」
帝国は次の一手を打つ。
まだ誰も知らない。
それが、何を壊すかを。




