あの音
真なる暴走をとめる術は・・・。
古代ローマの神ヤヌスはその御業をもって、物事の内の外を同時に見る事が出来たという。
人は光と闇の姿を持っている。
もしあなたが、ヤヌスに心を見抜かれてしまったら・・・。
※80sドラマ「ヤヌスの鏡」より一部引用
そのトリガーはガラスの軋む音だった。
キィーキィー。
爪をたててガラスをやるその瞬間にスイッチが入ってしまうのである。
別人格の私に・・・。
今日も嫌な上司に飲み会へと誘われる、その最中にお前はやれ出来損ないだの、俺をみろ、俺なんてなあという俺自慢がはじまる。
もういい。
もう嫌だ。
俺は、
「失礼します」
とトイレへ立つ。
「一分で戻って来いよ」
(ふざけんな)
心の中で悪態をつく。
気づけば俺は、外の闇がみえるガラス窓にやってしまった。
(誰でも天使のように自由になりたいのさ)
俺は湧き出す力にそう呟いた。
「あーいっ!」
陽気にその場に戻って来た俺の姿に上司は驚く。
「おう。いたくご機嫌じゃねぇか」
アイツの瞳が怪しく光る。
(なんだぁ、その目は?)
「パーティ・ピーポーでいいんじゃないっ!」
俺は一升瓶を掴み、蓋を外すと、ヤツの首根っこを左手で掴み、右で持つ瓶を口に押し込んだ。
「きさ・・・まっ。ぐっ!」
「イッキ、イッキ、イッキ、さあみなさんもご一緒に」
俺は周りの金魚のフンたちに煽る。
じたばたしだしたアイツには馬乗りになって絶対口元から全部飲むまで瓶離さないマンだ。
当然周りの奴らは止めに入ろうとするが、もう俺は誰も止められない。
頭突き、嚙みつき、蹴り続け寄せつけない。
キィーっ!キイーっ!
何度も音がする。
音の方をする方を見れば、職場の同僚である彼女が俺の暴走を止めようと泣きながらやっていた。
・・・・・・。
・・・・・・。
・・・・・・。
ダケド俺トマレナカッタ・・・ドウシテダロウ?
なか。




