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おそろしい音

毎年。


 僕がばあちゃんからその話を聞かされるのは暑い夏の日の事だった。

 ばあちゃんは言う。

「あれは今日みたいにとても暑い日だった・・・」

 僕は言う。

「また戦争の話?」

 と。

「坊や、大事な話だから何度も聞いておくれ」

 ばあちゃんは、僕の頭を撫でながら話を続けた。

 だけど、顔は笑ってなくて、渋い顔をしていた。

 今思えば、きっと言いたくなかったんじゃないかなと思ったりする。

 戦争を経験し平和の尊さを痛感した使命感が、孫の僕たちに伝えなくちゃと心を動かしていたのだろう。

 だって話が終わるころには、ばあちゃん泣いていたもんな。



 私が幼稚園の頃。

 この日は空襲警報に備えて、各家庭は早目に灯りを消して就寝した。

 もし、遅くまで灯りをつけていようものなら隣組の長が怒鳴り込んできたもんだ。

 私は姉と兄と一緒に蚊帳の中に敷いた布団に潜り込み、母の昔話を聞いて寝たんだよ。

 すると・・・カンカンカンと鐘が鳴りだし、空襲警報となった。

 私は母におぶられ防空壕へ家族と一緒に向かった。

 すぐにブーンとプロペラの音がしたかと思うと、

 ドガーン、トガガーン!

 と爆弾が破裂する音、たちまち町は火の海へと包まれた。

 防空壕へは私たちの遅着は遅くて、中はすし詰め状態だった。

 そこで私たちは、町から少し離れた小山まで歩いた。

 母からおろされた私は、

「歩こうね」

 と手を引かれ山の方へ。

 それでも容赦なく空襲は続いていた。

 さっきまでいた防空壕の方からは爆音とともに炎があがるをみえた。

 私はちっちゃかったけど恐ろしかった。

 だけど、振り返りながら町が燃えていくのを歩きながらずっと見ていた。

 幸い山に逃げた私たちは助かったんだけど、それからは・・・もう・・・ね。



「今もあの警報と爆弾の音は耳に残っているよ」

 ばあちゃんの目からは涙が滲んでいた。

「ばあちゃん」

 見上げる僕に、ばあちゃんは優しく僕の頭をまた撫で、

「だから、だから、今という時代はとっても尊いんだよ」

 そう言った。

「はあ~」

 ばあちゃんは心からの溜息を吐いた。

 


恒例です。

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