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大雨の日に

雨中の中。


 その日は信じられない雨が降った。

 この地域は線状降水帯のど真ん中に入り、レベル4の災害警報を知らせるアラートがスマホから鳴り響く。

「くそ!こんな音聞かせられたら、誰だってびっくりするよ」

「本当ね」

 俺は彼女と山にハイキング来ていた。


 おっと、先に言っておくけど、この日の天気予報は前日まで曇りだったんだぜ。

 山に着いた頃に、急に大雨って言いはじめて、せっかく遠くくんだりここまで来たんだからと軽い気持ちで山に入ったんだ。


 ところが、歩いて20分もしない内に、空が真っ白になって物凄い雨が降り出した。

 俺たちは、とりあえず近くの山小屋に避難し暖をとった。

 幸いにも今は夏、びしょ濡れだけど、そこまで身体は冷えていない。

 しかし、叩きつける雨の音が凄いこと、おまけに雷まで鳴り出してびびってしまう。

「どうしよう」

「車まで戻る?」

「この大雨の中を危ないよ」

「だけど、こんなあばら家にいるよりかはマシかもよ」

「・・・そうだな」

 俺たちは意を決して、外の豪雨の中へでようとする。

 が。

 ピカッ。

 雷鳴。

 ドドーンっ!

 激しい轟音が耳をつんざく。

 近くで雷が落ちたようだ。

「もうちょっと避難しておこう」

「ええ」

 俺たちはあばら家と戻った。

 スマホの情報では、夜中じゅう雨は降り続くらしい。

 俺はウェザーニューズの雨雲レーダーとにらめっこをしながら、逃げる最適の時間を探る。

 その間にも雷鳴に、このあばら家がいつ崩れてもおかしくないような激しく叩きつける大粒の雨が降っている。


「とりあえず、夜明けまで待とう」

「・・・ここで?」

「雨雲が落ち着くまで・・・な」

「それまでここが持つかな」

「きっと大丈夫だ。とりあえず少し仮眠をとろう」

「ええ・・・わかった」


 夜中となり、

 ゴーゴーゴー。

 ドドドドド。

 だんだんと音が迫って来た。

「何?」

「・・・鉄砲水だ!」

 俺たちは激しい音で目を覚ます。

「逃げなくっちゃ」

「待て」

 パニック状態で駆けだそうとする彼女を俺は後ろから抱きしめた。

「今から逃げても間に合わない」

「でも」

「伏せろ」

「・・・・・・」

 俺は彼女を押し倒した。

 ゴーゴーゴー。


 ゴーゴーゴー。

 

ドドドドド。


           ドドドドドドドドドドドド。


 やがて。

 夜明けが訪れる。

 山小屋は数十メートル流され、偶然にも堆積した泥の山がクッションとなり難を逃れた。

 

 九死に一生を得た俺たちは昼に救助隊に助け出された。

 ヘリコプターで吊り上げられ、そこから見た山の惨状に、俺は二度と山には行かないと誓った。


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