音のないセカイ
音のないセカイで漂うヒロイン。
突如彗星の如く現れたSUPER☆IDOLグループ「ちぇんじまいらいふ」は活動期間、わずか半年にして絶頂中にラストライブを行った。
儚く美しい花火か。
FINALステージは最高潮に盛りあがっていた。
スポットライトを浴び、可愛く美しくも凛々しく気高いアイドルたちの姿が大きく見える。
照らすステージと相反する暗闇の観客席からは、無数のサイリウムが揺れている。
息を弾ませ彼女たちは歌い踊り最高のパフォーマンスを見せる。
リーダの環はマイク持つ右手を観客席に向け高々にあげみんなを煽る。
「さぁ、もっと、もっといくよ~!」
・・・・・・え。
その刹那、彼女の世界から音が止まった。
視覚までモノクロとなり聴覚が消える。
いずれこうなる事は悟っていた環だったが
(もう少しだけ・・・)
彼女は切に願う。
(・・・お願い)
だが音は聞こえてこない。
大勢の観衆の目が環をずっと見つめている。
竦む足。
環はへなへなと腰砕けにその場に座りこんだ。
涙腺が崩壊し、ただただ悔しくてやるせなくて自分を憤った。
激しく呼吸を繰り返し過呼吸となってしまう。
気づいたメンバーがダンスを止めて駆け寄る。
何も聞こえない。
せっかく、せっかく、ここまで来たのに!
視界までも薄れていく。
(お願い・・・神様、もう少しだけ)
環は音のないセカイに飲まれ、絶望し額から床に激突し失神した。
切ないな〜。




