第九話 最高火力のガーネット
シキオンの街にも、環境センターがある。
要するに焼却施設なのだが、ここに不要物が山積みになることはあまりない。整理整頓を好むグランディディエライトが管理している上、いわゆる四大元素の火の能力を携えた宝石が居るからだ。
「ご足労ありがとう。私の予知では、明日は雨でな。今日中に片づけておきたいんだ」
未来感知能力を有するグランにそう声をかけられた女性は、明るい表情で元気に応える。
「任せて、グランちゃん! 掃除は苦手だけど、燃やすのは得意だからね!」
情熱的な赤い瞳に、明るい茶色のロングヘア。巫女っぽい格好をしており、瞳の虹彩に桜の模様がある彼女の名は、ガーネット。生命力や情熱、そして火に関わる強力な魔力を持つ宝石だ。
「ここにあるものは、全て焼却でいい。確認は済ませている」
「分かった! それじゃあ……イグニス・リーオ!!」
まとめられた不要物に手をかざしたガーネットが叫ぶと、彼女の掌から激しい炎が放出される。それは地が揺れるようなエネルギーだったが、ガーネットはきっちりと不要物だけを包み込んで消滅させた。
「うーん、スッキリ!」
「いつ見ても圧巻だな」
清々しい表情のガーネットに、グランは静かに目を細める。山積みではなかったとはいえ、それなりに量があった不要物を、一瞬で灰も残さず焼き尽くせるのは彼女くらいだ。
「……日本の神々が愛でる宝石か。それも面白い」
グランが小さな独り言を呟いたところで、背後から陽気な声が響いてくる。
「お、丁度いいタイミングだったねえ」
「あっ、トパちゃん!」
グランと同時に振り返ったガーネットが、嬉しそうに名を呼ぶ。そこに居たのは、ウェーブの黒髪をなびかせた女性だ。黄色い瞳の虹彩に桜の模様を宿す彼女は、日本産宝石のトパーズである。
手に持っている籠からピカピカのトマトを取り出し、トパーズはニッと笑った。
「朝一で収穫したトマトだよ。冷やしてあるから、一緒に食べないかい?」
「食べる食べる! ありがとう、トパちゃん!」
「頂くよ。トパーズの菜園で作られたものは、総じて完璧な味わいだ」
トパーズは土に関係する魔力が非常に高い。故に彼女は農作物を育てることが得意で、あれこれと様々な作物を栽培している。
「やっぱり赤色って美味しいなー」
「色々と活性化させる色だからねえ。食欲も湧くってもんだよ」
トマトを一口含んだガーネットが幸せそうに言えば、トパーズが笑って応えた。
そんな二人を観察するグランだったが、トマトが美味しくてつい意識が逸れる。
グランがちらりと視た未来の色が何だったかは、また別の話。




