表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
97/131

5-11「連携」

峡谷の戦いから、半日。


一行はさらに北へ進み、岩場と森の境界にある小さな高地で足を止めた。


周囲は見渡しがよく、奇襲を受けにくい。


フランソワーズが地形を確認する。


「ここで一度、隊形を整理する」


フレイが軽く肩を回す。


「さっきのデカブツ、また来る可能性あるな」


アーニャが耳を動かす。


「匂いはまだ残ってるにゃ」


「遠くない」


アルシェリアは静かに言った。


「グラディオは様子見だった」


「本気じゃない」


フレイが笑う。


「そりゃありがたい話だ」


エイドが言う。


「次は本気で来る」


その言葉に、空気が引き締まる。


フランソワーズがクレージュを見る。


「今の戦い、どう感じた」


クレージュは少し考えた。


「単独じゃ無理です」


はっきり言う。


「俺一人じゃ、あの兵器は崩せない」


フレイが頷く。


「正解だ」


「お前が突っ込んで、俺らが合わせる」


「それが一番効いてた」


フランソワーズも続ける。


「六彩は強い」


「だがそれだけでは足りない」


「連携が必要だ」


クレージュは頷いた。


それはもう分かっている。


問題は――


「どう合わせるか」


エイドが口を開く。


「単純だ」


全員が彼を見る。


「六彩を中心に据える」


フレイが眉を上げる。


「中心?」


「そうだ」


エイドは続ける。


「灰色は六属性の均衡を崩す」


「だが六彩はそれを整える」


「つまり」


「戦場の“基準点”になる」


フランソワーズが理解する。


「……軸にするということか」


「そうだ」


エイドはクレージュを見る。


「お前が動くことで、周囲の魔力も動く」


「それを前提に戦う」


クレージュは少し驚く。


「そんなこと……できるのか?」


アルシェリアが言う。


「できてる」


クレージュが振り向く。


アルシェリアは続けた。


「さっきの戦い」


「あなたが前に出たとき」


「灰色の流れが変わった」


フレイが笑う。


「つまりだ」


「お前が突っ込めば、俺らが動きやすくなるってことだな」


アーニャも言う。


「さっき、すごく動きやすかったにゃ」


フランソワーズが剣を構える。


「ならば試す」


「実戦でな」


その瞬間。


アーニャが耳を立てた。


「……来るにゃ」


全員が構える。


今度は隠れていない。


正面から来る。


岩陰から、灰色教団の戦闘員が現れる。


数は五。


さっきより多い。


その後ろ。


灰色兵器。


今度は二体。


フレイが口元を歪める。


「歓迎してくれてるな」


フランソワーズが言う。


「作戦通りいく」


「クレージュが前」


「我々が合わせる」


クレージュは一歩前へ出る。


剣を構える。


深く息を吸う。


(中心……)


難しいことは考えない。


ただ。


流れを感じる。


魔力の流れ。


空気の流れ。


そして――


仲間の位置。


「行きます」


短く言う。


次の瞬間。


踏み込んだ。


風が走る。


一気に距離を詰める。


灰色兵器が反応する。


拳が振り下ろされる。


だが――


クレージュは止まらない。


その動きに合わせて。


フレイが横から入る。


「合わせろ!」


剣撃。


灰色兵器の腕を逸らす。


フランソワーズが反対側から踏み込む。


「隙あり!」


斬撃。


関節部にヒビが入る。


アーニャが背後へ回る。


「ここにゃ!」


急所を狙う。


アルシェリアが後方から声を上げる。


「右、崩れてる!」


クレージュが方向を変える。


指示ではない。


流れとして分かる。


「そこだ!」


一閃。


同時に、全員の攻撃が重なる。


ドンッ!!


灰色兵器のバランスが崩れる。


エイドが手をかざす。


「封鎖」


空間が一瞬だけ固定される。


その間。


クレージュが踏み込む。


「終わりだ!」


胸部へ突き。


魔石に亀裂が走る。


一体、崩壊。


フレイが笑う。


「いい流れだ!」


残り一体。


戦闘員も動く。


だが。


今の一行は違った。


バラバラではない。


一つの流れになっている。


クレージュが動く。


それに合わせて全員が動く。


フランソワーズの剣が導き、

フレイが押し込み、

アーニャが削り、

エイドが止める。


そして――


クレージュが決める。


二体目も崩壊。


戦闘員は撤退を選ぶ。


「退け!」


灰色の煙。


消える。


静寂が戻る。


フレイが息を吐く。


「さっきより楽だったな」


フランソワーズも頷く。


「連携が機能している」


アーニャが笑う。


「楽しいにゃ」


クレージュは剣を下ろした。


今、はっきり分かった。


一人で戦うんじゃない。


仲間と戦う。


その中心に、自分がいる。


エイドが言う。


「形になったな」


アルシェリアが小さく呟く。


「……完成形に近い」


クレージュは少しだけ笑った。


まだ未完成だ。


でも。


確実に前に進んでいる。


その先にある戦いへ向かって…

お読みいただきありがとうございます。

次回もお楽しみに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ