4-29「灰色の教団」
王都から遠く離れた場所。
古い砦の地下。
そこは地図にも残っていない。
石壁に刻まれた紋様が、淡く灰色に光っている。
三人の黒衣が転移してきた。
床に着地した瞬間、魔法陣が消える。
一人が肩を押さえる。
フランソワーズの剣で裂かれた場所。
だが血は流れない。
代わりに灰色の光が滲む。
「……やはり完成形は違う」
男が呟く。
奥から声が響く。
「報告」
ゆっくりと現れたのは、仮面の男。
灰色の紋章が刻まれている。
三人は膝をつく。
「観測は成功」
「六彩の安定性を確認」
「触媒適性、極めて高い」
仮面の男は静かに頷く。
「王都回路は?」
「破壊されました」
「管理者が介入」
その瞬間、空気がわずかに変わる。
「エイドか」
仮面の男は低く呟く。
「予想より早い」
一人が言う。
「ですが、問題はありません」
「目的は達成しています」
仮面の男が歩き出す。
地下の奥。
巨大な灰色の装置。
六属性の刻印が歪んだ形で刻まれている。
「六彩は“完成形”」
「我らは“再現者”」
彼は装置に触れる。
灰色の光が脈打つ。
「あと一歩だ」
黒衣の一人が問う。
「触媒回収はいつ行いますか」
仮面の男は少し考える。
「急ぐ必要はない」
「今はまだ」
彼の視線が遠くを見る。
「王国」
「管理者」
「六彩」
「三つの力が集まった」
ゆっくりと笑う。
「理想的だ」
黒衣たちが顔を上げる。
「……理想?」
仮面の男は言う。
「完成には」
「巨大な魔力が必要だ」
「王都規模」
地下装置の中心が光る。
灰色の渦。
「六彩は鍵」
「だが」
彼の声が静かに響く。
「扉を開くのは“共鳴”」
三人は理解していない。
だが仮面の男は確信している。
六彩。
王国。
管理者。
すべてが揃うとき。
灰色は完成する。
「準備を進めろ」
彼は言う。
「第二段階に入る」
地下の装置が脈打つ。
灰色の光が広がる。
王都で起きた事件は
まだ
序章にすぎない。
お読みいただきありがとうございます。
灰色教団がいよいよ顔を見せはじめました!
次回もお楽しみに。




