4-27「魔導院の中枢」
中央市場で灰色の柱が立ち上がる。
だがクレージュは気づいた。
「違う……」
フレイが眉をひそめる。
「何がだ?」
クレージュは灰色の流れを見つめる。
風属性で魔力の流れを探る。
流れは市場に集まっている。
だが――
源は別。
「これは発動地点じゃない」
フランソワーズが目を見開く。
「囮……?」
クレージュは頷く。
「本体は別の場所」
その時、魔導院長の通信魔法が届く。
声が震えている。
『クレージュ君……聞こえるか』
「はい!」
『魔導院の地下が……』
一瞬、言葉が途切れる。
『回路が再起動している』
空気が凍る。
フレイが低く呟く。
「やっぱりな」
地下封印回路。
戦争期の六彩模倣理論。
敵の目的は最初から一つ。
魔導院の知識。
クレージュは即座に言う。
「市場は結界維持で抑える」
リシェルが頷く。
白光が広がる。
巨大な光結界が市場を包む。
「ここは私が保ちます」
クレージュは一瞬だけリシェルを見る。
王女の瞳は迷いがない。
「お願いします」
次の瞬間。
クレージュ、フレイ、フランソワーズ、アーニャ。
四人が走る。
王都の屋根を飛び越えながら。
遠くで灰色の柱が揺れる。
だが今向かうべき場所は別。
魔導院。
王都の知識の中枢。
到着した瞬間、異様な光景が広がっていた。
魔導院の塔。
その地下から、灰色の光が溢れている。
空間が歪んでいる。
魔導士たちが結界を張っているが、押されている。
「回路が完全起動しかけてる!」
魔導院長が叫ぶ。
クレージュは地下を見る。
灰色の紋様。
だが昨日見たものより遥かに巨大。
「増幅してる」
フレイが剣を構える。
「犯人は?」
魔導院長が指差す。
地下ホールの中央。
黒衣の男が三人。
その背後。
巨大な灰色の魔法陣。
男の一人が言う。
「六彩が来たか」
声は冷たい。
「ちょうどいい」
「実験が完成する」
クレージュの目が細くなる。
「お前たちの目的は何だ」
男は笑う。
「六彩の再現」
「そして」
その視線が鋭くなる。
「触媒回収」
空気が震える。
灰色の回路がクレージュに反応する。
共鳴。
地下全体が脈打つ。
魔導院長が叫ぶ。
「まずい!」
「共鳴したら王都が灰色化する!」
フレイが低く言う。
「時間制限付きか」
クレージュは深く息を吸う。
六彩を全開にすれば止められる。
だがそれは敵の狙い。
触媒化。
(選べ)
少年は目を開く。
「フレイさん」
「左を崩します」
「フランソワーズさん」
「術者を止めてください」
「俺は」
灰色回路を見据える。
「核を断ちます」
その瞬間。
地下ホールの上空。
黒い外套が降り立つ。
エイド。
彼は灰色回路を一瞥する。
そして静かに言った。
「……模倣としては上出来だ」
黒衣の男が驚く。
「管理者……」
エイドは歩き出す。
「だが」
空気が凍る。
「これは世界管理違反」




